26日の各紙が報道しているのですでにご存じと思いますが、奈良県は県内の40代の男性が昨年6月、偽造(模造)されたシアリス錠を服用後数時間後にケイレン、意識低下の症状を訴え、奈良県立医科大学附属病院に搬送された事例があったと発表しています。
模造医薬品による健康被害に対する注意喚起について
(奈良県2011年4月26日)
http://www.pref.nara.jp/secure/64374/press230426.pdf
偽造医薬品の問題は今に始まったことではありませんが、「くすりの誘惑」に負けて、危険性の高い個人輸入がなぜ繰り返されるのでしょうか?
やはり、国による国民への情報提供が不足しているからです。
今回、奈良県では偽造医薬品の現場の写真も記したリーフレットを作成していますが、厚労省もはっきりとしたこういった危険性をはっきりと示した内容のページをすぐにウェブサイトに掲載すべきですね。
「注意しましょう!医薬品の個人輸入」リーフレット(PDF)
(奈良県2011年4月20日から配布)
http://www.pref.nara.jp/secure/64374/reaf230426.pdf
偽造医薬品の問題は、未承認の抗がん剤などの使用を個人輸入に頼らざるを得ない患者さんにとっても大きな脅威です。現在、行われている医薬品等制度改正検討部会でも、患者団体代表の片木委員が、カウンターフィット(偽造医薬品)の害から守るために例外を除いて患者・医療者による個人輸入を禁止することを検討するよう求めています。
片木委員提出の医薬品関係者の安全対策への取組みの促進についての意見書
(第2回医薬品等制度改正検討部会参考資料3)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018rto-att/2r98520000019s3i.pdf
私も同感ですね。
日本での偽造医薬品の現状については、TOPICS 2010.2.14 でも紹介しましたが、金沢大学医薬保健研究域薬学系の木村和子教授らの研究グループが厚生労働科学研究としてまとめた「医薬品等の個人輸入における保健衛生上の危害に関する研究」というもので紹介されています。下記サイトからその内容を見ることができますのでご覧になって下さい。(下記検索画面で、個人輸入というキーワードを入れ、検索をかけて下さい)
厚生労働科学研究成果データベース検索トップ
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIST00.do
資料:
カウンターフィット薬(偽造医薬品) 拡がる汚染、追う対策
(製薬協 メディアフォーラムレポート 2009.6.19)
http://www.jpma.or.jp/media/forum/repo_20.html
厚生労働省と奈良県が個人輸入された模造医薬品に注意喚起
(健康食品の安全性・有効性情報 2011.4.26)
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail1684.html
関連情報:TOPICS
2010.10.15 コードネーム Pangea III(国際刑事警察機構)
2009.11.20 コードネーム Pangea II(国際刑事警察機構)
2010.02.14 日本における個人輸入の実態とネット販売規制の国際的動向
2009.11.11 厚労省・日薬は個人輸入サイトをいつまで野放しにするのか
2009.11.06 ネットでの医薬品購入は危険(英国キャンペーン)
参考:
47NEWS 4月26日
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042601000445.html
2011年04月27日 01:06 投稿