本サイトでもたびたび紹介している英国のイエローカード副作用報告システム(Yellow Card Scheme)ですが、さまざまな視点からの分析を行ったレポートが英国 NIHR Health Technology Assessment programme(http://www.hta.ac.uk/) のページに掲載されています。(掲載サイトにNHSのクレジットが入っているので、日本でいうところの厚生労働科学研究?)
Evaluation of patient reporting of adverse drug reactions to the UK ‘Yellow Card Scheme’:literature review, descriptive and qualitative analyses, and questionnaire surveys
(Health Technol Assess 2011;15(20):1–234)
http://www.hta.ac.uk/execsumm/summ1520.shtml
http://www.hta.ac.uk/fullmono/mon1520.pdf
http://www.hta.ac.uk/project/1628.asp
このレポートは256ページにも及ぶもので、副作用報告の内容の分析や報告例の紹介、報告者へのインタビューの他、諸外国の取組なども紹介されています。とりあえず気づいたところを抜粋します。
- 世界46か国で生活者による副作用報告システム(consumer reporting schemes)が確認された
- 2年間に寄せられた報告は約26,000件、うち生活者からのものは約20%だった
- 生活者により報告された副作用症状ベスト5
(吐き気、頭痛、めまい、うつ状態、下痢) - 医療専門職により報告された副作用症状ベスト5
(吐き気、頭痛、嘔吐、発疹、下痢) - 生活者による副作用報告の医薬品上位5成分
(シンバスタチン、パロキセチン、アトロバスタチン、アムロジピン) - 医療専門職による副作用報告の医薬品上位5成分
(バレニクリン、シンバスタチン、Pneumococcus, purified polysaccharides antigen conjugated、Rimonabant、エタネルセプト)
研究者らはイエローカード副作用報告システムの有用性を強調する一方、さらなる認知度の向上が必要だとしています。
非常に興味深い内容ですので、さらに気になった部分がありましたら、追記します。
関連情報:TOPICS
2011.04.14 ファーマコビジランスとは(英MHRA)
2011.01.11 副作用自発報告システムの実証研究が始まる
2009.10.25 生活者からの副作用自発報告システムは日本でも必要(国内研究)
2009.01.10 患者副作用直接報告は、医療専門職からの報告を補完する
2008.02.19 イエローカードオンライン副作用報告システムが本稼動(英国)
2007.04.07 Adverse Medicine Events Line(豪州)
参考:
Patient-reports via yellow card scheme reveal profound effects of ADRs
(PJ Online 2011.05.18)
http://www.pjonline.com/news/
patientreports_via_yellow_card_scheme_reveal_profound_effects_of_adrs
2011年05月19日 00:31 投稿