第 7 章

創造への道は一筋





 地球上3,552種類の哺乳動物の内、人間だけが文明と文化を築いて、生活の向上、延命、増殖を続けて来ました。そのもとは強い未来心→好奇心でした。若者の感受性が強いということは、好奇心が強いと言い換えてよく、それが若い年代の人の、すばらしい個性の発現−独創、創造−に繋がるのです。
 イギリスの歴史家トーマス・カーライル(1795〜1881)は、「バカと利口の分かれ目は、好奇心の有る無しだ」といいました。ここにもう一つ加えるべき重要な条件は、それに本気で熱中→凝ることです。「継続こそ力」ですから…。
 努力、勉強は中国語で、「いやいやながらやる」という意味があって、教育用語には使われず、加力(ちゃりー)とか加油(ちゃゆー)という言葉を使います。「もっと馬力を出せ」の意です。
 エヂソン(1847〜1931)の言葉→「99%の汗から1%の新着想」は有名ですが、ダラダラ汗を流して努力の結果…ではなくて、汗の流れるのも忘れて凝った結果…が本当です。彼は小学校へ入ってたった3ヵ月、教室で自分の好きなことをするばかり…。先生から「この子の頭は腐っている」という理由で退校になりました。母親は「それなら私が教えます」といって引きとり、彼は母から読み書き、算数を習いました。12歳の時、鉄道の新聞売子となり、汽車の中でも機械の工夫を続けました。成人して炭素電話機、白熱電灯、蓄音機、映画機、磁力選鉱機、アルカリ乾電池…などを発明、彼の特許は実に1,300を越しました。電球の研究から発見した「エヂソン効果」は、のちの真空管の発達に繋がるものです。
 人間、金や物の報酬だけで動く内は、小人か中人です。こういう大人といわれる人は、正しい、意義のある仕事、自己実現の満足感、称賛や名誉のために、物凄いチャレンジ精神を発揮した人たちです。またこういう真理の発見者は、好奇心が強くて、常に定説を疑ってかかる知的冒険者であって、それを幸運が助けたのです。運・不運は第4章で示した当人の性格と「選択の適・否」であり、「幸運も実力の内」に入る場合も多い…。
 何事でも「凝りに凝る人にはかなわない」…これは私の実感です。



第8章 個性は不平等で不公平が自然で真実

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