ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種後に乳幼児が死亡したとの報告が相次いだことを受け、8日、専門家による検討会が開催されましたが、「引き続き情報を集めて検討する必要がある」として、結論は持ち越しとなり、4日から実施している2つのワクチン接種見合わせの措置は継続となったそうです。
平成22年度第11回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第2回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会(合同開催)(2011年3月8日開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000141ko.html
検討会では、まず5つの死亡症例(7日夜にヒブ+BCG同時接種した5例目の死亡症例が公表されています)の概要について検討が行われ、基礎疾患の悪化や感染症、飲み込んだものによる窒息も疑われるという意見が出されたそうです。
またメーカー提出の同時接種の安全性に関する資料も提出され、検討会では「接種と乳幼児の死亡との直接的な明確な因果関係は認められない」としたものの、、「現時点では各症例の基礎疾患の重さも分からず、責任を持って判断ができない」「詳しい病態や同時接種の安全性などの情報が足りない」など、安全性を判断するには、さらに情報収集が必要との意見でまとまったそうです。
また、また、5例のうち3例に先天的な心疾患があったことを踏まえ、先天的な心疾患など基礎疾患がある人に接種する場合には、十分な注意が必要との認識で一致したそうです。
日本におけるワクチンの有害反応の情報開示の仕方にも課題がありそうですね。
なお、この問題は海外でも取り上げられており、米国や豪州では自国民に対し安全性に問題はないとした担当省庁のコメントを紹介しています。
資料:
ファクトシート(平成22年7月7日版)
ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンQ&A <医療従事者用>
肺炎球菌コンジュゲートワクチン(小児用)Q&A <医療従事者用>
小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチン接種の一時的見合わせについてのQ&A
(厚労省 2011年3月9日 Update)
http://www.mhlw.go.jp/stf/kinkyu/2r98520000013zrz-img/2r985200000149fp.pdf
関連情報:TOPICS
2011.03.05 ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの接種を一時見合わせ(Update)
2010.07.08 HPV、Hibなどのワクチン「ファクトシート」
参考:
47NEWS 3月8日(共同通信配信)
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011030801000952.html
朝日新聞3月8日
http://www.asahi.com/health/news/TKY201103080518.html
毎日新聞3月8日
http://mainichi.jp/select/science/news/20110309k0000m040120000c.html
医療介護CBニュース3月8日
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/32914.html
読売新聞3月9日
3月8日 23:20更新 3月9日 9:50更新
2011年03月08日 22:29 投稿
厚労省は、検討会でのとりまとめを公表しています。
「小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの安全性について」のとりまとめについて
(厚労省 2011年3月8日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000146lh.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000146lh-img/2r985200000146my.pdf
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小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの安全性について
平成23年3月8日
安全対策調査会
子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会
1.報告された5例の症例評価について
平成23年3月2日以降、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンを含むワクチン同時接種後の乳幼児において5例の死亡例が報告されており、これらについて評価を行った。
2.ワクチンの検定結果について
国立感染症研究所が実施したワクチンの検定においても、これらのワクチンの死亡報告のあった症例に投与されたロットについての試験結果は、全て変動域内にとどまり、逸脱は認められなかった。なお、宝塚例と西宮例で肺炎球菌ワクチンのロットが同一であったことについては、製造工程等の逸脱等について確認する必要がある。
その他、諸外国での状況や同時接種の安全性、接種者数等の情報について、早急に情報を収集し、次回検討することとする。また、死亡例とワクチンの関連性の検証のためには、関係者の協力を得て、今後、積極的疫学調査を行う仕組みを構築すべきである。
感染症診療の原則で、検討会の詳しい様子が記されています。
サスペンド、というサスペンス(あと2週間)
(感染症診療の原則 2011.03.08)
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/8362cba7cb32bea06b2c775433a3a0a7
(追記・関連ブログ)
ワクチン問題 3月8日会議
(新小児科医のつぶやき)
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20110309
(追記・関連記事)
m3.com 医療維新 3月9日(要会員登録)
http://www.m3.com/iryoIshin/article/133506/
厚労省は6例目の死亡症例を明らかにしています。これもアクトビブとDPTの同時接種です。
ヒブワクチンを含むワクチン同時接種後の死亡報告について
(厚労省 2011.3.10)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014ac1.html
迅速な公表も必要とは思いますが、症例の詳しい内容(基礎疾患の有無、具体的な状況など)を合わせて公表し、現場の小児科医の判断材料となるようにしないとかえって不安だけをあおるような気もしますが。
今回の問題と関連があるかどうかは不明ですが、アクトヒブについて、添付溶剤の一部に異物が混入していたとの報告を受け調査を行った結果、添付溶剤のシリンジ内への異物混入を2件確認したとして、一部のLOTについて自主回収を行うと発表しています。(死亡症例に該当のLOTあり)
乾燥ヘモフィルスb 型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)「アクトヒブ®」の自主回収について
(サノフィパスツール株式会社・第一三共株式会社 2011年3月11日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014f5h-img/2r98520000014f6y.pdf
仮に再開になっても、供給面で不安はないのでしょうか?