論文・報告あれこれ 2017年9月

 しばらくお休みにしていましたが、ちょっとメモとして再開してみました。来月以降も継続できるかどうかはわかりません。紹介日は基本的にツイートした日です。

 他サイトではあまり紹介されていないものを中心に、ちょっと気になった論文や報告、発表などをピックアップしました。気になったものは独立記事に するかもしれません。誤りがあったらご指摘下さい。必ずしも最近アップされたものとは限りません。(特にJ-STAGE に掲載のものは、発行後一定期間 過ぎてから解禁となるものがあり、1年以上前に掲載された論文等を紹介する場合があります)

 ★更新することが多いので、2013年1月分よりスタイルとURLのタイプを変えました。サイドバーに各月記事へのリンク、右下に最終更新日を記してあります。

 右下にこのページの最終更新日を記してあります。

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ、関連論文)
概要・コメント
09.30 飲食店での受動喫煙に関する意識と情報提供の影響:Web調査による喫煙者と非喫煙者の比較
(日本公衆衛生雑誌64(8) p422-432、2017)
09.29 Estimation of the number of patient deaths recognized by a medical practitioner as caused by adverse events in hospitals in Japan:A cross-sectional study
Medicine 2017 Sep 29)
国内3270の病院に郵送アンケ 大規模な急性期病院(ベッド数500以上)および精神科病院では高かった。
09.26 ACCJ-EBC医療政策白書2017年版
(在日米国商工会議所・欧州ビジネス協会2017.09)

フォロワーさんが紹介してくれたもの。なかなか興味深い
09.26 急増!カフェイン中毒 相次ぐ救急搬送 いま何が
(NHK クローズアップ現代+ 2017.09.21放送)
放送内容をテキスト化
09.25 「2025年度に向けた医療・医療保険制度改革について」を発表
(健保連2017.09.25)

かかりつけ薬局または薬剤師がいる13% かかりつけ薬剤師の仕組みを「知らない」62%など
09.25 Millions of medicines seized in largest INTERPOL operation against illicit online pharmacies
(Interpol 2017.09.22)

Pangea X の取り組み状況です。例年独立記事にするのですが今回もこれで勘弁を

09.20 Safety Concerns Reported by Patients Identified in a Collaborative Signal Detection Workshop using VigiBase: Results and Reflections from Lareb and Uppsala Monitoring Centre
Drug Safety 2017 Sep 20)
Lareb と Uppsala Monitoring Center によるシグナルの検討。まだあまり知られていない有害事象の検討が記されています
09.19 Pharmacy warfarin service benefits thousands
(Beehive.govt.nz 2017.09.19)
ニュージランド保健相の談話
09.18 Salbutamol and hallucinations
(Lareb 2017.8)

オランダLarebによるシグナル検出。吸入薬での報告もある。
09.18 The Low-Dose (7.5 mg/day) Pioglitazone Therapy.
J Clin Med Res. 2017 Oct; 9(10): 821–825.)
レビュー
 09.18 Individual background factors associated with vaccination for seasonal influenza in Japanese schoolchildren.
J Infect Chemother. 2017 Sep 12)
2014-15年シーズンの終わりに、長野県松本市の29の公立学校に通う全13,217人の小学生の両親(保護者)を対象に行われたアンケート調査結果。インフルエンザワクチンの接種率は48.1%。きょうだいの人数や前シーズンの接種状況などで解析
 09.13 Pharmacy at a glance: 2015–2017
(FIP 2017.9)

世界の人口の4分の3以上を占める50%以上の国や地域で、数多くの高度なコミュニティ薬局サービスが提供されているが医療保険の対象となっているのは12%に過ぎない
09.13 日本の漢方製剤産業の歴史
(薬史学雑誌 50(1) p1-6 2015)
09.13 Reversible global aphasia as a side effect of quetiapine: a case report and literature review
Neuropsychiatr Dis Treat 2017 Aug 28)
台湾の症例報告
09.13 Association between dietary patterns and cognitive function among 70-year-old Japanese elderly: a cross-sectional analysis of the SONIC study
Nutr J 2017 May 10)
日本の4地域1000人のコホート研究。野菜、大豆製品、果物、魚の摂取量が多い食事は、高齢者の認知機能に有益な効果をもたらす可能性があることが示唆された。
09.13 Establishment of Application Guidance for OTC non-Kampo Crude Drug Extract Products in Japan
J Intercult Ethnopharmacol 2017 Jul 16)
09.12 ご存知ですか? 「かかりつけ薬剤師」
(NHK おはよう日本 2017.09.12)
放送をテキスト化したもの。 かかりつけ薬剤師じゃないと仕事をしていないみたいで・・ 誤解されなければいいのですが。 かかりつけ薬剤師とかかりつけ薬剤師制度(保険)とごっちゃになっていないか?
09.11 「後発医薬品導入率」「院外処方率」および「薬剤値引き率」等の変化が病院経営に及ぼす影響:一般的な線形式作成による薬剤収益試算と感度分析を用いた損益変化の検討
(医療情報学 16(3) p123-134,2016)
院外処方によりこれまで病院が得てきた薬価差益減に恨み節?
09.11 スマートフォン向けフリーマーケットアプリケーションにおける医薬品出品の現状と違反報告への対応
(薬学雑誌 2017.09.05 早期公開)
日本中毒学会総会・学術集会での発表の論文化。薬局新聞で関連記事が出てました

