タミフルの合併症の予防効果を疑問視（海外研究）

　8日、BMJ 誌のOnline Firstに、タミフルには健康成人のインフルエンザの合併症を予防する十分なエビエンスがないとした論文が掲載され、波紋を呼んでいます。

Neuraminidase inhibitors for preventing and treating influenza in healthy adults: systematic review and meta-analysis
（BMJ 2009;339:b5106 Published 8 December 2009）
http://www.bmj.com/cgi/content/full/339/dec07_2/b5106

　この研究はコクランの急性呼吸器感染症のグループ（Acute Respiratory Infections Group, Cochrane Collaboration）がまとめたメタアナリシスで、予防投与に関する12の研究、治療に関する4つの研究、暴露後の予防投与に関する4つの研究（これらの中には日本の研究もあり）を解析した他、米国や日本での副作用報告のデータも考慮されています。

　今回の論文についての評価はさまざまで、「もう既にわかっていること」といった意見がある一方、「解析にあたって、必要な論文が含まれていない」などの批判があります。

　研究者らは、「有益性は少なく、副作用や安全性も考慮されるべきである」と述べるとともに、「ノイラミニダーゼ阻害薬の効果はmoderate であり、これらを季節性インフルエンザの日常的なコントロールにおいて使われるべきでないと考える」と結論付けたほか、BMJ誌の編集長も論説で「科学的にはっきりしていないものに、各国政府は多額のお金を費やしている」と痛烈に批判しています。、

”Governments around the world have spent billions of pounds on a drug that the scientific community has found itself unable to judge.”

Why don’t we have all the evidence on oseltamivir?
（BMJ 2009;339:b5351 Published 8 December 2009）
http://www.bmj.com/cgi/content/full/339/dec08_3/b5351

　この論文について、WHOは、現在のアドバイスを変更しないとコメントを発表、米CDCはコメントしないと発表しています。

参考：New Review Questions Oseltamivir Data
　　（Medpage　TODAY 2009.12.8）
　http://www.medpagetoday.com/InfectiousDisease/URItheFlu/17392
Review Questions Tamiflu’s Effectiveness
　　（Health　DAY　2009.12.8）
　http://www.healthday.com/Article.asp?AID=633837
Value of Tamiflu for regular flu questioned
　　（CBC.Ca 2009.12.8 AP配信）
　http://www.cbc.ca/health/story/2009/12/08/tamiflu-review.html

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2009年12月09日 13:20 投稿