スミスリン製剤耐性タイプのアタマジラミが急増

 TOPICS 2008.4.25 で、近年アタマジラミが集団発生しているとの記事を紹介しましたが、この背景にはスミスリン製剤耐性タイプのアタラジラミの急増があるようです。

 2006年から国立感染症研究所昆虫医科学部(http://www0.nih.go.jp/niid/entomology/)では、アタマジラミの殺虫剤(スミスリン)抵抗性の全国調査を行っていますが、解析の結果、抵抗性コロニーの割合は4.8%(2006年)、6.2%(2007年)、14.7%(2008年11月までの暫定)と年々増加していることがわかり、同研究所では抵抗性アタマジラミの全国的な広がりを懸念しています。

アタマジラミの殺虫剤感受性調査について(アタマジラミを送ってください)
   (国立感染症研究所昆虫医科学部)
  http://www0.nih.go.jp/niid/entomology/headlice/headlice.html

 朝日新聞によれば、スミスリンはシラミの神経細胞にある特定たんぱく質に作用し殺虫効果を持つとのことですが、抵抗性タイプはこのたんぱく質の構造を決める遺伝子の一部が変異を起こしているようです。既に、海外では同様の問題が広がっており、米国では抵抗性タイプのものが90%近くに上っているそうです。

 東京都豊島区池袋保健所が2008年1月作成した「アタマジラミ 正しい知識で子どもと対応しましょう[PDF: 945.7KB]」には、「スミスリン剤使用にあたっての注意」という項目があり、アタマジラミが寄生していないのに予防のため毎日使用したり、薬の回数や量が多ければよく効くだろうと毎日たくさん使うケースがあるとして、適切な使用を呼びかけています。

 こういった医薬品こそ、販売時に積極的な情報提供が必要のようですね。

関連情報:TOPICS 2008.04.25 アタマジラミの集団発生にどう対応するか

参考:朝日新聞2月16日
    http://www.asahi.com/health/news/TKY200902160189.html


2009年02月16日 21:55 投稿

Comments are closed.