2008.9.25 のTOPICS で、消費者団体が行う覆面調査の話題を紹介しましたが、日本でも厚労省の主導で覆面調査を実施するようです。
【厚労省】新販売制度で覆面調査‐消費者モニター導入
(薬事日報 HEADLINE NEWS 2009.7.7)
http://www.yakuji.co.jp/entry14062.html
2008.09.25 記事のコメントにあるように、大手ドラッグでは独自に覆面調査が行われており、海外でもいくつかの国で薬剤師の意識を高める目的で行われているようですが、厚労省では新薬事法で求めていることが、現場でしっかり遵守されているかを確認するためには不可欠と考えたようです。
具体的な方法の検討はこれからのようですが、モニターを募集してただ報告してもらうというのではなく、英国が行ったよう消費者団体などに協力をお願いし、第1類医薬品であれば情報提供が行われた上で適切に販売されているか、また、小児用かぜぐすりなど指定2類などについても適切に販売がおこなわれているかどうか、具体的なシナリオを決めて臨むほうがよいのではないかと思います。
関連情報:TOPICS
2008.09.25 3分の1の薬局がOTC販売時に適切な対応を行っていない(英国)
2009.01.09 OTCアシクロビル軟膏を性器ヘルペス治療に転用?
2009.05.12 OTC小児用風邪薬・咳止め薬のさらなる注意喚起は見送りへ
2008.10.11 風邪薬販売時に薬剤師からの情報提供は必要とされていない?
2009年07月07日 20:58 投稿
この件でブログのエントリー書きました。
「新販売制度で覆面調査」
http://hello.ap.teacup.com/d-inf/1882.html
薬事日報は10日の社説でもこのことを取り上げています
見守りたい新販売制度の実効性(薬事日報 社説7月10日)
http://www.yakuji.co.jp/entry14154.html
毎日新聞によれば、やはり消費者団体に調査を委託するようです。
改正薬事法:市販薬の販売、消費者が「覆面調査」へ
(毎日新聞7月18日)
http://mainichi.jp/select/science/news/20090718k0000e040020000c.html
毎日新聞の記事にもありますが、オンラインドラッグ協会では、医薬品が適切に販売されているかどうかの通報窓口(ちょっと表現がきついかな)を開設しています。
改正薬事法110番
http://www.online-drug.jp/hotline/form.html
「私は第2類の水虫薬を購入しましたが、薬剤師、登録販売者を経ることなく、一般の食品と同様
の感覚で購入できました。」との書き込みがありますが、改正省令第159条の14には次のような条文があります。
(薬剤師又は登録販売者による医薬品の販売等)
第百五十九条の十四
1 薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、法第三十六条の五の規定により、第一類医薬品については、医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師に、自ら又はその管理及び指導の下で登録販売者若しくは一般従事者をして、当該薬局若しくは店舗又は当該区域における医薬品を配置する場所(医薬品を配置する居宅その他の場所をいう。以下この条及び第百五十九条の十八において準用する次条から第百五十九条の十七までにおいて同じ。)(以下「当該薬局等」という。)において、対面で販売させ、又は授与させなければならない。
2 薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、法第三十六条の五の規定により、第二類医薬品又は第三類医薬品については、医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に、自ら又はその管理及び指導の下で一般従事者をして、当該薬局等において、対面で販売させ、又は授与させなければならない。
「薬事法施行規則等の一部を改正する省令」
(平成21年2月6日厚生労働省令第10号)(p27-28の部分)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/shourei.pdf
つまり、薬剤師(又は登録販売者)の管理及び指導の下であれば薬剤師(登録販売者)以外の従事者が医薬品を販売してもよいということになっています。つまり不在はもちろんだめですが、レジから離れたところで、薬剤師又は登録販売者が見てさえいればOKということでしょう。
パブリックコメントでもこのことを指摘しましたが、覆面調査をするのであれば、この条文についてきちんと解釈をする、または見直さないとおそらく問題が生じることは間違いないでしょう。
関連情報:TOPICS
2009.02.26 改正省令の公布とパブコメ結果が公表
2008.09.17 薬事法施行規則等に関するパブリックコメント
多分、質問された場合の想定だと思います。店内で一般従事者が答えるわけにはいかないということだと解釈しています。2類3類の薬への質問の無い客は 自己責任で説明書を読みなさいということになります。
1類は質問があろうと無かろうと説明をしなければ売れないというのと 違います。
ネット販売でも 質問がないのなら「売れる」わけです。
ただ、消費者からすれば 質問できる環境を常に設けるのならば ネットも便利となります。
ケンコーコムのサイトの作りは とても良く出来ていて イカガワシイドラッグより安心安全かもしれません。楽天は ある意味無法なくらい野放し状態だと思います。
店舗も営業時間内は常に質問を受けられる状態ですから、ネット業者も 受け付ける時間帯は常に質問に答えられる状況を確保し、消費者が確かに専門家が答えているという確証を持てる方法を作り出し 業界規制をかけるべきでしょう。そこが無理ならば やはり 販売規制は必要かもしれません。
調査で 対面が行なわれていない現状が強ければ 緩和されるかもしれないし、一方で 副作用被害回避情報の提供がお粗末ならば 販売の自由がもっと規制されるかもしれません。
アスタリスクマークの2類は検討会で議論噴出したと読みました。一般市民へのリスクの公開が 待たれます。
1月15日のRISFAXによれば、覆面調査は4000店舗を対象に今月から始まったようです。
14日に開催された全国厚生労働関係部局長会議会議でも、その概要が報告されています。
一般用医薬品販売制度定着状況調査
(目的)
改正薬事法の趣旨を踏まえ、新たな販売制度の実効性を確保するため、国民の立場から改正法の遵守状況を点検一調査することにより、ひいては医薬品販売の適正化を図るもの。
(実施方法)
以下の方法により調査を実施する予定。
(1)一般消費者としての調査員を選定し、全国延べ4000件を目途に薬局、店舗販売業者等を訪問
(2)店頭等において改正薬事法の対応状況について調査、報告
(調査項目例)
(1)専門家の状況(存否、名札等による判別状況等)
(2)情報提供、相談対応の実態
(3)適切な区分陳列
店頭等における対応状況に問題がある場合は、都道府県等に情報提供をおこなうとのことです。
全国厚生労働関係部局長会議(医薬食品局)(2010年1月14日開催)
資料(WAMNET 1月15日掲載 PDF 14ページ目に)
日経DIオンラインでも記事が出ましたね。
OTC薬・新販売制度で4000店に抜き打ち調査
(日経DIオンライン 1月19日 要会員登録)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201001/513838.html
調査会社大手のインテージが委託したようですね。
来年度も実施されるようです。
見本誌と届けられた、薬局新聞社の「ドラッグストアレポート」5月号の「医薬品販売規制の行方」という特集記事で、覆面調査について触れられていました。
記事によれば、関係者の話として「調査結果がかなり芳しくない」とのことで、ネット販売規制緩和の議論再燃と共に、薬事法の改正の実効性や登録販売者制度の見直しにも議論が及ぶのではないかと指摘しています。
結果の公表は間近のようです。