ニュージランド(NZ)の医薬品規制機関のMedsafe(New Zealand Medicines and Medical Devices Safety Authority)は7日、風邪薬や咳止め薬成分(経口剤)について、6歳未満にはエビデンスが十分ではないなどとして、ブロムヘキシンを除いて使用しないよう勧告しました。
Cough and Cold Medicines Should Not be Given to Children Under Six
(Medsafe media release 2009.10.7)
http://www.medsafe.govt.nz/hot/media/media2009.asp#7Oct
http://www.medsafe.govt.nz/hot/media/2009/CoughAndColdOct09.asp
Medsafeでは、昨年来の米国、カナダ、英国、豪州などのOTC小児用風邪薬・咳止め薬の使用規制強化を受けて、医師・薬剤師・製薬メーカー・一般などのメンバーで構成される委員会(Cough and Cold Review Group)を新たに設置し、今年の7月と8月の2回にわたり、成分ごとの検討を行いました。(下記ページの下の方に、委員会での議事録・スライドが掲載されています)
Use of cough and cold medicines in children(Medsafe Alerts/Letters)
http://www.medsafe.govt.nz/hot/alerts/CoughandCold/CoughandCold.asp
委員会では、成分ごとに文献(検討文献名も掲載されています)などでエビデンスがあるかどうかチェックした他、安全性、薬物動態、配合剤の是非、パッケージ、小児に適した剤型、くすり教育のあり方などについても検討が行われています。(日本ではここまでやりませんね)
MINUTES OF THE 1st COUGH AND COLD REVIEW GROUP MEETING
(New Zealand COUGH AND COLD REVIEW GROUP 2009.7.23)
http://www.medsafe.govt.nz/hot/alerts/CoughandCold/Minutes1CoughandCold.asp
MINUTES OF THE 1st COUGH AND COLD REVIEW GROUP MEETING
(New Zealand COUGH AND COLD REVIEW GROUP 2009.8.18)
http://www.medsafe.govt.nz/hot/alerts/CoughandCold/Minutes2CoughandCold.asp
この結果、委員会は「ブロムヘキシンを除いて、6歳未満には下記の成分は使用されるべきではない」とした勧告を答申、これを受けMedsafeは6歳未満の風邪薬・咳止め薬の使用禁止に踏み切ったようです。
鎮咳薬 | デキストロメトルファン、pholcodine |
---|---|
去痰薬 | グアイフェネシン、トコン(ipecacuanha) |
鼻粘膜充血除去薬 | プソイドエフェドリン、フェニレフリン(内服) |
抗ヒスタミン薬 | クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、brompheniramine、doxylamine、 triprolidine |
現時点では、OTC薬の業界団体からのコメントは出ていませんが、OTC小児用風邪薬・咳止め薬への影響は避けられないでしょうし、医薬品の分類の変更も行われるかもしれません。
関連情報:TOPICS
2009.05.12 OTC小児用風邪薬・咳止め薬のさらなる注意喚起は見送りへ
2008.07.05 2歳未満はOTC風邪薬は使用せず受診を
2009.03.01 英国当局も6歳未満にはOTC風邪薬・咳止めを使用しないよう勧告
2008.12.19 カナダ当局、6歳未満にはOTC風邪薬・咳止めを使用しないよう勧告
2008.10.08 小児用OTC風邪薬は4歳未満に与えてはいけない(米国)
2008.04.09 抗ヒスタミン剤、2歳未満は処方せんが必要(豪州)
2008.01.18 ニュージランド政府も2歳未満の風邪薬の使用禁止を勧告
2008.12.21 OTC風邪薬による有害事象は、偶発的過量服用だけが原因ではない
2008.01.30 風邪薬・咳止めによる事故の多くは大人の不注意が原因(米国)
2006.01.11 OTC咳止め薬は、本当に有用か?(米国)
2009年10月08日 14:09 投稿