大きく変わる国民健康づくり対策~新健康日本21

 TOPICS 2011.12.21 の記事で、医療計画の見直しが進められていることを紹介しましたが、国民健康づくり対策についても見直しが進められていて、2013年度からは新たなものに変わるそうです。(第1回次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会資料より引用)

 国民健康づくり対策というと、皆さんもご存じの「健康日本21」(http://www.kenkounippon21.gr.jp/)がありますが、これは上記の通り20132012年度で終了する(当初の予定は2010年度までだったが延長された)ことになっており、終了を前にすでに最終評価が去年10月に公表されています。

「健康日本21」最終評価の公表~59項目の目標のうち約6割が改善~
(厚労省 2011.10.13)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001r5gc.html

 厚労省では現在、2013年度からの新しい国民健康づくり対策について地域保健健康増進栄養部会の下に設置された、下記専門委員会で検討作業を進めています。

次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f2q.html#shingi40

 そして、12日に開催された専門委員会では、次期国民健康づくり運動プランの骨子(中間とりまとめ)(案)がまとめれ、23日には部会でも検討が行われるとのことです。

第3回次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会
(2012年1月12日開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001zz5s.html

(資料3)国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」改正案 骨子(案)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001zz5s-att/2r9852000001zzjy.pdf

 上記資料から抜粋すると、下記のようになります。

 今までと視点が異なる、上記のような新しい「国民健康づくり運動プラン」の基本的な方向となった背景には、委員から

  • 健康日本21は、個人の生活習慣に着目して作られていたが、個人の健康は、社会環境により大きな影響を受けるので、生活や労働環境など様々な要因を考慮して計画をたてることが必要
  • 健康日本21の反省として、目標が個人の目標が中心だったことがあるので、社会をみる指標をしっかり確立していく必要がある
  • 個人のニーズがないと環境は変わらない。知識が行動に結びつくことを身につけた国民を増やしていくことが重要
  • 個人と環境は両方重要で、車の両輪のようにいずれも必要

といった意見が出された(第2回までの主な意見(第3回資料))ためで、骨子案では、子どもから高齢者まで全ての国民が支えあいながら希望や生きがいを持ち、ライフステージに応じて、健やかで豊かに生活できる活力ある社会を実現ができるよう、国民の健康の増進の総合的な推進を図るという視点での検討が必要だとしています。

 今回これら骨子案を作成するにあたっては、委員から、国民が抱えているさまざまな健康問題についてのそれぞれ意見が提出されています。まだ議事録は出ていませんが、下記資料を見るだけでも、大変参考になります。

次期国民健康づくり運動プランの見直しの方向性(案),論点メモ論点メモに対する意見例
(第1回委員会資料)
次期国民健康づくり運動に関する委員提出資料(PDF:7013KB)
(第1回資料9)

  • 栄養・食生活 p1
  • 身体活動・運動  p15
  • たばこ p19
  • アルコール p27
  • 歯の健康 p33
  • 糖尿病 p37
  • 循環器病 p43
  • がん p51
  • COPD p75
第1回の主な意見(第2回資料)
次期国民健康づくり運動に関する委員提出資料(PDF:7089KB)
(第2回資料1-1)

  • がん p1
  • COPD p25
  • 認知症の予防による社会生活機能の改善 p39
  • 運動器の健康 p49
  • 生涯の健康づくり(特に生活習慣病予防) における母子保健領域・未成年の課題 p77
  • 休養・こころの健康づくり p81

次期国民健康づくり運動に関する委員提出資料(PDF:2346KB)
(第2回資料1-2)

  • 栄養・食生活 (H.23.12.7 版) p1
  • たばこ(H.23.12.7 版)p21
  • アルコール(H.23.12.7 版)p27
  • 歯の健康(H.23.12.7 版)p37
  • 循環器病(H.23.12.7 版)p46
第2回までの主な意見(第3回資料)
次期国民健康づくり運動に関する委員提出資料(PDF:4977KB)
(第3回資料1)

  • 高齢者の健康 p1
  • 「子どもの貧困」からみた健康をとりまく課題 p27
  • 医療現場の視点からの健康づくり p39
  • たばこ(H.24.1.12 版) p41
  • アルコール分野の基本方針と指標について  p59
  • 循環器分野の目標設定について p63
 

 地域薬剤師の新たな活動の場として、OTCを活用したセルフケアの支援(セルフメディケーション)とともに、セルフケアの支援となる情報の提供、疾病予防・健康教育・健康管理・メンタルヘルスなどの Public Health 的活動(=国民健康づくり対策)を広げていく必要性は以前に述べたとおりです。(TOPICS 2011.11.20

 今後、この新健康日本21(おそらく名称は変わるだろうけど)がどのように策定されていくか、またここに地域薬局や地域薬剤師がどのように関わっていくか、薬科大学や職能団体は今から考えている必要がありそうですね。

関連情報:TOPICS
 2011.10.20 日本セルフメディケーション学会で話をしました
 2011.09.11 NCDsと薬剤師
 2011.07.28 公衆衛生分野における薬剤師活動の認知と期待はこれから
 2010.05.08 公衆衛生分野における薬剤師活動の認知度と期待度(英国)
 2008.04.05 薬剤師はさらなる役割を担うべき(英国)


2012年01月23日 01:15 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    遅れてしまいましたが、厚労省HPに最終的なものがアップされています。

    健康日本21(第2次)
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkounippon21.html