ドパミン作用薬と性欲亢進・病的賭博に関する続報です。(薬剤師関連のstudyについて、一部については下記のスタイルで紹介することにしました。記述法などに誤り等ございましたらご指摘下さい。)
研究の 目的や背景 |
ドパミン作用薬と性欲亢進・病的賭博との関連性を指摘した2005年の症例報告を踏まえ、通常の治療において同様のケースが認められるかどうか |
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研究の方法 | 後向き研究(retrospective study) |
どんな患者が研究の対象? | ミネソタ州ロチェスターにある Mayo Clinic でパーキンソン病の初期的治療を行っている患者267人の2004年〜2006年のデータ |
何を指標? | ドパミン作用薬の服用と投与量 (267人中うち66人がプラミペキソール(ビ・シフロール)またはロピニロール(レキップ)を服用し、このうちの38人は必要最小量の投与量) |
何を比較? | 薬剤の種類と投与量によって性欲亢進と病的賭博の差違があるか |
わかったこと | プラミペキソールまたはロピニロールによる通常の治療を受けている38人中7人(18.4%)で性的亢進や病的賭博が見られたが、投与の中止または投与量の減量でこれら症状は消失。カルビドパ/レボドパ単独の治療患者176人ではこれら症状は見られなかった。 |
コ メ ン ト | 著名な医学文献(歴史は長い)の論文ではなく、後向き研究であり、エビデンスには欠けますが、ドパミン作用薬と病的賭博や性欲亢進との関連性を改めて示唆するものとして、医学論文を紹介するいくつかのサイトでも取り上げられています。平たく言えば、通常の治療でも6人に1人がこういった副作用に遭遇する可能性があるということです。 研究者らは、ドパミン作動薬投与患者には、配偶者やパートナーも含めこれら潜在的副作用が発現する可能性があることを伝えるべきだとしています。 |
論 文 名 | Frequency of New-Onset Pathologic Compulsive Gambling or Hypersexuality After Drug Treatment of Idiopathic Parkinson Disease |
掲載雑誌等 | Mayo Clinic Proceedings, 84 310-316(2009) |
リ ン ク | http://www.mayoclinicproceedings.org/article/S0025-6196(11)60538-7/fulltext |
関連情報:TOPICS
2008.09.20 パーキンソン病治療薬・酸化マグネシウムの添付文書改訂を指示
2006.11.10 ドパミン作用薬と病的賭博・性欲亢進(英国レポート)
2006.03.21 パーキンソン病とギャンブル依存症
論文紹介記事:
Parkinson’s Drugs May Increase Compulsive Behavior
(Medpage TODAY 2009.4.9)
http://www.medpagetoday.com/Neurology/ParkinsonsDisease/13678
Parkinson’s Disease Medication Triggers Destructive Behaviors
(Medical News Today 2009.4.9)
http://www.medicalnewstoday.com/articles/145673.php
Parkinson’s Drugs Can Trigger Unhealthy Behaviors
(Health Day 2009.4.9)(掲載終了)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=625935
4月13日 9:20更新 2012.11.29 リンク再設定
2009年04月13日 00:31 投稿