地域保健医療計画からみた薬局・薬剤師の役割

 新年度を控えて、東京・栃木・和歌山などいくつかの都県では現在、策定した「地域保健医療計画」(案)についてのパブリック・コメントが行われています。

 「地域保健医療計画」は、各都県の保健医療に関し、施策の方向を明らかにする「基本的かつ総合的な計画」としての性格を持つもので、区市町村にとっては行政施策の展開の、民間医療機関や各種団体、企業にとっては活動の、そして都民(県民)にとっては行動の指針となることを期待するもので、おおよそ5年ごとに見直しが行われています。(東京都案より抜粋)

 近年の医療をめぐる環境の変化、医療制度改革や医療法の改正(薬局が医療提供施設として位置づけられる)を受けて、いずれの計画(案)でも「薬剤師」や「薬局」の文字が目立つようになっていて、私たちも中身について知っておく必要があります。

 各都県の案をみると、いずれの都県でも、学校保健(学校薬剤師)における役割、おくすり手帳の活用、糖尿病や脳卒中、がんの医療体制での薬局の活用(在宅支援の施設の一つとして組み込まれる)、薬剤師と他の医療従事者との連携の必要性等が記される一方、読み比べると薬剤師への期待については温度差も感じられます。

 例えば、東京都では薬局にDOTS(直接服薬確認療法、Directly Observed Treatment Short course:結核で患者の服薬を直接確認する治療法)への関与や、糖尿病治療支援医療機関として病院・一般診療所・歯科診療所との情報の共有化・技術的な協力の必要性、薬局と地域の診療所や訪問看護ステーションが連携し、在宅医療サービスを提供していけるよう、東京都薬剤師会等と協力して、薬局の役割を充実させることなどが記され、いわば日頃の薬剤師(会)活動のバロメーターと見ることができます。

 県によっては、追加案としてパブリック・コメントが行われているところもあります。これを機会に自分の住んでいる県の「地域保健医療計画」を確認するのもよいでしょう。

 「東京都保健医療計画(第四次改定)原案」についてパブリックコメントを実施します
   (東京都福祉保健局 2008年1月21日)
  http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2008/01/22i1l200.htm
 「栃木県保健医療計画(第5期)案」に対するパブリック・コメント(県民意見の募集)について
  http://www.pref.tochigi.jp/welfare/iryou/keikaku/hokeniryoup-pc.html
  徳島県保健医療計画の改定原案について県民の皆さんのご意見を募集します。
  (パブリック・コメントは既に終了)
  和歌山県保健医療計画(改定案)に対するパブリックコメントを募集します!
  http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/050100/iryokeikaku/HP/ikenboshu.html

 ※パブリック・コメントの期間終了で、リンク切れになる場合があります


2008年01月24日 11:30 投稿

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