2003/11/04-06 改革クラブ 会派視察 | |
企業誘致に関して、SHARP誘致に成功した三重県津市(県庁)と亀山市を訪問した。 また、チャレンジド(障害者)の社会参画の先進的なプロジェクトである「チャレン ジド・クリエイティブ・プロジェクト(CCP)」を立ち上げた社会福祉法人プロップ ステーションと株式会社フェリシモを訪問すべく神戸市に行った。 さらに阪神・淡路大震災記念「人と未来防災センター」ならびに、危機管理に関して 神戸市役所を訪問した。 今回の視察先は、6月11日の前三重県知事北川正恭講演会(太田市)と、9月6日の 「今輝いて生きる!女と男」で竹中ナミ(プロップ・ステーション理事長)氏の講演を 聴いたことがきっかけとなった。 視察行程 11月4日(火) 足利市→三重県 1)三重県庁(津市)訪問 2)亀山市役所訪問 津市泊 11月5日(水) 津市→神戸市 1)社会福祉法人プロップ・ステーション訪問 2)株式会社フェリシモ訪問 3)人と防災未来センター 見学 神戸市泊 11月6日(木) 1)神戸市役所訪問 神戸市→足利市 |
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☆三重県ならびに亀山市視察 三重県シャープ誘致の概要 平成12年に北川三重県知事(当時)は、県内に液晶産業を集積させるクリスタル バレー構想を打ち出した。翌年にはシャープが10万坪の用地を物色している情報を 得て、誘致活動を開始した。 そして、平成14年2月に三重県亀山市進出の記者発表を行った。優遇策として注 目されたのは、90億円の支援である。しかし、シャープ誘致や90億円の支援は、 県議会に説明なく進められた経緯があった。この件に関して北川知事は「シャープ にとって工場立地は極秘扱いだった」と理解を求め、また「液晶産業は、国も育成 に力を入れている。海外や国内の他自治体も誘致に動いており、三重よりも有利な 条件を示していた」と、90億円支援の正当性も主張した。 自治体の補助金 ◆三重県 90億円 ◆亀山市 45億円 (15年に分割) →法人事業税や個人住民税などの増収で10年間で回収可能(見込み) シャープの誘致効果 ◆シャープ亀山工場で、約1,500人の新規雇用 ◆関連企業進出で、約12,000人の雇用増加 ◆直接投資額が、約1,000億円 など 視察内容 ○三重県庁 三重県の企業誘致に対する基本的な姿勢、さらにSHARP誘致までの経緯や 誘致がもたらす経済効果に関して話を伺う。 ○亀山市 SHARP誘致に関して、県との関係や最大45億円の補助金に関すること、 さらに、亀山市への経済波及効果等について話を伺う。 また、現在テスト稼働をはじめているSHARP亀山工場の見学にいった。 |
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シャープ亀山工場外観。 |
コメント) 三重県と亀山市の両方でお話をお伺いし、まず最初に感じたことは、県と市の 受け取り方の違いだった。確かに県レベルで見れば、雇用増加や個人住民税の増 加が見込まれる。しかし、亀山市の立場で考えると、亀山工場は近隣市町村から の通勤圏なので、亀山市単独ではそれほど大きな効果は見込めないようであった。 また、市単独でできることは県レベルと比べると、はるかに小さいことも感じた。 足利市の企業誘致優遇策は、近隣他市と比べればいいものになっている。しか し、90億円とか45億円といったインパクトのあるものではない。また今日で は、優遇策だけで企業を誘致することはできない。クリスタル・バレー構想のよ うに企業誘致のテーマを絞るなど、その方針を明確化することなども考えなけれ ばならないであろう。 |
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☆プロップ・ステーションならびに(株)フェリシモ訪問 チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト(CCP)について 小規模作業所・授産施設など「障害者の福祉就労」といわれる場を「本当の働く 場」にして行くために、産官民の連携によってこの課題を解決していくためのプロ ジェクトである(兵庫県、神戸市、(株)フェリシモ、プロップ・ステーションの 合同プロジェクト)。 プロップ・ステーションが全体をマネージメントして、兵庫県と神戸市が小規模 作業所・授産施設などへの仲介役となり、(株)フェリシモが実際の商品開発と販売 を担当している。 視察内容 ○プロップ・ステーション 竹中ナミさん(通称ナミねぇ)にお会いし、お話をお伺いすることができた。 最初の企画は今年夏に既に終了し、成功を収めたとのことだった。また、CCP に和歌山県知事も大変興味を示していて、今度和歌山県で同様のプロジェクトを 企画しているとのことだった。 竹中ナミさんの著書紹介 『ラッキーウーマン マイナスこそプラスの種!』飛鳥新社 2003年 『プロップ・ステーションの挑戦 「チャレンジド」が社会を変える』 筑摩書房 1998年 ○(株)フェリシモ 企業という立場から、CCPについていろいろとお話をお伺いした。 今夏に行った企画はクッキーだったが、「うずまき」というテーマで自由に 創作してもらったとのことだった。 今回は“同じものがない”製品であったが、そのような概念にとらわれるこ となく、各作成者の特長を引き出す企画を考えていくとのことだった。 |
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竹中ナミさんと。 |
コメント) 竹中ナミさんは、とにかくパワーがあり、前向きに生きている方だ。 CCPのような企画を足利市に導入するには、まだ時間がかかると感じた。 また、和歌山県での試みが、今後全国的に広がっていくかどうかの試金石になる かもしれない。 プロップが提唱している「チャレンジド」という呼称は、障害をマイナスとの み捉えるのでなく、障害を持つゆえに体験する様々な事象を自分自身のため、あ るいは社会のためポジティブに生かして行こう、という想いが込められている。 また、アメリカでは、福祉はできないことを補うという意識ではなく、その人の できることを引き出すという意識らしい。まずは、このような意識改革が先に必 要なことかもしれない。 |
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☆阪神・淡路大震災記念「人と未来防災センター」見学 1995年1月17日午前5時46分に起こったことを再現したビデオや、震災後のまちの 様子、復旧への道のりなどが紹介されていた。 |
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「人と未来防災センター」外観。 奥の建物は「ひと未来館」 |
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1995年 1月17日 午前5時46分 が刻まれている。 |
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コメント) “そのとき”を再現したビデオは、かなり真実に近いとのことだったが、本当 にあれほどのことが起こったのか?と思ってしまうほどの内容だった。とにかく 強烈だった。 |
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☆神戸市役所訪問 神戸市の危機管理について話をお伺いした。 地震などの自然災害だけでなく、SARS や地下鉄サリン、十勝のオイルタンク火 災、ワールドカップなども危機管理の対象で幅広い。したがって、どのようなこと が起こるのか、予測がつかないことに対して備えるのが危機管理といってもよいと のことだった。 さらに阪神・淡路大震災の経験について、お話をお伺いした。 ちなみに神戸市の危機管理室は平成14年にできたので、1995年当時の対応は、 通常の市町村同様であった。 |
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神戸市役所から眺めた市内。 震災の傷跡はもう一見しただ けではわからない。 |
コメント) 何が起きるかわからないことに対して備えるというのは、大変難しいことであ る。普通、非常事態下では市長をトップとした組織体型が考えられているが、 阪神・淡路大震災のような大惨事には、到底これでは処理しきれない。そういう 時にどうするかを考えることが危機への備えなのかもしれない。 |
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総評)視察先を決める主な基準は「先進地」であることである。そういう意味から 今回の視察先は適地だったといえる。 今後はこの視察で学んできたことを、足利市政へ活用できるようさらに勉強 を進めていきたい。 |