2008/7/28,29 緑風会会派行政視察(新発田市・三条市) |
新潟県新発田市(7月28日) 視察項目(1)まちづくり基本条例について (2)指定ごみ袋制度について 新発田市概要 ・越後平野の北部に位置する、新潟県北部の中核都市である。 ・新発田藩の城下町として栄えた市街地は、新発田城を代表とする歴史的 建築物が多数ある。 ・2003年7月7日:北蒲原郡豊浦町を編入 2005年5月1日:北蒲原郡紫雲寺町、加治川村を編入 ・人口:104,226人(平成20年5月31日現在)、議員定数:30人 1)まちづくり基本条例について 平成17年11月から約1年間、市民と市職員の自主参加のもと、延 べ20回にわたる勉強会および提案会を経て作成された市民提言書を基 に条例の検討を重ね、平成18年3月議会で承認・制定された。 まちづくり基本条例は、市民と市が対等な立場で意見を交わし、今ま で以上に市政運営に市民の意向を反映できように、市民参画と協働によ るまちづくりに関する基本的な手続きを定めたものである。 2)指定ごみ袋制度について 平成11年から指定ごみ袋制度(有料化)を実施している。ごみ袋の値 段は1枚36リットル50円(本市は45リットル60円)と、比較的高 い設定も似ている。また、燃えないごみも指定袋制である。 |
コメント) 勉強会および提案会への市民参加は20〜30名もおり、まさに市民 による条例づくりといえる。成功したポイントは、新潟大学の先生を交 えた勉強会で目的を明確にしたことや、分科会に分かれてより多くの市 民が発言できるようにしたことなどが挙げられる。「行政が考える前に 市民の考えを」といったスタンスといえる。この条例はあくまで市民と 市との協働による作業であるが、市議会議員も数名参加したとのことだ った。 また、市議会としては現在、議会基本条例を作成中とのことである。 基本条例の草稿作成は1,2期生の議員にまかせているとのことで、 議長のリーダーシップが発揮されていると感じた。 余談となるが、新発田市では県立病院の移転に伴う跡地活用が現在進 行中である。本市の旧西小学校跡地活用の参考になるかと思い、この点 についても質問させていただいた。 まずは利用目的として子育てや防災拠点など7,8項目を提示し、それ らについて複数の利用目的に合致する案を市民に公募したところ、35件 ものアイデアが出てきたとのことである。次に検討委員会を立ち上げたが、 ここでも公募をしたところ、20人以上の応募があったとのことだった。 最終的に幅広い年代による構成も考慮して、15人のメンバーのうち5人 を公募による委員としたとのことだ。 市民からの意見を公募することは、6月議会でも提案したが、あらため て本市の担当課に新発田市の話をして参考にしてもらうつもりである。 有料化に先立つ市民への説明会が行われた点は本市とは異なる(本市は 決まってからの説明)。それが当たり前である。 有料化後、ごみは減量の傾向にあり、導入時もその後も不法投棄などの 大きな混乱はなかったとのことで、市民性の違いも感じた。 |
|
新潟県三条市(7月29日)
視察項目(1)完全米飯給食と地産地消(食育の推進)について (2)まちづくりサポート交付金制度について 三条市概要 ・新潟県のほぼ中央に位置する。 ・包丁や工具などの金物の工業が盛んで、人口比での社長の割合が日本一 多い街でもある。 ・2005年5月1日旧三条市、南蒲原郡栄町、南蒲原郡下田村が新設合併して 新しい「三条市」が誕生 ・人口:105,928人(平成20年5月31日現在)、議員定数:30人 1)完全米飯給食と地産地消(食育の推進)について ご飯を主食にする理由は、 ◇米は地元でほぼ100%供給できる(地産地消)こと ◇小麦に比べ消化がゆっくり(血糖値の上昇が緩やか) →日本人は欧米人に比べインシュリンの量が少ない ◇ご飯を主食にした和食は、油脂の少ない調理法が容易 →現代の食生活は脂肪摂取が過剰 (洋食3に対し、和食なら1の油脂で調理ができる) ◇お膳形式で栄養バランスがとりやすい といった点から平成15年9月より完全米飯給食へと舵をきった。また、 本年度からはより安全な米の提供を目指し、有機栽培米も予算化した。 児童・生徒は毎日の米飯給食を違和感なく自然に受け入れているとの ことだった。また、データ年数が少ないものの、肥満が減る傾向も見ら れるとのことである。 地産地消の推進については、給食で使用する量を計算し、農家に生産 をお願いしている。三条市でほとんど作られていなかった玉ねぎについ ても、現在は農家にお願いしているとのことだった。 2)まちづくりサポート交付金制度について 市民が自発的かつ主体的に取り組む公益的活動支援プランとして、こ の制度が平成18年度からはじまった。対象となる団体は、小学校区単 位程度で自治会だけでなく複数の市民団体からなる「総合型地域コミュ ニティ」と、「まちづくり団体」の2つに分類される。総合型地域コミ ュニティは交付の上限が120万円で回数に制限はない。一方、まちづ くり団体の場合は、上限が30万円で3回(3年)までといった制限が ある。 交付状況は、平成18年度が58件で約1,400万円、19年度が 91件で約1,800万円、20年度は84件で約1,900万円であ る。 また、年度の終わりには公開発表会が行われ、各団体の活動報告がな される。時間の制限から1団体の発表時間は1分しかない。最初は短す ぎるとクレームがあったものの、今では1分間を有効的に使う発表へと 変わってきたとのとこだった。 |
コメント) 欧米人との体質の違いや、栄養バランス等を考えると、やはり日本 人には米が合っていると思う。給食にパン食が導入されたことも、歴 史を紐解くと、アメリカの小麦消費拡大という国家戦略に利用された に過ぎないことがわかる。 ただ、現実問題としてパン屋さんや麺業者のこともあり、その点の ことが最も知りたかった。三条市では、以前からパン屋さんが給食の 飯炊きもしていたため、完全米飯給食になってもパン屋さんの仕事が 奪われることはなかった。ここが成功の大きなポイントといえよう。 残念ながら本市は事情が異なる。麺業者については市長はじめ、行政 が説得したとのことだった。 地産地消については、そのシステムが参考になりそうだ。また、農 家自身も給食に使われることが励みになっているとのことで、生産者 と消費者がみえることの良さを感じた。 本市で似たような制度としては市民活動支援補助金がある。しかし、 利用状況は芳しくないため、その違いをみるのがこの視察の大きな目 的であった。応募のしやすさ、わかりやすさが利用状況に関係してい るようである。 また、公開発表会というのは非常に面白いと思った。発表会では各 団体の横のつながりも生まれ、団体の運営方法など、お互いが参考に し、刺激を受けあっているようである。大いに参考になった。 |