2008/11/23 サイエンスアゴラ2008(東京)

  サイエンスに対して一般市民から科学者・研究者まで、全ての方々に開
 かれた広場として、日本科学未来館で開かれたイベント、サイエンスアゴ
 ラ2008の以下のプログラムに参加した。

  テーマ:「疑似科学とメディア」
  登壇者:池内 了 氏(総合研究大学院大学 理事)
      毛利 衛 氏(科学と社会委員会科学力増進分科会委員長、
            日本科学未来館 館長)
      長谷川 壽一 氏(東京大学 教授、予定)
      佐倉 統 氏(東京大学 教授)
      鈴木 晶子 氏(京都大学 教授)



 コメント)
   池内先生は疑似科学を1)心に関わる:占いや超能力や宗教など、
  2)商売に関連、3)シロクロつかない:複雑系(環境問題や地震な
  ど)の3パターンに分類していた。また、疑似科学が蔓延する理由と
  して、1)科学に対してアンビバレント(科学は正義であるという価
  値観と悪であるという価値観が共存)、2)観客民主主義(お任せ民
  主主義、劇場型民主主義)、3)科学リテラシー不足、4)早く結論
  を得たいという意識を挙げていた。また、納豆ダイエット問題やスピ
  リチュアルブームなどマスコミの問題点も指摘していた。
   いろいろ納得できる話であった。特に疑似科学が蔓延する理由のひ
  とつに観客民主主義を挙げていたが、理由というよりは、疑似科学が
  蔓延する社会では、観客民主主義になるといった相関関係ではないか
  と思う。いずれにしても、今の日本は危険な方向に向かってしまう可
  能性があると感じた。
   佐倉先生の話として、イェール大学における「脳科学的説明による
  怪しげな魅力」の実験を紹介していた。もっともらしい専門用語でウ
  ソの話をすると素人は信じてしまうばかりでなく、専門を学んでいる
  学生ですらもその傾向があるという実験結果である。これは科学的な
  判断力をつけることがいかに難しいかを示しているといえる。
   毛利先生は疑似科学を全て悪者としない点で、新鮮な話であった。
  確かに子どもに説明する場合、科学的に正しい説明が、子どもに理解
  してもらえる説明とは限らない。科学に興味を持ってもらう手段とし
  て、科学的に正しくない説明も必要なのかもしれない。しかし、それ
  と血液型判断などとはまったく別の次元の話なので、誤った方向に進
  まないよう気をつける必要はある。
   長谷川先生は血液型ビジネスの問題点を指摘していた。個人的な楽
  しみならよいかもしれないが、子どもへの悪影響も真剣に考える必要
  があろう。

   また、これからの大きな問題として環境問題など科学者でもわから
  ない問題をどう扱うかが重要としていた。地球温暖化、そして二酸化
  炭素主犯説は、世界的な真実になっているともいえる。しかし、専門
  家も断定していないのが本当のことで、今の風潮は科学的真実という
  よりは政治的真実なのではないかと思う。



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