14日のTOPICSで、主婦連がエコナのトクホ認可取り消しと一時販売停止を求めるという記事をとりあげましたが、花王は16日、特定保健用食品「エコナ」シリーズの関連全商品について、17日から出荷・販売を停止すると発表しました。
エコナ関連製品の一時販売自粛について(花王 2009年9月16日)
http://www.kao.com/jp/corp_news/2009/20090916_002.html
エコナ関連製品の一時販売自粛について 第2報(花王 2009年9月16日)
http://www.kao.com/jp/corp/important/20090916_001.html
花王エコナ関連製品の一時販売自粛について(消費者庁2009年9月16日)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin32.pdf
花王では、指摘のあった「グリシドール脂肪酸エステル」(TOPICS 2009.9.14)について、油脂の製造工程における一般的な脱臭の過程で副生されるもので、現時点までの情報、調査からは、安全性への懸念を明確に示す報告はないとしながらも、一部の消費者からの安全性に対する懸念や不安が少なくないとして、今回の自粛に踏み切ったようです。
鳩山内閣発足のタイミングで発表とは、いかに目立たないようにするかのメディア対策が見え見えですね。毎日新聞以外のメディアは、今までスルーだったのにという思いもあります。でも、販売自粛に踏み切ったのは、政権交代で福島みずほ消費者担当大臣が誕生したことも大きいでしょう。あとで集中砲火を浴びるよりという読みもあったのだと思います。第2のエコナもでてくるかもしれませんね。
花王では、「グリシドール脂肪酸エステル」の含有率を減らし、2010年2月の販売再開を目指すとしていますが、波紋は大きいでしょう。トクホ認可のあり方についても今後検討が必要でしょう。
関連情報:厚生労働省への追加資料要求について
(食品安全委員会新開発食品(第62回)・添加物(第75回)合同専門調査会 資料4 2009.8.24)
http://www.fsc.go.jp/senmon/tenkabutu/t-dai75/tenkabutu75-siryou4.pdf
第2回職業がん対策専門検討会(2004年1月21日)(吸入の場合ですが)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0121-2.html
グリシドール(がん原性試験)(上記資料6-1)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/dl/s0121-2f1.pdf
精製植物油中のグリシドール脂肪酸エステル含量の推定
(食品安全情報blog 2009年4月15日)
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20090415/#p9
精製植物油に検出されたグリシドール脂肪酸エステル含量についての初期評価
(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部食品安全情報 No.10/2009 p31)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2009/foodinfo200910.pdf
上記原文→リンク(独語)、Goggle翻訳→リンク(3月10日のPDFをさらにクリックして下さい Googleツールバーが必要かもしれません)
グリシドール脂肪酸エステルについてのQ&A
(食品安全情報blog 2009年5月1日)
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20090501/#p3
TOPICS 2009.09.14 主婦連、エコナのトクホ認可取り消しと一時販売停止を求める
参考:
花王、エコナ商品を販売自粛 発がん性懸念で(47NEWS 9月17日)
http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091601000925.html
毎日新聞9月17日
http://mainichi.jp/select/today/news/20090917k0000m040073000c.html
スタジオパーク 「エコナ 販売自粛」(解説委員室ブログ NHKオンライン 9月18日)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/200/26626.html
9月17日 10:00 18日 9:30リンク追加
2009年09月17日 02:09 投稿
消費者団体が、この問題で25日に集会を開くと伝えています。
花王「エコナ」一時販売停止問題=消費者団体は集会開催へ
(WEB 日本消費者新聞9月17日)
http://www.jc-press.com/news/200909/091701.htm
一方、こちらのブログはかなり手厳しいです。
不健康エコナ問題・・・花王・厚労省・人間ドック学会・マスコミの罪
(内科開業医のお勉強日記 9月17日)
http://intmed.exblog.jp/8975035/
今日、夜に市内のスーパーに行きましたが、棚からこっそり撤去されていて他の商品に入れ替わっていました。販売停止の張り紙すらなかったので、おそらくこの事実を知らない人も多いのではという気がしました。
メディア特にテレビはスポンサーの絡みがあり、伝えづらいんでしょうね。ノリピーよりよっぽど報道の優先順位が高いと思うのですが。
