患者の体験を映像や音声、文章で知る(ディペックス・ジャパン)

 活動についてはもう既にご存じの方がいるかと思いますが、がんの体験者による「語り」のデータベース化の取り組みをしている「ディペックス・ジャパン(DIPEx Japan)」は21日、ウェブサイトで患者の体験談などの映像や音声、文章での提供を開始しています。

健康と病いの語り ディペックス・ジャパン http://www.dipex-j.org/

 DIPEx とは、英国Oxford 大学がによって立ち上げられた「患者の語り」のデータベース(Database of Individual Patient Experiences)で、英国ではすでに40種類以上の疾患についての医療体験をカバーしています。

 英国では現在、同大学のThe Health Experiences Research Group と DIPEx Charity という非営利団体がサイトを運営していて、5〜10年以内に100種類以上に広げることを目標にしている他、小児がん、てんかん、I型糖尿病など、子どもの語りを収録したデータベースも立ち上げています。

英国DIPExとHealthtalkonline(ヘルストークオンライン)について
 http://www.dipex-j.org/outline/905.html

HealthTalkonline  http://www.healthtalkonline.org/

YouthHealthtalk  http://www.youthhealthtalk.org/

 上記サイトをみるとわかると思いますが、英国のデータベースは単に体験記や闘病記といった語りだけでなく,スクリーニング検査や妊娠、介護などに関する語りも含まれています。

 今回、ディペックス・ジャパンが公開したのは20〜70代の乳がん体験者43人のデータベースで、語りは「異常の発見」「乳房温存術」「病気と仕事のかかわり」など26の項目に分割、整理されています。

 現在、前立腺がんについてのデータベースの構築が進んでおり、整い次第掲載されるものと思います。

 治療についての患者さんとその家族の迷い、悩みなどを生の言葉で話すことの説得力は大きく、私たちも機会を作って耳を傾ける必要があると感じました。 

関連情報:
佐藤(佐久間) りか .「患者体験」を映像と音声で伝える〜「健康と病いの語り」データベース(DIPEx)の理念と実践.情報管理 51(5):307-320
http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/51/5/307/_pdf/-char/ja/

佐藤(佐久間)りか1),和田恵美子. 「患者の語りデータベース」を活用した医療コミュニケーションの試み.科学技術コミュニケーション 3.2008.89-100
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/32377/1/3_089-100.pdf

がん患者の意向による治療方法等の選択を可能とする支援体制整備を目的とした、がん体験をめぐる「患者の語り」のデータベース
(厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究 文献番号 200721072A、200824059A)
 厚生労働科学研究成果データベースの検索ページ(→リンク)で「患者の語り」をキーワードに検索

医学情報誌「あいみっく」(財団法人国際医学情報センター)
http://www.imic.or.jp/about/imic.html

参考:がん体験をデータベース化 21日ネット開設
   (47NEWS 12月21日 共同通信配信)
  http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009122001000302.html


2009年12月22日 00:22 投稿

Comments are closed.