地域薬局・薬剤師はプライマリ・ヘルス・ケアにいかに融合していくか(雑誌特集)の記事を更新しました
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海外公的機関 医薬品安全性情報Vol.10 No.1

 国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部(http://www.nihs.go.jp/dig/jindex.html)は1月6日、医薬品安全性情報(海外公的機関 医薬品安全性情報)Vol.10 No.1を公表しています。  続きを読む


新しい薬学教育と大学連携(薬学雑誌誌上シンポ)

 薬学雑誌の1月号に、誌上シンポジウム「新しい薬学教育と大学連携」が掲載されています。 続きを読む


新年雑感

 新年あけましておめでとうございます。

 東日本大震災など、2011年はさまざまな出来事があった一年でした。また、薬剤師や薬局関連でもさまざまな動きがあった一年でもありました。

 まだまだ不勉強ではありますが、今年も訪問される方の期待に沿えるよう、私たちと関連の深い情報を中心にわかりやすく提供したいと思います。

 情報等の整理、海外報道の翻訳等には十分注意を払っておりますが、もし誤り等がございましたら、ご指摘頂ければと思います。また、ご意見・ご提言等ございましたら、是非メールまたは投稿のほどよろしくお願いします。

 また、地元の方におかれましては、新しい薬物療法を学んだり、外部の講師を招くなど、さまざまな研究会を行いたいと思います。特に今年からは日薬が「薬剤師に求められるプロフェッショナルスタンダード」や「クリニカルラダー」を利用した生涯学習制度を開始しますので、内容等もこれらに沿えるようにしたいと思います。

 さて、今年2012年も薬局や薬剤師、くすりをめぐる話題や課題は思いついただけでも次のようなことがあります。新年雑感として、皆さんに問題提起をしたいと思います。

1.情報のIT化に現場をどう対応するか

 もう既にご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、調剤と情報の1月号で、「IT活用がもたらす薬局・地域医療の未来」という特集を読まれたでしょうか?

 電子版「お薬手帳」や電子処方せん、患者情報の共有など、ITを活用した全国のさまざまな取り組みや実証実験の進行状況が紹介されています。

 電子処方せんや患者情報へのアクセスなどは海外でも進められており、日本でもおそらく5年後くらいには施行事業から本事業へとなるように思われます。

 ICカード、携帯電話+二次元バーコードなどさまざまな方法が模索されていますが、おそらくコスト面から後者の方法が先行するような気がしています。特にお薬手帳の電子化は一部の企業で本運用が先行しています。

 問題は、これらのうちどのシステムが今後メインになっていくかです。多くの施設が参加して初めて患者さんにとっても医療関係者にとっても有用なものとなります。ポイントカードではありませんが、一部の企業やグループによる患者さんの囲いこみの手段とならないよう、低コストで多くの施設が参画できるよう、システムの統一化や資金面での支援も望まれます。

2.在宅治療における連携で薬剤師の存在を明確に

 IT、ICTの利活用で患者情報の共有がすすみ、今後在宅治療における医療連携はぐっと進むと思われます。

 その中で今後かぎとなるのが、やはり「医療連携クリティカルパス(連携パス、パス)」の作成と活用ではないかと思います。

 医療計画で4疾患(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)のパス作成が明記されたことから、各都道府県は独自のパスを策定しています。

 パスに参加すると医科では診療報酬にプラスにはなることから、医師会が中心となってパスの活用を推進していますが、最近では診療報酬にとらわれないさまざまなパス作りもすすんでいます。

 そしてパスは、患者情報の共有において重要なツールとなります、特に在宅への参加においては共有化できる重要な患者情報源となります。

 しかし、作成されるパスにはくすりに関わる項目が多いにもかかわらず、薬剤師や地域薬局が関われるようになっているものは必ずしも多くはありません。今後これらのパスがIT化される方向を考えると地域医療から薬剤師が外されるのではないかという懸念もあります。

 今年は2013年度から使われる医療計画を策定する年でもあります。特に今回の医療計画では認知症への対策や在宅医療についての事項が盛り込まれることから、ここに薬剤師の役割や関わりが明記されることが重要です。

