TOPICS 2005.12.08で、TV広告が子どもに与える影響について紹介しましたが、英国では子どもの肥満対策として、ハンバーガーやフライドチキン、ポテトチップなどのスナック菓子、清涼飲料水など、糖分や塩分、脂肪分の多いいわゆるジャンクフードのTV広告を規制する動きがあります。
今年の3月に業界団体(Ofcom:OFFICE OF COMUNICATIONS)は10歳以下の子供たちの視聴時間を対象に、広告の放送時間の制限などの3つの規制案を示し、国民からの意見を求めていましたが、政府の食品基準局(FSA:Food Standards Agency)が意見の締め切りを前に、11歳~15歳の子どもたちの4分の1が肥満に直面しているとして、午後9時までの全面禁止を求めたことから、英国内では議論を呼んでいます。
Television advertising of food and drink products to children
(Ofcom 2006.3.28)
http://media.ofcom.org.uk/2006/03/28/television-advertising-of-food-and-drink-products-to-children/
FSA Board responds to Ofcom consultation(FSA 2006.6.15)
http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2006/jun/oftcom
食品業界は近年の子どもたちの肥満の増加は、運動不足やテレビゲームの影響などもあると反発していますが、FSAのこの提案に対し英国の心臓協会や消費者団体、親たちは歓迎の意を表明しています。しかしofcomでは、広告を禁止するとTV会社は、1億4100万ポンド(約290億円)の広告収入の減収となると指摘し、懸念を表明しています。
テレグラフ紙によれば、FSAの案が実施されれば、影響はウェブサイト、コンピュータゲーム、映画館、包装用資材と学校助成金など、テレビ以外の分野にも広く及ぶ可能性が高いと指摘するとともに、サッカーワールドカップで、マクドナルド社とコカコーラ社がスポンサーになっていることを上げ、2012 年に開催が決まっているオリンピックの開催費用をどうするのかといった問題提起をしています。
ジャンクフードの問題は、学校の現場でも取り上げられており、英・米で、清涼飲料水の校内での販売を禁止する動きがあります。日本では利便性からキャンパスや中高校などに多くの自販機が設置、最近ではコンビニの誘致などもすすめられていますが、こういった日本の現状は子どもたちにとって果たしてよいことなのでしょうか?
薬剤師は、中高年の健康増進のための活動には取り組んでいますが、こういった将来のメタボリック・シンドローム予備軍ともいえる、子ども肥満問題に対応する取り組みも必要なのかもしれません。調剤をする傍らで、スナック菓子を売るというのも、将来は考えなければいけないですね。
関連情報:TOPICS
2005.12.08 子供の不健康な食生活を助長するTV広告に警鐘(米国)
参考:
Call for tougher junk food ad ban
(BBC NEWS 2006.6.15)
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/5081964.stm