これも読売新聞のみの配信記事ですが、警察庁は全国の警察本部を通じて薬品類の販売実態の調査を行い、その結果がこのほど明らかになったそうです。
警察庁がこの調査を行った背景には、近年過激派やテロに関わる人だけではなく、一般の社会人や学生、さらには中高生がネットなどの情報を基に、薬局やホームセンターなどで原料の薬品類を入手し、実際に爆発物を作る、作ろうと試みるという事案が後をたたないためで、警察庁によれば、こういった薬品類を取り扱う業者は薬局やホームセンターなどは55,000業者にも達しているそうです。
この数字は、2004年8月に実施した前回調査より約12.000業者にも増加しており、このうちの約300の業者がネット上で薬品類を販売していることが確認されたそうです。
ネットの危険物の販売については、ネットでの販売は自粛するとしたガイドライン(TOPICS 2008.11.22)が示されてはいますが、オキシドール(濃縮して、過酸化水素水の濃度を上げるようです)などは第3類であり、6月からの新薬事法であらたな業者が販売に乗り出すことを考えるとやはり心配です。
硫化水素自殺のときもそうでしたが、行政などは模倣する人を防止するために、販売に注意すべき商品名を明らかにしてきませんでした。しかし、同級生を殺害しようとして高校1年の男子生徒が、近所のスーパーや薬局やネット通販で原料を調達し、自分で爆弾を製造しようとした事件など、模倣犯ともいえる事案が既に複数あることを考えると、販売業者に対しては具体名とその理由をあげてきちんと情報提供を行うべきではないかと思います。
もっとも、新薬事法で医薬品販売する業者はさらに増えることが予想されます。薬剤師会などの業界団体に所属しない業者もますます増えることが予想されます。こういった情報を今後どこがどのように伝達するかも大きな課題です。(保健所? 警察?)
店舗販売でも同じだとの批判はあるかもしれませんが、ネット販売では相手の姿見えない以上、使用目的を確認することはできませんから、こういったくすりの目的外の使用を見破ることは困難です。ネット販売業者はくすりの販売にあたっては特にこういった危険があることを肝に命じておくべきでしょう。
関連情報:TOPICS
2007.06.12 市販で入手できる薬品を原料に爆発物を製造
2005.07.19 オキシドールは、テロ関連物質として管理徹底を
2007.03.08 英国、プソイドエフェドリンの販売規制を検討
2008.11.22 日本オンラインドラッグ協会が新たなガイドラインを公表
参考:読売新聞4月19日
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090419-OYT1T00056.htm
2009年04月19日 17:55 投稿