カルシウム拮抗薬は胃腸症状を悪化させる(国内研究)

  ニフェジピンなどカルシウム拮抗薬(CCB)が下部食道括約筋を弛緩させ、胃腸症状を悪化させる可能性があることは知られていますが、地域薬局も参加したこの後向きコホート研究ではこれを裏付ける結果が得られています。

Influence of calcium channel blockers in patients with gastrointestinal disease in Japanese community pharmacies
J Clin Pharm Ther. Epub ahead of print 2011.03.13)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21395634

 この研究は、長崎県内の5つの地域薬局で高血圧の治療を受けている患者をCCB投与群260人と非投与群155人に分け4年間追跡調査したもので、抗胃酸分泌薬の投与状況で、下部食道括約筋への影響を調べたものです。

 その結果、胃酸分泌抑制薬処方の増量及び変更(H2ブロッカーからPPIなど)が見られたのは、CCB投与群で53人だったのに対し、非投与群では13人に留まり、これはCCB投与の患者では非投与の患者に比べて2.22倍下部食道括約筋を弛緩させ胃腸障害を発症させることを示唆しています。

 研究者らは、高血圧患者にCCBを使用する際には長期間にわたり、胃腸障害に対して注意が必要とし、他剤への変更も検討する必要があるとしています。

 これからはこういった形での地域薬局の医学研究への参加が必要かもしれませんね。

 上記はアブストラクトだけで詳細が不明ですが、WEB検索をしたところ一部が研究者の学位論文(長崎大のHPに掲載。こちらは追跡調査の期間が3年だけど結果は同じみたい)となっていました。今回の記事はこの論文要旨も参考にまとめさせていただきました。

学位論文一覧 医歯薬学総合研究科 博士後期課程 博士(臨床薬学)平成23年1月~2月(長崎大学)
http://133.45.40.32/ja/gakusai/summary/h22/1104ishiyaku_rin/index.html


2011年08月07日 00:33 投稿

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