患者による副作用直接報告(英・イエローカード計画)

 英国では、1964年におきたサリドマイドによる薬害をきっかけに、独自の副作用報告システムであるイエローカード計画(Yellow Card Scheme)がスタートしている。 以後40万件を超える副作用が報告、これによりβ遮断薬proctololによる視覚異常や、ニューキノロンによるけいれん、抗精神病薬の毒性、高用量経口避妊薬による血栓症、ビスホスホネート系薬剤による食道障害などを明らかにしている。

 Yellow Card Schemeは、従来は医療専門家が使用するためのものであったが,今年1月より患者本人とその介護者に対しても開放、MHRA(英国医薬品庁)は薬の副作用が疑われる体験を市民がYellow Card Scheme を通じて直接MHRAに報告できるシステムを構築し、その試験運用を行っていた。このたび、この結果が良好だったことから、MHRAは10月25日全国規模での試験運用を新たに開始すると発表した。

Improved system for people to report suspected side effects from their medicines to UK health watchdog
   (MHRA Press Release 2005.10.25)

 報告の対象は、処方薬だけでなく、OTC、herbal remedies、medicines in cosmetic treatments も対象で、健康被害者の患者や両親などの保護者、介護者などは下オンラインによる報告も可能である。

 Yellow Card Schemeと同様の「患者による副作用直接報告」のシステムは米国にも存在するが、現在のところ日本では議論の対象にはなっていない。

参考:Patient yellow card scheme launched nationwide
      (PJ Online 2005.10.29 news)
      http://www.pharmj.com/Editorial/20051029/news/p537yellowcard.html
 医薬品安全性情報 Vol.3 NO.2、No.21(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
      http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly3/2050127.pdf
      http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly3/21051104.pdf
 
Professor Bill Inman (Telegraph News2005.10.28)(詳しい経過が紹介されています)
      http://portal.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=
   /news/2005/10/28/db2801.xml&sSheet=/portal/2005/10/28/ixportal.html
 CARDS – Centre For Adverse Drug Reaction Scotland
      http://www.show.scot.nhs.uk/CSMScotland/yellowcard.html   


2005年11月08日 23:50 投稿

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