SSRI/SNRI を中心とした 抗うつ薬適正使用に関する提言

 日本うつ病学会(http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/)はこのほど、「SSRI/SNRI を中心とした抗うつ薬適正使用に関する提言」をまとめ、4日、同学会ウェブサイトに掲載しています。

SSRI/SNRI を中心とした抗うつ薬適正使用に関する提言
 (2009年10月30日)
 http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/koutsu/pdf/antidepressant%20.pdf

 この提言は、医薬品・医療機器等安全性情報 No.261 に掲載された「SSRI/SNRIと他害行為について」(TOPICS 2009.9.30)を踏まえ、同学会の抗うつ薬の適正使用に関する委員会としての独自の見解を加えてまとめられもので、抗うつ薬を処方するプライマリケア医(かかりつけ医)および精神科医、心療内科医を対象としたものになっています。

提言では、薬の使い方について、

今回の調査では投与期間の長短、処方変更の有無、併用薬剤の有無や種類などがリスク因子候補になるかどうかは明らかにならなかった。しかし、当委員会としては抗うつ薬を投与する場合には、次のような点に注意を払う必要があると考える。

  1. 用量:一般的な注意点として大量投与は避ける
  2. 用法:原則通り、漸増法、漸減法で行うこと
  3. 投与初期(1〜2 週間)および増量あるいは変更時にはよりきめの細かな観察(通院間隔を短くするなど)を行うことは当然であるが、この時期に限らず、投与前に比して、焦燥感、激越、イライラ感、攻撃的態度などが見られる場合には、投与の継続の可否や鎮静作用のある薬剤の併用などを含め再検討する。
  4. 双極性障害の診断が明確になった場合には、原則として、気分安定薬を主剤とし、抗うつ薬を単独で投与しない

としていますが、全体的には現在の添付文書や医薬品・医療機器等安全性情報を確認する内容に留まっていました。ちょっともの足りないですね。

 Ver.1ということなので、今後も改訂版が示されるとは思いますが、海外報告なども加味した学会独自の見解や、処方時や調剤時に、どのような情報を患者や家族に提供すべきかも具体的に示してもらいたかったですね。

関連情報:TOPICS
  2009.09.30 SSRI・SNRIによる他害行為発生のリスク因子
  2009.05.09 SSRI・SNRIに対し、衝動性亢進の注意喚起を指示
  2009.06.19 日本うつ病学会、「抗うつ薬」の患者・家族向け見解を発表


2009年11月05日 11:10 投稿

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