最近の海外における添付文書変更などの措置状況

 11月6日、薬事・食品衛生審議会の平成21年度第2回医薬品等安全対策部会が開催され、3月1日から8月31日までに厚労省が把握した外国での新たな措置状況の概要が公表されています。 

平成21年度第2回薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会(2009年11月6日開催)
 厚労省資料(11月13日掲載) WAMNET資料 (11月10日掲載)  

資料3-5:外国における新たな措置の報告状況[PDF:420KB]

 本サイトで紹介していないや日本での注意喚起が行われていないものを中心に、引用して下記にまとめてみました。(情報は必ず原文でご確認下さい)

医薬品名 措置概要 措置国
アリピプラゾール 欧州EMEA・欧州ヒト用医薬品委員会(CHMP)は、抗精神病薬による静脈血栓塞栓症のリスクが示唆されたため、製品情報の改訂を勧告した。 EU
アレンドロン酸ナトリウム水和物 英MHRAおよび欧州ヒト医療用医薬品委員会(CHMP)は、アレンドロン酸の長期投与患者において近位大腿骨骨幹部ストレス骨折が報告されていることから、ストレス骨折を発現した患者に対するアレンドロン酸投与の中止を医療関係者に通知した。 英国
オキサトミド 規制当局において、小児の偶発的過量投与による心臓系、中枢神経系の重篤な副作用に関するドクターレターが配布された。 イタリア
オランザピン Health Canadaは、非定型抗精神病薬による無顆粒球症について注意喚起を行い、医療関係者に「患者に対し、発熱、咽頭炎、または他の感染症状が発症したときは、直ちに受診するよう勧める」「これらの関連が疑われる場合には、Health Canadaへ報告する」ように求めた。 カナダ
オランザピン、
クラザピン、
ゾテピン、
リスペリドン
抗精神病薬が静脈血栓塞栓事象のリスク増加に関与している可
能性があると、医療関係者に注意喚起した。(→TOPICS 2009.06.05
英国
クロモグリク酸ナトリウム
(塩化ベンザルコニウム)
規制当局は添付文書の警告の項に、添加物である塩化ベンザルコニウムの鼻腔内投与は、鼻粘膜の腫脹を引き起こす可能性がある旨の注意喚起を要請した。また、ドイツの添付文書の警告の項に同様の注意喚起が追記された。 ノルウェー
フマル酸クエチアピン 添付文書改訂
・WARNINGS AND PRECAUTIONS:小児および青少年への使用に関する追記(高血糖、糖尿病、高脂血症、体重増加、甲状腺機能低下症、血圧上昇)
・ADVERSE REACTION(Post Marketing Experience):乳汁漏出症、総コレステロール(主にLDLコレステロール)上昇 など
米国
サラゾスルファピリジン 添付文書変更
・Warnings:咽頭痛、発熱などの臨床症状は骨髄抑制、溶血などの兆候である可能性がある。血液検査の結果が得られるまでは、投与を中断すること
・Adverse Reactions:DRESS症候群、間質性肺炎、肝不全 など  

CDSのUndesirable effectsの項に、間質性肺炎、嘔吐、肝不全、劇症肝炎、DRESS (drug rash with eosinophilia and systemic symptoms)が追記。

米国
ジクロフェナクナトリウム 患者がOTC薬に添付されている服用上の注意、あるいは他の薬剤を服用する場合のリスクを読んでいないとの報告より、処方医はNSAIDsの処方時にOTC薬の使用に関するアドバイスを患者に行うように注意喚起した。 ニュージーランド
シナカルセト塩酸塩 添付文書改訂
・Warnings 及び ・Adverse Events:不整脈の追記
・Precautions:CYP2D6の代謝を受ける併用薬(メトプロロール、カルベジロール)およびミダゾラムに関する追記
米国
ゾニサミド 最新の臨床データを評価し、一部の患者でゾニサミドが代謝性アシドーシスを引き起こす可能性があると決定付けたことについて、医療関係者に対してFDA ALERTを発出。 米国
デフェラシロクス 欧州EMEA・欧州ヒト用医薬品委員会(CHMP)は、製品概要(SPC)に、本剤が投与された患者において、汎血球減少症もしくは汎血球減少症が悪化したとの市販後報告を受けて、新たな警告を導入させた。 EU
CCDSが改訂
・Contraindication:クレアチニンクリアランスが40mL/min未満もしくは血清クレアチニンが基準上限値(年齢調整)の2倍以上の患者
・Warnings and Precautions:高齢者(有害事象の発現率が高い)、腎機能障害のある患者(悪化のおそれ)、血小板減少を有する患者(胃腸出血のリスク)、多形紅斑 等
スイス
フェンタニル フェンタニル経皮貼付剤は、米FDAのPublic Health Advisoryよって、核磁気共鳴画像診断装置(MRI)による検査を実施した場合、患者に皮膚の熱傷を引き起こす可能性があると評価された。 米国
メトクロプラミド 消化器疾患治療薬メトクロプラミドの長期間または高用量の使用による遅発性ジスキネジアの発現リスクに関して、当該製品の使用上の注意にBOXED WARNINGの追加と、リスク評価・リスク緩和戦略(REMS)の実施を要求した。(→TOPICS 2009.02.08 米国
リスペリドン Health Canadaは、非定型抗精神病薬による無顆粒球症について注意喚起を行い、医療関係者に「患者に対し、発熱、咽頭炎、または他の感染症状が発症したときは、直ちに受診するよう勧める」「これらの関連が疑われる場合には、Health Canadaへ報告する」ように求めた。 カナダ
リドガイン塩酸塩
(みずむし・たむしのOTC外用剤も該当)
特定の局所麻酔剤に関連した死亡を含む重篤副作用が報告されていることから、医療関係者と消費者に対して、これらの適正使用と小児への使用に関する注意喚起を行った。(広範囲に塗布しない、投与部位を覆わない、小児は成人よりも重篤な有害事象のリスクが高い等) カナダ

 今後はこれら海外の措置を踏まえ、添付文書の改訂が行われるものと思います。

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2009年11月15日 22:38 投稿

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