 全国ではまだまだ知られていない在宅医療におけるさまざまな取り組みがあるかと思いますが、職能団体はまず、こういった取組を集めることと、どこの地域でもこれら取り組みが具現化できるよう、地域でとりくまれているパスに薬剤師や地域薬局の関わりが盛り込まれるよう尽力を願いたいものです。

3.スイッチOTCの将来は暗いのか

 今年は年明け早い時期にもはっきりすると思われる、エパデールのスイッチOTC問題がどうなるかがスイッチOTCの将来を左右する分岐点になるような気がします。

 海外特に欧州やオセアニアなどと比べると、わが国では安全性と有用性が確認された成分のスイッチ化は大きく遅れています。

 一方で、第一類医薬品を取り扱う薬局薬店は必ずしも多くありません。私のところでも、観光客と思われる方から、「この辺のドラッグストアではどこもロキソニンを置いていないのね」と言われたことがあります。

 第一類医薬品が薬剤師の相談の下で販売されるということはまだまだ生活者には定着していない感があります。

 また、販売側も初回販売時だけではなく、指名販売する人や、継続購入者や繰り返し購入者に対する情報提供の在り方を検討する必要があると思います。

4.社会保障改革の行方

 野田政権は昨年末に、党内の反対を押し切り、社会保障・税一体改革の素案を提示しています。

社会保障・税一体改革関係5大臣会合資料について
(厚労省 2011年12月30日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001zh0k.html

 この中で、医療・介護サービス保障の強化として地域包括ケアシステムの構築等を図ることが示され、将来の在宅医療の方向性が示されています。

 また、素案には具体的に示されていませんが、後発医薬品の使用促進や市販薬類似品の保険はずしの問題なども議論の対象となると思われます。

 ここでも、薬剤師や地域薬局の役割が明記されることと、目に見える取り組みが具現化していかないと、保険医療分野での薬剤師や地域薬局の存在や役割がどんどん低下しく懸念があります。(医療費も分配されない)

5.生涯学習の継続と充実の必要性

 冒頭でも触れましたが、今年4月から日薬は「薬剤師に求められるプロフェッショナルスタンダード」や「クリニカルラダー」を利用した生涯学習制度を開始します。

 この制度は現場の私たちも、6年制の薬学教育を受けた新しい薬剤師と同レベルの最新かつ更新された知識の理解と現場での実践を求めたもので、研修会を実施する団体や薬剤師会などは、これを十分意識したプログラムづくりが求められます。

 とりわけ、医療情報の収集と分析や活用術、倫理については学ぶ機会が少なかったように思われます。

 6年制薬剤師に負けないよう、何を学び、それをどう現場に生かすかが私たちに求められています。

6.6年制の薬剤師の期待に現場は応えられるか

 いよいよ、6年制の教育を受けた新しい薬剤師が現場に出てきます。大学で学んだことを実践できることを期待して社会出てくる新しい薬剤師が失望しないよう、私たちもその活動分野を広げていくことが求められます。

7.その他

 昨年に続き、「処方せん記載のルール」が定着していくかです。国家試験前に何とかと思っていましたが、ようやく電子化のためのデータの統一化が大体決まったようなので、大きく動き出すのではないかと思います。

 また、「たばこ対策」も何らかの進展があるのではないかと思います。海外では、公共の場での禁煙が大きく広がり、陳列の禁止の国も広がっています。経済活動に影響を及ぼすとの理由で飲食店などでの禁煙は進んでいませんが、たばこが原因となる疾患の医療費抑制という視点で新たな対策が出てくるのではないかと思います。

 あとは、「たばこ対策」に関連しますが、Public Health(公衆衛生)分野で活動の場を広げることができないかということです。(予防活動・保健福祉情報の提供など)

 本年も、ご指導・応援のほどよろしくお願いします。

関連情報:TOPICS
2011.01.01 新年雑感 2010.01.01 新年雑感  2009.01.01 新年雑感


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