TOPICS 2010.03.20 などで、シンバスタチン(リポバスなど)の併用禁忌などの取り扱いについて紹介しましたが、米FDAは8日、更新情報をアップしています。
FDA announces new safety recommendations for high-dose simvastatin
Increased risk of muscle injury cited
(FDA News Release 2011.006.08)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm258338.htm
FDA Drug Safety Communication:
New restrictions, contraindications, and dose limitations for Zocor (simvastatin) to reduce the risk of muscle injury
(Drug Safety and Availability 2011.06.08)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm256581.htm
FDAでは、シンバスチンを高用量(といっても日本と比較してはるかに多い80mg/日。それでも米国では210万人がこの量で服用しているとのこと)を服用すると服用開始1年間の間に、筋障害やミオパチーのリスクが高まるとして、新規患者への80mg/日処方はしないよう求めた他、相互作用についても更新を行っています。
これまでのラベル | 新しいラベル |
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併用を避ける Avoid simvastatin with:
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併用禁忌 Contraindicated with simvastatin:
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Do not exceed 10 mg simvastatin daily with:
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Do not exceed 10 mg simvastatin daily with:
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Do not exceed 20 mg simvastatin daily with:
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Do not exceed 20 mg simvastatin daily with:
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Do not exceed 40 mg simvastatin daily with:
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Avoid large quantities of grapefruit juice (>1 quart daily) |
Avoid large quantities of grapefruit juice (>1 quart daily) |
ダナゾールとシクロスポリンなどが用量にかかわらず併用禁忌となった他、アミオダロン・ベラパミル・ジルチアゼムとの併用は10mg/日までに引き上げられています。また、今回新たに、アムロジピンとの併用を20mg/日までに定めています。
日本では、シンバスタチンは5mg/日が一般的なので過度に心配する必要はありませんが、アムロジピン+シンバスタチン+グレープフルーツジュースというパターンはあるかもしれないので、留意していた方がいいかもしれません。
また、前回も指摘しましたが日本では、クラリスロマイシン・エリスロマイシン・テリスロマイシン(日本は販売中止)・シクロスポリン・ダナゾールは、併用注意のままです。シンバスタチンの常用量が少ないこともあるのでしょうが、少なくとも原則禁忌に移動した方がいいのではないでしょうか。
関連ブログ:
FDA:シンバスタチン高用量ミオパチー・横紋融解リスク増加
(内科開業医のお勉強日記 6月9日)
http://intmed.exblog.jp/12806880/
関連情報:TOPICS
2010.03.20 シンバスタチンと横紋筋融解症(米FDA)
2008.01.07 スタチンの相互作用情報(英国)
10:45リンク追加
2011年06月09日 10:22 投稿
14日にMedsafeに掲載されたニュージーランド当局発行の医薬情報のPrescriber Updateにも関連情報が掲載されています。
Prescribers are reminded of the potential for serious adverse reactions when statins are prescribed with medicines that inhibit the CYP3A4 isoenzyme.
(Prescriber Update 2011;32(2):13-14)
http://www.medsafe.govt.nz/profs/PUArticles/StatinInteractionsJune2011.htm
興味深かったのは上記記事のリンク先となっている、スタチン・カルシウム拮抗薬・シクロスポリンなどとアゾール系・SSRI・抗てんかん薬・グレープフルーツジュースなどとの相互作用についてまとめた、JOURNAL OF PRIMARY HEALTH CARE 誌掲載の下記表です。
Drug interactions that matter and how to manage them
(vol.1 No2 JUNE 2009 J OURNAL OF PRIMARY HEALTH CARE)
http://www.rnzcgp.org.nz/assets/documents/Publications/JPHC/June-2009/JPHCJune09Insert24WEB.pdf
引用文献が示されていないので、何を根拠としているのかがわかりませんが、下記記載は気になりました。
シンバスタチン+クラリスロマイシンで、
”1000% increase. Avoid combination.”
シンバスタチン+グレープフルーツジュースで
”1500% increase. Avoid combination.”
だそうです。
ちなみに、ニュージランドでは、シンバスタチン製剤はクラリスロマシシン、エリスロマイシンなどとの併用はavoid となっています。
LIPEX®
(simvastatin 10 mg, 20 mg, 40 mg, 80 mg tablets)
http://www.medsafe.govt.nz/profs/Datasheet/l/Lipextab.pdf