米国では、子どもにOTCかぜ薬などをスプーンで飲ませる習慣(使用法もスプーンで何杯という表現あり)があり、特に台所などにあるスプーンで代用するなどにより過量服用させてしまうケースがあります。こういった、過量防止対策のため4日米FDAでは、液剤のOTC医薬品の容器に関するガイダンスを発表し、偶発的(意図的でない)過量服用の防止対策に乗り出しました。
FDA issues final guidance for liquid OTC drug products with dispensing devices
(FDA Press Release 2011.05.04)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm254029.htm
Guidance for Industry
Dosage Delivery Devices for Orally Ingested OTe Liquid Drug Products
http://www.fda.gov/downloads/Drugs/
GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/UCM188992.pdf
Dosage Delivery Devices for Orally Ingested OTC Liquid Drug Products
(Questions and Answers on Guidance for Industry 2011.05.04)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/MedicationErrors/ucm253718.htm
秤量の目盛がついた専用のカップで計るという一般的な日本と同じスタイルの徹底ということになりますが、目盛にmlという表記だけではなく、‘1TSP’(1Teaspoon)という表記があるのは興味深いところです。
今回のガイダンスを受け業界団体のCHPA(Consumer Healthcare Products Association)は次のようなアナウンスを行っています。
OTC Industry Announces Voluntary Transition to One Concentration of Single-Ingredient Pediatric Liquid Acetaminophen Medicine
(CHPA 2011.05.04)
http://www.chpa-info.org/05_05_11_PedAceConv.aspx
OTC Single-Ingredient Pediatric Liquid Acetaminophen Concentration Chart
(CHPA 2011.05.05)
http://www.chpa-info.org/media/secureresources/r_7175.pdf
OTC医薬品の過量服用で現在最も懸念されているのがアセトアミノフェンです。CHPAでは、アセトアミノフェン単剤の液剤については、現在メーカーによって異なる濃度を 160 mg / 5 mL に統一する、小児用向け製品には専用のシリンジを添付するものに統一し、現在の流通品は段階的に自主回収するというものです。
日本では、アセトアミノフェン単剤のシロップ剤は、OTC製品は現在は確か販売されていませんが、医療用にはカロナールシロップ(20mg/1mL)があります。私たちも留意する必要があるのでしょうか?
関連情:TOPICS 2009.07.01 米FDA諮問委、アセトアミノフェンの安全対策を勧告
2011年05月05日 23:43 投稿
アセトアミノフェンのシロップについては、記事にもあるように嬰児用の高濃度のものと、小児用の低濃度(それでも、日本のものよりは高濃度ですが。)があり、この相互誤認も問題とされていました。
また、計量容器の添付が必ずしもなされる、TeaspoonやTablespoonが計量器として使用され、かつそれらの誤認や大きさのばらつき等も服用過誤につながっているとされていました。
その辺の解消を図ることで、事故の減少が期待されているものと考えられます。
日本では、早期に計量カップの添付、投与量のml標示等が普及していたため、今回の措置が改善になるというのは多少不思議と思われるものと思います。
この辺は、5月に審議会が開催されますので、それも考慮した措置かもしれません。(2歳未満への投与量の設定が進むことが期待されています。)
まいけるさん紹介の米FDAの諮問委員会が17日と18日に開催されます。
May 17-18, 2011: Joint Meeting of the Nonprescription Drugs Advisory Committee and the Pediatric Advisory Committee Meeting Announcement
諮問委員会の資料も13日に公表されています。
Briefing Information for the May 17-18, 2011 Joint Meeting of the Nonprescription Drugs Advisory Committee and the Pediatric Advisory Committee
資料は膨大なので、とても一度には紹介できませんが、小児へのアセトアミノフェン製剤の投与に関するレビュー(薬物動態なども含む)や誤用(過量)服用事例などが紹介されていて、死亡例も少なくないようです。
FDA Briefing Information for the May 17-18, 2011 Joint Meeting of the Nonprescription Drugs Advisory Committee and the Pediatric Advisory Committee (PDF – 5.51MB)
勧告の内容としては、元記事に示したようなもののようです。
FDA weighs new dose info for kids’ pain relievers
(CBS NEWS 2011.05.13 AP配信)
http://www.cbsnews.com/stories/2011/05/13/ap/business/main20062768.shtml
諮問委員会の結果については、いまだ公表が無いようですが、ネットでは様々な媒体で漏れてきています。
OTCの小児用アセトアミノフェン単味製剤では、イブプロフェン単味製剤と同様に2歳未満の者への用量も記載されるようになります。また、濃度は、これまでの小児用と統一され、薄くなります。(この措置は、既にメーカーにおいて発表されています。)
Rxとしてのアセトアミノフェン配合剤は無くなる様子です。また、投与量上限が1日4gから下へ、また1回量も1g(500mg*2)に制限される様子です。
OTCのアセトアミノフェン配合剤については、そのままです。