1か月程前、時事通信が報じた他、ブログ等で取り上げられた「新年度から、厚労省は生活保護受給者を対象に後発医薬品を利用するよう指導を強化するという方針」という話題ですが、3日に行われた社会・援護局関係主管課長会議で、「不正受給対策の推進等について-医療扶助・介護扶助の適正化について」として取り上げられています。(下記、保護課資料のp26-31、ファイルは9MBと大きいです)
社会・援護局関係主管課長会議(2010年3月3日開催)
WAMNET資料 保護課・資料(3月4日掲載)
資料によれば、4月から生活保護の医療扶助に関するレセプトの電子化が全自治体において本格運用されるとのことで、医療機関別、生活保護受給者別の医療費分析、傷病別分析など、多彩な統計・分析機能を用いて、的確に現状分析が可能になる他、医療扶助の適正化に向けた取組や生活保護受給者に対する受診指導等にも活用することができるとのことです。
そのため今回の会議では、単に後発医薬品の利用促進だけではなく、電子レセプトを活用したレセプト点検の強化や向精神薬における適正受診の徹底なども関係者に説明が行われています。
話題となった、後発医薬品の利用促進については、
生活保護の医療扶助における後発医薬品の使用促進については、生活保護の指定医療機関等に対して、社会保険と同様、後発医薬品の使用に努めるよう求めるとともに、各実施機関においては、生活保護受給者に対して、後発医薬品について適切に選択できるための理解を得られるよう周知徹底をお願いしているところである。
今後は、電子レセプトの活用によって、福祉事務所等は、既に後発医薬品のある先発医薬品が処方されている生活保護受給者について的確に把握することができるようになる。
具体的には、「生活保護等版レセプト管理システム」を活用することで「医療機関別」及び「個人別」などの後発医薬品の処方実績が把握することができる。
都道府県等本庁及び福祉事務所におかれては、生活保護受給者に係る後発医薬品の処方実績が他の医療機関と比較し低調な医療機関に対し、具体的なデータに基づく処方実績を基に、使用が低調な理由等について意見聴取するとともに、使用促進に向けた協力を依頼されたい。
また、後発医薬品が処方されず、先発医薬品が処方されている生活保護受給者に対しては、個別に助言・指導を行い、必要に応じて差額通知(当該患者が実際に処方されている先発医薬品を後発医薬品に切り替えた場合の医療費削減額を記載した通知)を用いた具体的な援助を実施するなど、後発医薬品の積極的な活用に向けた理解を得られるよう、取組を講じられたい。
と記されており、後発医薬品への変更を強制力をもって指導するものではありませんが、全般的に後発医薬品の処方頻度が少ない施設に対しては、何らかの指導(お願い?)は行われそうです。
後発医薬品の使用促進も大切ですが、むしろ、過剰診療や向精神薬の入手目的の不適切な受診への対策の方が急がれるべきでしょう。
関連ブログ:
[日経DI]「生活保護受給者に後発品」報道に思う
(薬局のオモテとウラ 2011.02.08)
http://blog.kumagaip.jp/article/43298135.html
関連記事:
「生活保護受給者に後発品」報道に思う
(日経DI 2011.02.08 要会員登録)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/kumagai/201102/518450.html
2011年03月04日 13:28 投稿