Database of medication for the elderly(フィンランド)

 まいけるさんのコメントに対応すべく、欧州各国の規制機関のウェブサイトを訪問していたら偶然見つけたページです。英語版もあるので参考になりそうです。

Database of medication for the elderly(Fimea)
http://www.fimea.fi/medicines/medicines_assesment/database_of_medication

 フィンランドでも、75歳以上の高齢者の1/3は、10種類以上の薬が処方されていて、適切でない処方により相互作用や有害作用が少なくないそうです。

 そこで、the Centre for Pharmacotherapy Development (ROHTO) という作業班が2008年より、高齢者に一般的に使用される350品目(内服薬112、吸入12、局所11、皮下注10、眼科用3 など。静脈内注射は除く)について、4つに分類を行い、2010年8月に下記のようにまとめています。

  分類の理由 主な薬剤
Class A
(green)
高齢患者にも適した薬剤。年齢に合わせた投与量や投与回数のこ考慮は必要ない。有害事象の頻度も若い人と変わらない。 PPI、ロペラミド、ビタミンD、葉酸、イソソルビド、利尿剤の一部、β遮断剤の一部、Ca拮抗剤の一部、スタチン、エゼチニブ、アセトアミノフェン、レボドパ製剤、β刺激吸入薬、ステロイド吸入薬、ロラタジン、エバスチン、モンテルカストインスリン
Class B
(grey)
75歳以上の高齢者に対する臨床試験や臨床使用でのエビデンスや有用性限られるもの シタグリプチン、グルコサミン、カノコソウ、メラトニン、去痰薬(グアイフェネシン、カルボシステインアンンブロキソール)
Class C
(yellow)
特定の健康状態の下で使用される薬剤。高齢患者には投与可能だが原料が必要とされるもの、軽度から中等度の腎機能が低下した場合や重要な薬物相互作用、重大な副作用に留意が必要なもの。 ミコナゾール、ラニチジン、ファモチジン、メトフォルミン、グリメピリド、ピオグリタゾン、ワルファリン、クロピドグレル、ジピリダモール、ジゴキシン、スピロノラクトン、ソタロール、カルベジロール、ニフェジピン、ACE阻害剤、ARB、ベザフィブレート系、テルビナフィン、シルデナフィル、タムスロシン、ステロイド、フルコナゾール、イトラコナゾール、バラシクロビル、メトトレキサート、NSAIDs、ビスホスホメート、フェンタニル、カルバマゼピン、バルプロ酸、プレガバリン、プラミペキソール、ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、スルピリド、ベンゾジアゼピン系の一部、セチジリン、レボセチジリン、フェキソフェナジン、チモロール(点眼)、ベタキソロール(点眼)
Class D
(red)
高齢患者には適さない薬剤。特別な状況下で一回限りの使用を原則として使うことができる。加齢による生理機能の低下により副作用や有害反応の可能性があるもの。副作用のリスクは一般的に臨床上のベネフィットを上回る。 スクラールファート、ブチルスコポラミン、メトクロプラミド、スコポラミン、ビサコジル、センナ、ピコスルファート、キニジン、ジソピラミド、アミオダロン、クロニジン、プラゾシン、ピンドロール、プロプラノール、ベラパミル、ジルチアゼム、オキシブチニン、トルテロジン、ソリフェナシン、インドメタシン、バクロフェン、チザニジン、エルゴタミン、フェニトイン、クロナゼパム、アマンタジン、カルベゴリン、クロルプロマジン、ジアアゼパム、ヒドロキシジン、ニトラゼパム、フルオキセチン、テオフィリン、デキストロメトルファン、

 結構日本では一般的に使用されているものがred list となっています。次の表でその理由が書いてあるので、ご覧になって下さい。

   Database of medication for the elderly(Fimea)→リンク(PDFファイル)

 各国でこういったリストが作られているんですね。実際に運用するとなると大変なんだろうけど、添付文書やパッケージで色分けすれば、より注意するかもしれませんね。

関連情報:TOPICS
  2010.08.29 Priscus-Liste (ドイツ版 Beersリスト)
  2008.04.02 Beersリスト日本版が公表
  2007.09.15 高齢者に対して特に慎重な投与が求められる薬


2011年02月27日 00:08 投稿

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