09.11 Association between health literacy and patient experience of primary care attributes: A cross-sectional study in Japan
PLoS One 2017 Sep 8)
09.11 Association of high-density lipoprotein cholesterol concentration with different types of stroke and coronary heart disease: The Japan Public Health Center-based prospective (JPHC) study.
Atherosclerosis. 2017 Sep 7)
09.10 Pharmacy: a way forward for public health
(Public Health England 2017.9)

薬局の役割を具現化するためのガイダンス。日本じゃ作成なんか無理
09.09 A randomized controlled trial of eicosapentaenoic acid in patients with coronary heart disease on statins.
J Cardiol. 2017 Aug 31)
山形大などの研究。EPA / ピタスタチンの併用は、ピタバスタチン単独と比較して、冠動脈プラーク量を有意に減少させた。
 09.09 Benzodiazepines and Z-Drugs: An Updated Review of Major Adverse Outcomes Reported on in Epidemiologic Research.
Drugs R D. 2017 Sep 1. )
 09.09 Incidence and characteristics of accidental falls in hospitalizations
Nagoya J Med Sci. 2017 Aug; 79(3): 291–298.)
80歳以上高齢者のスリッパ着用はリスク増
 09.09 Review: A Japanese population-based meta-analysis of vonoprazan versus PPI for Helicobacter pylori eradication therapy: Is superiority an illusion?
Helicobacter 2017 Sep 8)
09.09 Lipid lowering nutraceuticals in clinical practice: position paper from an International Lipid Expert Panel
Arch Med Sci. 2017 Aug; 13(5): 965–1005.)
様々な健康補助食品のレビューを紹介
09.09 The Association Between the Use of Zolpidem and the Risk of Alzheimer’s Disease Among Older People.
J Am Geriatr Soc. 2017 Nov;65(11):2488-2495)
台湾の後向きコホート研究。累積投与量が多い(使用期間が長い)とリスク増が認められた。
09.09 PMDAのJADERデータベースを用いた漢方薬の副作用解析
(医薬品情報学 16(1) p16-22,2014)
2004年4月から2013年2月までの医療用漢方製剤1958件の報告について検討したもの。被疑薬として最も多かったのは芍薬甘草湯312件、次いで防風通聖散200件、柴苓湯131件だった。。芍薬甘草湯は本来短期使用が望ましいが、安易な長期連用が報告数を押し上げていると思う。
09.09 厚生労働省副作用情報に基づく一般用漢方製剤の副作用の件数と内容の調査
(日本東洋医学雑誌 67(2) P184-190,2016)
一般用漢方製剤の副作用について,厚生労働省のホームページの副作用情報より,2005年度から2014年度の10年間の件数,内容と変化について検討。防風通聖散を始めとするオウゴン配合方剤と葛根湯は今後の販売等に適切な改善を求めた。
09.08 社会保障制度の制度改正の政策効果及び人口減少と世帯の多様性に対応した社会保障制度・地域のあり方に関する研究
(H28厚生労働科学研究)
下記論文の元となった厚生労働科学研究。分担研究が興味深い

