支払基金が、保険適応外薬の給付を認める事例を公表

 社会保険診療報酬支払基金(http://www.ssk.or.jp/)は28日、第9次審査情報提供事例として、薬剤関係80事例を追加したと発表しました。

第9次審査情報提供事例として 薬剤関係88事例を追加
 (社会保険診療報酬支払基金プレスリリース 2011年9月28日)
 http://www.ssk.or.jp/pressrelease/pdf/pressrelease_222.pdf

審査情報提供 薬剤事例(支払基金2011年9月26日UPDATE)
 http://www.ssk.or.jp/shinsajoho/teikyojirei/yakuzai.html
 http://www.ssk.or.jp/shinsajoho/teikyojirei/files/jirei_yakuzai.pdf

 保険適応外についての診療行為について、保険を給付するかどうかの判断については、審査支払機関の審査に委ねられているのが現状ですが、その審査の透明性を高めるため、2004年7月に同基金内に「審査情報提供検討委員会」が設置、保険適応外の事例についての検討が進められています。

 薬剤関係の審査情報提供については、医薬品の薬理作用に基づく適応外使用事例に関し検討を行い、これまで2007年9月に47事例、2009年9月に33事例として公表、今回の発表はこれに続くものです。

 支払基金では、これら適応外使用保険給付については、あくまでも療養担当規則等に照らし、当該診療行為の必要性、用法・用量の妥当性などに係る医学的判断に基づいた審査が行われることを前提としているとして、本提供事例に示された適否が、すべての個別診療内容に係る審査において、画一的あるいは一律的に適用されるものでないことに留意するよう求めています

 今回の事例には、次のようなすでによく知られた事例も含まれていますが、今後こういった事例について、疑義照会の対象となるのでしょうか?

  • カルバマゼピン【内服薬】→「多発性硬化症に伴う異常感覚・疼痛」、「頭部神経痛」、「頚部神経痛」
  • クロナゼパム【内服薬】→「レム(REM)睡眠行動異常症」
  • セレギリン塩酸塩【内服薬】、メシル酸ペルゴリド【内服薬】→「L-dopa製剤の併用がないパーキンソン病」
  • フマル酸クエチアピン【内服薬】、ハロペリドール【内服薬】【注射薬】、ペロスピロン塩酸塩水和物【内服薬】→「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」
  • リスペリドン【内服薬】→「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」、「パーキンソン病に伴う幻覚」
  • プランルカスト水和物【内服薬】→「現行の適応症について小児」
  • ベラパミル塩酸塩【内服薬】→「ベラパミル感受性心室頻拍」、「片頭痛」、「群発性頭痛」
  • メコバラミン【内服薬】→「帯状疱疹」、「帯状疱疹後神経痛」
  • イソソルビド【内服薬】→「急性低音障害型感音難聴」、「内リンパ水腫」
  • ポラプレジンク【内服薬】→「味覚障害」
  • アデノシン三リン酸二ナトリウム【内服薬】→内耳障害に基づく耳鳴症」、「感音難聴」
  • クラリスロマイシン【内服薬】→「好中球性炎症性気道疾患」

 小児のアレルギー性鼻炎にオノンドライシロップ、アデホスの錠剤を耳鳴に処方しても保険は通りますよということなのでしょう。

 でもそうなった場合、薬情にこれら効能を記してもいいものでしょうか?(適応がないからダメと言われそう)

 また、認知症の関連症状などに抗精神病薬の使用促進につながらないかといったことも気がかりです。

関連ブログ:[支払基金]「適応外だけど審査上はOK」80例追加
        (薬局のオモテとウラ 2011年9月28日)
        http://blog.kumagaip.jp/article/48209682.html

関連情報:TOPICS
 2009.09.17 支払基金が、保険適応外薬の給付を認める事例を公表
 2007.09.25 支払基金が、保険適応外薬の給付を認める事例を公表


2011年09月28日 23:47 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    全日本病院協会のHPに厚労省発出の通知文が掲載されています。

    医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて
    (厚生労働省保険局医療課:H23.9.28)
    http://www.ajha.or.jp/admininfo/pdf/2011/110928_2.pdf

     保険診療における医薬品の取扱いについては、厚生労働大臣が承認した効能又は効果、用法及び用量(以下「効能効果等」という。)によることとされているところであるが、「保険診療における医薬品の取扱いについて」(昭和55年9月3日付保発第51号厚生省保険局長通知)により、有効性及び安全性の確認された医薬品(副作用報告義務期間又は再審査の終了した医薬品をいう。)が薬理作用に基づき処方された場合には、診療報酬明細書の医薬品の審査に当たり、学術的に正しく、また、全国統一的な対応が求められているところである。

     これを踏まえ、今般、当該効能効果等の適応外使用の事例について、社会保険診療報酬支払基金が設置している「審査情報提供検討委員会」において検討が行われ、別添のとおり検討結果が取りまとめられたところである。

     厚生労働省としては、当該検討結果は妥当適切なものと考えているので、その取扱いに遺漏のないよう関係者に対し周知徹底を図られたい。
    (調べたら、2年前も同じ文面だった)

    となっているので、薬情などで効能を記しても問題はないと思ってしまうのですが。