毎日新聞だけは今日も続報していますね。しがらみがないのでしょうか。
エコナ:「正確な情報を出したい」福島消費者担当相
(毎日新聞 9月17日)
http://mainichi.jp/select/science/news/20090918k0000m040070000c.html
福島瑞穂消費者担当相は17日、「(エコナシリーズについて)知らない人が買ったり使ったりしないようにするため広報活動が大事だ。被害が起きているかどうかも検証し、正確な情報を出したい」と記者団に述べたそうです。
日テレNEWS24も伝えていました
エコナの特保取り消しを示唆〜福島消費者相(日テレNEWS24 2009年9月18日 2:57)
http://www.news24.jp/articles/2009/09/18/06143989.html
一方、食品安全委員会は、ジアシルグリセロール(DAG)とグリシドール脂肪酸エステルについての解説のペーパーを出しています。きっと、16日発表というのは前から決めていたんでしょうね。
ジアシルグリセロール(DAG)(高濃度にDAGを含む食用油等に関連する情報)
http://www.fsc.go.jp/sonota/diacylglycerol_dag_20090916.pdf
特定の商品を攻撃するようで、この話題はもうやめたいところなのですが、化学の専門家(?)によるブログの掲載がありましたので紹介します。意見がそれぞれ違うので興味深いです。
【メモ】エコナの話(あくまで所感)【追記した】
(azure blue 9月18日)
http://kuroha.blog.shinobi.jp/Entry/222/
花王の特保、グリシドール脂肪酸エステル含有で販売自粛へ:リスクコミュニケーション詳説
(ひょこむ::市民派化学屋のしごとば にしのみやヘッドオフィス9月16日)
http://hyocom.jp/blog/blog.php?key=102468
個人的には、後者の「グリシドールおよびその化合物に発がん性の疑義が持たれることの化学的論拠についてグリシドールやその化合物に発がん性の疑義が持たれるのは、歪みの大きいエポキシド構造を持つことによっています。」「グリシドールやその誘導体に限らず、一般にエポキシドには、その高い化学反応性(付加反応性)に起因する高い発がんリスクが疑われています。」という部分が目をひきました。
下記サイトで、「グリシドール」と入力して検索をかけると、グリシドールとその誘導体の構造式が表示されます。
日本化学物質辞書WEB
http://nikkajiweb.jst.go.jp/nikkaji_web/pages/top.jsp
それとトクホの認可は消費者庁(http://www.caa.go.jp/)に移管されたようですね。
食品表示に関する制度について
(平成21年8月20日 消費者庁・消費者委員会設立準備室食品表示担当)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/090901foods_1.pdf
上記資料を見ると、
「消費者庁ではJAS法食品衛生法健康増進法の表示規制にかかる事務を一元的に所掌。消費者庁設立後の食品表示業務については、表示基準等の企画立案は消費者庁が担当し、執行業務は関係省庁と連携して実施」となっています。
また、庁内には消費者委員会というのが設置され、この委員会の審議事項として「健康増進法に基づく特定保健用食品の表示の許可申請に対しては、消費者委員会において安全性及び効果につき調査審議を行って許可。」が掲げられています。
エコナの問題もこの消費者委員会で議論の対象になるかもしれませんね。
おそらく今後は、トクホの認可は消費者の視点にたって厳しくなるのではないかと思います。
ネット上で情報を収集していたら、エコナの開発に関して、同社の開発担当の安川拓次氏のインタビュー記事などが掲載されていました。
マーケティングという視点でも書かれているので、興味深いです。
食用油 余りもののリサイクルが、画期的な食用油へ
(ソニー株式会社 CX-PAL51号 2002.1)
http://www.sony.co.jp/Products/SC-HP/cx_pal/vol51/pdf/switchover.pdf
独創的な商品開発を担う研究者・技術者の研究(p103-)
(2005年1月 文部科学省 科学技術政策研究所 DISCUSSION PAPER No.38)
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/dis038j/pdf/dis038j.pdf
後者の方は、アリセプトの開発経緯(こちらは講演を基にまとめられたようです)も記されています。
食品安全委員会は24日、第2報としてQ&Aを発表しています。
高濃度にジアシルグリセロール(DAG)を含む食用油等に関連する情報(第2報:Q&A)
(食品安全委員会2009年9月24日)
http://www.fsc.go.jp/sonota/diacylglycerol_dag_qa_20090924.pdf
Q1 なぜ食品安全委員会では高濃度にジアシルグリセロールを含む
食品の安全性について評価しているのですか。
Q2 リスク評価の進捗状況はどうなっているのですか。
Q3 何が問題になっているのですか。
Q4 ジアシルグリセロール(DAG)とはどのようなものですか。
Q5 グリシドール脂肪酸エステルとはどのようなものですか。
Q6 なぜ評価に時間が掛かっているのですか。
Q7 今後の評価の予定を教えてください。
Q8 エコナ関連商品は食べても大丈夫ですか。