  • 年金・医療・介護の制度改正及び地域包括ケアシステムに関する研究
  • 社会保障財源・子育て支援の制度改正と雇用・賃金に関する研究~子ども医療費助成制度における助成対象範囲の差異について、自治体は子ども医療費助成の対象範囲を決定するに際し、「年少者人口」、「一人あたり医療費」、「地域住民の所得水準」を考慮するものの、自らの「財政力」については十分勘案していないこと等が示唆された。
  • 後発医薬品利用促進策と後発品利用状況の地域格差の研究~都道府県パネル・データで後発医薬品利用率に与える影響要因を分析したところ、県民所得や高齢化の程度が後発医薬品利用率に有意な影響を及ぼしていることが示唆された。
09.08 Analysis of Regional Variation in the Scope of Eligibility Defined by Ages in Children’s Medical Expense Subsidy Program in Japan
Front Pharmacol 2017 Aug 22)
小児医療助成制度に関する、法政大経済学部の菅原琢磨氏の論文。神奈川、埼玉、千葉、栃木、茨城5県219市町村の制度および社会経済的要因の影響を調査解析。自治体財政規律に懸念。
 09.06 FDA recommends separating dosing of potassium-lowering drug sodium polystyrene sulfonate (Kayexalate) from all other oral drugs
(FDA Drug Safety Communication 2017 Sep 06)
ケイキサレートと他の経口薬は3時間(胃不全麻痺や胃から小腸への内容物排出遅延がある患者では6時間)開けるよう注意喚起。
 09.06 Association of use of selective serotonin reuptake inhibitors with risk of acute pancreatitis: a case-control study in Taiwan
Eur J Clin Pharmacol 2017 Aug 30)
09.06 Suspected Adverse Effects After Human Papillomavirus Vaccination: A Temporal Relationship Between Vaccine Administration and the Appearance of Symptoms in Japan
Drug Safety 2017 Jul 25)
信州大の報告 ワクチン投与と症状発現との時間的関係を解析
09.06 Safety Concerns with HPV Vaccines Continue to Linger: Are Current Vaccine Pharmacovigilance Practices Sufficient?
Drug Safety 2017 Aug 31)
HPVワクチンについてのファーマコビジランスの現況について解説した、ウプサラモニタリングセンターの報告。日本の報告にも言及。
09.06 カルバマゼピンとラモトリギンが関連した副作用の現状調査:「副作用が疑われる症例に関する情報」、「副作用救済給付の決定に関する情報」と「レセプト情報・特定健診等情報データベース」による解析
(医薬品情報学 19(2),p72-91,2017)
09.06 Nicorandil — Updated Indication and Risk of Ulcerations
Prescriber Update 38(3): 46-47、Sep 2017)
これもそう。結構認知はされてきたが、まだ知らない医師もいるのではと思うことも。
09.06 Montelukast — Reminder about Neuropsychiatric Reaction
Prescriber Update 38(3): 40、Sep 2017)
副作用モニタリングセンターには関連性が疑われる12の精神神経系の副作用の報告がある。日本でも重大な副作用の項に記載されているが、この情報をどこまで伝えるかは悩ましい。
09.06 Warfarin and Calciphylaxis — A Rare but Serious Adverse Event
Prescriber Update 38(3): 38-39、Sep 2017)
慢性腎不全患者には注意が必要
 09.06 Drug Interactions with Lithium and Therapeutic Drug Monitoring
Prescriber Update 38(3): 36-38、Sep 2017)
カフェインやテオフィリンもリチウム血中濃度を低下させる可能性がある

09.05 Desloratadine, loratadine and weight increase in children
(WHO Pharmaceuticals Newsletter No. 4, 2017)
シグナル検出。他の第2世代抗ヒスタミン在はどうなんだろう?
 09.05 Adverse effects of proton-pump inhibitor use in older adults: a review of the evidence
(Ther Adv Drug Saf 2017 Jun 29)
09.04 身体装着型の二酸化塩素放散製剤の検証
(日本環境感染学会誌 32(4) p222-226,2017)
二酸化塩素のガスの放散によるウイルスや細菌の除去を標榜する市販の四社の四製品について、その効果の有無を検証。イメージ先行のビジネスに結び付けられている面も否めないとした。
 09.04 療養病床を有する医療機関における薬剤耐性菌および抗菌薬使用の現状,および感染症診療への教育的介入効果
(日本環境感染学会誌 32(4) p201-209,2017)
北中城若松病院の報告。療養病床における薬剤耐性菌の現状と、感染症診療への介入による診療の質の推移を評価した.
09.04 Effect of reducing cost sharing for outpatient care on children’s inpatient services in Japan
Health Econ Rev.2017 Aug 15)

慶応大の研究。全市区町村が実施する小児医療費助成は、低所得地域の入院を減らす効果があるとした。
09.04 Parkinson’s disease discovery: Medication could HALVE risk of condition
Science 2017 Sep 1)

サルブタモールがパーキンソン病に有用かもしれない
09.04 ANTIMICROBIAL STEWARDSHIP (AMS) Quick reference guide
(RPS 2017.08.31)

英国王立薬剤師会が会員向けに独自にまとめた、抗微生物薬適正使用の手引き。日薬もこういうものを作るんじゃなかったっけ。
09.01 Antialbuminuric effect of eplerenone in comparison to thiazide diuretics in patients with hypertension
J Clin Hypertens 2017 Aug 28)
国内研究
09.01 Randomized phase II study of TJ-54 (Yokukansan) for postoperative delirium in gastrointestinal and lung malignancy patient
Mol Clin Oncol 2017 Aug 1)
術後のせん妄のリスクを低下させる可能性がある

 


最終更新日:2017年11月12日