かなり周到に準備されていた、ケンコーコムの個人輸入ビジネスですが、一点だけ国際的に問題がある点を指摘したいと思います。それは薬物問題への意識の薄さです。
シンガポールでは、今年の7月からコデイン類を含む製品の輸出については当局の許可が必要ということもあり、ケンコーコムシンガポール(http://sg.kenko.com/)の販売リストもコデイン類が含まれた製剤(咳止め・総合感冒剤)は外されています。
Export sale of codeine cough preparations will require prior authorisation from HSA(Health Sciences Authority 2009.7.1)
http://www.hsa.gov.sg/publish/hsaportal/en/
health_products_regulation/trade_announcements.html
しかし一方で、国際的に厳しい販売規制(TOPICS 2009.07.30)が行われているプソイドエフェドリン製剤(鼻炎薬)が、いくつも販売リストに載せられています。
パブロン鼻炎錠S64錠(ケンコーコムシンガポール)
http://sg.kenko.com/product/item/itm_6902665772.html
プソイドエフェドリンの問題は本サイトでもしばしば紹介していますが、一部がメタンフェタミン密造の原料にされているとして、OTC製剤についても各国で厳重な販売管理が行われています。(TOPICSS 2009.07.30) 最近でも、豪州やニュージーランドで処方せん医薬品化にする動きがあることなどを考えると、これを販売個数に制限があるとはいえ、ネット上で自由に買える状態にしておくことは国際問題にも発展しかねません。直ちにリストから削除することを求めます。
また、デキストロメトルファン製剤もリストに載せることも好ましくはありません。
国際ビジネスを展開する以上、世の中にはくすりを悪用する人がいるということを、ケンコーコムはもっと認識して欲しいですね。ケンコーコムの薬剤師もこれくらい知らなかったのでしょうか? 国際ビジネスを行う資格はありませんね。
やはり国際ビジネスといいながら、日本向けということしか考えていないのでしょうね。
現在、シンガポール政府がプソイドエフェドリン製剤の輸出入を規制しているかどうかは検証中ですが、少なくとも厚労省も個人輸入だからといってこれを放置すれば、「日本はドラッグ対策が遅れている」というレッテルを張られることになりますよ。
関連ブログ:ケンコーコム シンガポールでのOTCネット販売展開 なんでこの時期に?
(医薬品・化粧品・食品に関する情報提供 10月28日)
http://yakuji.exblog.jp/10389996/
関連情報:TOPICS
2009.07.30 プソイドエフェドリンのさらなる販売規制は行わず(英国)
2007.03.08 英国、プソイドエフェドリンの販売規制を検討
2005.12.12 プソイドエフェドリン配合剤、全米で販売規制へ
2005.11.03 カナダ州政府がプソイドエフェドエリンの販売を規制
2007.01.17 米国中高生の薬物濫用実態調査(旧サイト)
2006.12.06 急増するデキストロメトルファンの濫用(米国)(旧サイト)
2009年10月28日 14:52 投稿