スイッチ候補10成分についての関係学会の意見

 TOPIPCS 2011.04.28 で、スイッチOTC化を推進する医療用医薬品の候補として日本薬学会が選定した10成分が公表され、日本医学会及びその分科会110団体からスイッチが適当かどうかの意見を聞いていることを紹介しましたが、18日開催の薬事・食品衛生審議会一般用医薬品の審議に先立って、12の学会から寄せられた意見を公表しています。

医療用医薬品の有効成分のうち一般用医薬品としても利用可能と考えられる候補成分について
(医学会等からの御意見・平成23年度(1))
(厚労省2011年8月15日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001lsbn.html

成分名 投与経路 意見
コレスチミド(再提案) 内服 × 日本循環器学会
アカルボース(再提案) 内服 × 日本糖尿病学会
オメプラゾール(再提案) 内服 × 日本消化器病学会
× 日本消化器内視鏡学会
メペンゾラート臭化物 内服 ○ 日本消化器病学会(支障はない)
○ 日本消化器内視鏡学会(支障はない)
ポリカルボフィルカルシウム 内服 ○ 日本消化器病学会(支障はない)
○ 日本消化器内視鏡学会(支障はない)
プロピベリン塩酸塩 内服  
セルニチンポーレンエキス 内服  
ピランテルパモ酸塩
(再提案)
内服 ○ 日本感染症学会
○ 日本寄生虫学会(条件付き)
ヒアルロン酸ナトリウム
(再提案)
点眼 ○ 日本眼科学会
メナテトレノン 内服 ▲ 日本整形外科学会

特に意見がないとした団体:
日本皮膚科学会、日本肥満学会、日本消化器外科学会、日本透析医学会

 オメプラゾールのスイッチに対して、消化器外科学会が意見なしとしたのは意外ですね。(あわてて後で出したりして)

 意見書で目に留まったのは、コレスチミドのスイッチ化に対する日本循環器病学会の意見です。

 薬局で販売することの安全性や有用性だけではなく、LDL-Cの自己測定や薬局での迅速検査が認可されていない点、販売方法の徹底や広告の問題などについても言及してあり、きちんと現状を踏まえたものとなっておりたいへん丁寧です。

 循環器病学会の指摘する通り、広告については過大な期待を持たせないような配慮が必要であり、仮にスイッチされたとしても、スイッチ直後は、少なくともテレビ・ラジオでの広告は一定の制限が必要ではないかと思います。

 平成23年度(1)となっているので、まだ整理しきれていないのだと思いますが、審議に先立って(一部とはいえ)事前に公表したことは評価したいと思います。(プロピベリン塩酸塩のスイッチに対して、泌尿器学会の意見は出なかったのでしょうか? まだ、整理中? 残りも公表を。返事がなかった学会は学会名の公表もお願いします)

関連情報:TOPICS
  2011.04.08 厚労省、スイッチ候補10成分を公表
  2011.04.11 スイッチ成分として不適切だとするその理由は?

関連記事:
【スイッチ候補薬】再提案3成分に依然反対‐医学会・分科会が見解
(薬事日報 HEADLINE NEWS 8月16日)
http://www.yakuji.co.jp/entry24002.html

8月16日 リンク追加


2011年08月15日 11:41 投稿

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