抗精神病薬に血栓塞栓症の発症リスクが追記

 厚労省は23日、抗精神病薬について血栓塞栓症発現の可能性についての注意について添付文書への追記を指示しました。

使用上の注意改訂情報(平成22年3月23日指示分)(PMDAウェブサイト)

新たな添付文書では、[重要な基本的注意]の項に

「抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意すること。」

が追記される他、[副作用]の「重大な副作用」の項に

「肺塞栓症、深部静脈血栓症:抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。」

が追記されるそうです。

なお、クロザピン(クロザリル)については、すでに

「肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。」

の記載があります。

 海外の公的医薬品規制機関の対応(TOPICS 2009.06.05)に合わせた改定だと思いますが、日本国内でも事例はあるのでしょうか?

 今後は抗精神病薬を使用中の患者さんについて、血栓・塞栓症の可能性についてモニターするとともに、適切な情報提供が必要となります。

関連情報:TOPICS
 2009.06.05 抗精神病薬と静脈血栓症リスク(英MHRA)
 2009.07.29 高齢糖尿病患者への抗精神病薬の投与は留意が必要(カナダ研究)


2010年03月24日 13:40 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    各メーカーから添付文書改訂の通知が来ていますが、欧州医薬品庁のファーマコヴィジランス作業部会でのレビュー結果が、改訂の根拠のようです。

    Monthly report from the PhVWP October 2009 meeting

    合意された改定案
    Antipsychotics and risk of venous thromboembolism (VTE)
    Final SPC and PL wording agreed by PhVWP October 2009

    日本語訳概要は、下記に掲載されています。

    医薬品安全性情報Vol.7 No.25(2009.12.10)
    http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly7/25091210.pdf