30日、新たに3件の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」が追加公表されました。
今回、追加されたのは3月末に公表が間に合わなかった「薬物性肝障害」「麻痺性イレウス」「悪性悪性症候群」の3種類です。
重篤副作用疾患別対応マニュアル(医療関係者向け)
重篤副作用疾患別対応マニュアル(一般向け)
(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構ウェブサイト)
重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚生労働省ウェブサイト)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/tp1122-1.html
今回のマニュアルで特に有用なのは、日常業務で遭遇する機会の多い「薬物性肝障害」(全80ページ)です。
薬物性肝障害のタイプや発生のメカニズムの他、薬効分類上報告の多かったものから代表的薬物(下表)について詳しく解説しています。
解熱鎮痛剤 | アセトアミノフェン、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、ロキソプロフェンナトリウム |
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精神・神経用薬 | カルバマゼピン、ダントロレンナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、ハロタン、フェニトイン、ペモリン |
循環器用薬 | アプリンジン、アミオダロン、カルシウム拮抗薬、チクロピジン、ヒドララジン、メチルドパ、ラベタロール、 |
消化器用薬 | H2受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬、チオプロニン |
抗がん剤 | シクロホスファミド、タモキシフェン、テガフール・ウラシル配合剤、フルタミド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン |
化学療法剤 | イソニアジド、サラゾスルファピリジン、テルビナフィン、ニューキノロン系抗菌剤、ピラジナミド、フルコナゾール、リファンピシン |
抗菌薬 | セフェム系、カルバペネム系、ペニシリン系、マクロライド系、テトラサイクリン系 |
漢方薬 | 小柴胡湯 |
代謝性疾患用剤 | アカルボース |
その他 | アザチオプリン、ザフィルルカスト、経口避妊薬(エストロゲン製剤とプロゲステロン製剤の合剤)、ジスルフィラム、蛋白同化ステロイド、ビタミンA、プロピルチオウラシル |
マニュアルでは患者指導のポイントとして、「多くの薬物は肝臓で代謝されるため肝障害を起こす可能性がある。薬物服用歴は重要な確認事項であり、発症までの期間、経過および肝障害の報告などが起因物質の特定には重要な要素となる。したがって、薬物性肝障害の報告がある薬物の服用開始時には定期的な肝機能検査が行われるように留意するなど、より早期発見に努める必要がある。また、検査が実施できない場合には肝障害に伴う症状(倦怠感、食欲低下、嘔気、茶褐色尿、黄疸)に気づいた場合には、すぐに主治医に受診するよう指導する。」と記され、私たちに積極的なチェックと患者への情報提供を求めています。
また、患者向けのマニュアル(下記リンク)についても、注意すべき症状の他、「副作用を早く発見するためには、まず、飲んだ薬がどのような作用をもつ薬であるか、どのような副作用が予想されるか、医師や薬剤師からよく説明を受けておくことです」と記されるなど、服薬指導でも大いに活用できる内容になっています。
●患者の皆様へ「薬物性肝障害」[PDF:349KB](厚生労働省ウェブサイト)
「重篤副作用疾患別対応マニュアル」は、服薬指導において副作用に係る自覚症状の有無の確認に当たって活用するよう、調剤報酬の算定等に伴う実施上の留意事項に記載されています。薬情の作成時などにも是非活用しましょう。
関連情報:重篤副作用疾患別対応マニュアル〜患者向け医薬品情報(Keywords)
(近く、追加分の正式版へのリンクを行う予定です)
TOPICS
2008.03.31 重篤副作用疾患別対応マニュアルの正式版が追加
2007.12.18 重篤副作用疾患別対応マニュアル 新たに10件が年度内完成へ
2008.03.05 調剤報酬の算定等に伴う実施上の留意事項
5月1日 1:50掲載
2008年05月01日 01:50 投稿