12月の薬学雑誌を見ていたら、北大病院薬剤部の笠師久美子氏がまとめた、ドーピング防止に関する総説が目を引きました。
薬剤師のためのドーピング防止リファレンス
(薬学雑誌 129(12):475-1482,2009)
http://yakushi.pharm.or.jp/FULL_TEXT/129_12/pdf/1475.pdf
笠師氏は、地元北海道体育協会が行った国体選手を対象にしたアンケートを引用し、国体選手のなかには近年薬剤師に相談せずにOTC薬を購入する傾向があると指摘するとともに、一般用医薬品の販売規制緩和により、スポーツ選手がインターネットや通信販売により医薬品の購入が助長される可能性が否定できないとして、対面販売による指導と共に、若年者に対する適切な薬剤使用についての指導が必要だとしています。
ドーピング防止に関する研究―国体選手ならびに指導者における薬と栄養に関する意識調査2008
(北海道体育協会 平成20年度スポーツ科学委員会研究報告 第29巻:37-46)
http://www.hokkaido-sports.or.jp/2ikagaku/20090616.pdf
関連情報:TOPICS
2009.11.03 プソイドエフェドリン、2010年からはWADA禁止物質
2008.07.25 高校総体で来年にもドーピング検査が導入へ
2009年12月02日 11:55 投稿
先日、この指摘そのままのケースがありました。
高校生(?)の運動選手を持つ母親が来局
「子どもが、膝が曲がらず時々痛むといって、医者に行っているんだけど、リハビリにも通えないし、なかなか治らないと言っている。ラジオで痛散湯が膝にいいと聞いたんだけど、いい漢方薬はあります?」
「痛散湯は通販でしか買えないですよ」と説明しつつ、よく話を聞いてみると、スポーツは国体に出場するほどのレベルとのこと、痛散湯の成分を見て(麻黄が入っている!)
「お母さん、これはドーピングってやつに引っかかってしまいますよ。趣味でスポーツをやっているのであればいいですが、トップ選手を目指すのであれば、漢方薬も注意が必要ですよ」
母親は
「父親も漢方薬を勧めていたんですが、話を聞いてよかったです」
と言って何も買わずに帰っていきました。
直接、通販で相談したら、果たしてこういった情報提供が行えたでしょうか?
関連情報:TOPICS 2009.07.05 特例販売業のかけこみ取得で伝統薬の新規通販は可能