日本小児科学会(http://www.jpeds.or.jp/)の予防接種・感染対策委員会は14日、ウェブサイトでポリオワクチン接種に関する見解を明らかにしています。
ポリオワクチン接種に関する見解
(日本小児科学会予防接種・感染対策委員会)
http://www.jpeds.or.jp/saisin/saisin_111114.pdf
見解の概要は以下の通りです。
- アフリカ諸国など、世界的にはまだ野生株ポリオの流行が続いており、一旦ポリオが根絶された中国などでも最近野生株ポリオウイルスの流行が起こっています。
- 日本でポリオワクチン接種を見合わせる人が増加すると、免疫を持たない人が増え、国内でのポリオ流行が起こる危険性があります。
- (特に、)生ポリオワクチンを経口接種せず、不活化ワクチンも接種しないでいる状態は、生ワクチンを経口接種するよりも、さらに(生ポリオワクチンを経口投与された児から排出される大量のポリオウイルスによる)ワクチン株由来ポリオ麻痺の発症を高める危険性があります。
- 地域で生ポリオワクチンが接種されているときには同時期にポリオワクチンを接種することが勧められます。なお、世界保健機関(WHO)は、生ポリオワクチンによるポリオ麻痺を予防するために、お母さんからの免疫が残っている間に初回の接種を受けることを勧めています。
- (よって、)IPV が導入されるまでポリオワクチン接種を待つことは推奨できません。
つまり、生ワクチンの接種の政策がとられている国では、野生株のポリオウイルスの感染だけでなく、接種児から排出されるポリオウイルスによる感染リスクもあり、生ワクチン、不活化ワクチンいずれもを接種しないことが最大のリスクということのようです。
神奈川県が不活化ワクチンの接種を後押しするのであれば、接種可能の見通しをできるだけきちんと明らかにして、保護者がきちんと判断できる環境にすべきですね。
関連ブログ:
11/14「ポリオワクチン接種に関する見解」日本小児科学会
(感染症診療の原則 11月15日)
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/fe8ca44ea194cf348cf26e3d9d8dc563
関連情報:TOPICS 2011.10.15 神奈川県、不活化ポリオワクチンの個人輸入を後押し?
18:22 リンク追加
2011年11月15日 16:13 投稿