高山病に伴う頭痛にはイブプロフェンやアセトアミノフェンがしばしば用いらいるようですが、今回の研究では、イブプロフェンが痛みだけではなく、胃腸症状などの高山病の諸症状も緩和するとした結果が発表されています。 (薬剤師関連のstudyについて、一部については下記のスタイルで紹介することにしました。記述法などに誤りがございましたらご指摘下さい。)
研究の 目的や背景 |
急性の高山病(mountain sickness)は毎年何千万人の高地旅行者の25%で生じるが、イブプロフェンの使用の有無で低地から高地へ移動した際に高山病の予防とないうるるかどうかを比較 |
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研究の方法 | ランダム化比較試験 |
どんな患者が研究の対象? | 健康成人86人(介入群44人、プラセボ42人)に、朝8時から6時間かけて1,240m(4,100フィート)から最高標高3,810m(12,570フィート)をハイキングをしてもらう |
どんな介入? | 介入群は出発時、午後2時、午後8時、翌朝の計4回にそれぞれイブプロフェンを600mg服用。 (参加者が急性の高山病症状のための治療を求めた場合は、アセタゾラミド(250mgの錠剤)、オンダンセトロン(8mgの口腔崩壊錠)、デキサメタゾン(4mgの錠剤)、酸素吸入などで対応した) |
何を比較? | 頭痛などのの高山病の症状の有無 |
わかったこと | イブプロフェン服用群では高山病症状は19人(43%)だったのに対し、プラセボ群では29人(69%)に達した。 また、胃腸症状は服用群では10人であったのに対し、プラセブ群では19人に達した。 イブプロフェンは高山病の発症率を減らすのに効果的だった。 |
コ メ ン ト | 高山病の予防には現在アセタゾラミド、デキサメタゾンなどが予防薬として使われているとのことですが、OTC薬として使用されている量(日本よりは多いが)で高山病の予防ができるということで、副作用を考慮する必要がある従来の2剤より有用ではないかとしています。作用機序ですが、研究者らはイブプロフェンによるシクロオキシナーゼ阻害が関連しているのではないかとしています。 |
論 文 名 | Ibuprofen Prevents Altitude Illness: A Randomized Controlled Trial for Prevention of Altitude Illness With Nonsteroidal Anti-inflammatories |
掲載雑誌等 | Ann Emerg Med 2012;Online first 2012.03.20 |
リ ン ク | http://www.annemergmed.com/webfiles/images/journals/ymem/FA-gslipman.pdf |
論文紹介記事:
Ibuprofen decreases likelihood of altitude sickness, Stanford researchers find
(Eurek Alert! 2012.03.20)
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-03/sumc-idl031512.php
2012年03月22日 01:44 投稿
MT Proに論文紹介記事が掲載されています。
イブプロフェンが高山病予防に有用な可能性
(MT Pro 2012.07.06 要会員登録)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2012/M45270351/
Ibuprofen Prevents Altitude Illness: A Randomized Controlled Trial for Prevention of Altitude Illness With Nonsteroidal Anti-inflammatories
(Ann Emerg Med 59(6)484-490,2012)
http://www.annemergmed.com/article/S0196-0644(12)00090-X/abstract
フルテキストは元記事のリンクで残っています。
AFP BBNews も記事を配信していました。
イブプロフェンで高山病緩和、米臨床実験
(AFP BBNews 2012.03.23)
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2867370/8687220