ノバルティス社が20日公表した、レニン阻害薬のアリスキレン（ラジレス錠）に関する臨床試験の中止が各国で波紋を呼んでいます。
Novartis announces termination of ALTITUDE study with Rasilez®/ Tekturna® in high-risk patients with diabetes and renal impairment
（Novartis Media Release 2011.12.20）
http://www.novartis.com/newsroom/media-releases/en/2011/1572562.shtml
ノバルティス、腎機能障害を伴うリスクの高い糖尿病患者さんを対象にした「ラジレス」によるALTITUDE試験の中止を発表
（ノバルティスファーマ プレスリリース 12月21日）
http://www.novartis.co.jp/news/2011/pr20111221_01.html
この臨床試験は上記にあるように、心血管及び腎イベントの発症リスクの高い腎機能障害を伴った2型糖尿病患者を対象にラジレスへのARBまたはACE阻害薬上乗せ効果を調べたものですが、ベネフィットが期待できない一方、投与開始後18-24カ月から非致死性脳卒中、腎合併症、高カリウム血症、及び低血圧などの有害事象の発現頻度が増えたことが判明し、臨床試験が中止されたというものです。
同社は各国の規制当局とこの結果を受け、対応について今後協議するとしていますが、いち早くEU、英国、カナダ当局はこの発表についてコメントを発表するとともに、EMA（欧州医薬品庁）とMHRAでは、さらなるレビューが進行中の間は、予防的措置として糖尿病患者へのラジレスとARBまたはACE阻害薬の併用を行わないことや、すでに併用治療が行われている患者については、ラジレスの使用を中止することなどを呼びかけています。
European Medicines Agency starts review of aliskiren-containing medicines following termination of ALTITUDE study
（EMA Press Releasae 2011.12.22）（→ リンク）
Questions and answers on ongoing review of aliskiren-containing medicines
Interim advice while review is ongoing
（EMA 2011.12.22）（→ Google 翻訳）
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/
document_library/Medicine_QA/2011/12/WC500119983.pdf
European Medicines Agency starts review of aliskiren-containing medicines following termination of ALTITUDE study – interim advice provided
（MHRA 2011.12.22）
http://www.mhra.gov.uk/Safetyinformation/
Safetywarningsalertsandrecalls/Safetywarningsandmessagesformedicines/CON137929
Rasilez (aliskiren): Health Canada reviewing safety of blood-pressure drug
（Heatlh Canada 2011.12.22）
http://www.hc-sc.gc.ca/ahc-asc/media/advisories-avis/_2011/2011_175-eng.php
同社では今後、ラジレスとACE阻害剤またはARBとの併用に関するプロモーション活動の中止も合わせて発表していますが、日本でもラジレスとARBまたはACEを併用している糖尿病の患者さんは結構いるのではないでしょうか？
日本では現在、高カリウム血症の可能性があるとして、添付文書でラジレスとARB/ACEは併用注意となっていますが、今後、厚労省/PMDAがどのようなアナウンスをするか注目です。（メーカーのその他の項での自主改訂どまりかな）
（12月28日22:50追記）
日本でも予防的措置として、メーカーから併用回避を呼びかけるアナウンスが行われました。（→TOPICS 2011.12.28）
2011年12月24日 00:37 投稿
