☆ コラム |
2010/12/27「独裁政治への入口か?−危険な地域政党−」 来春の統一地方選に向けて埼玉県内の4市長が地域政党「埼玉改援隊」 を結成するという。さいたま市の清水勇人市長、松本武洋・和光市長、高 畑博・ふじみ野市長、小島進・深谷市長、いずれも1期目の市長である。 4市とも来春の統一地方選で市議選が予定されており、独自の候補者を擁 立したり、賛同する候補者を支援したりする方針らしい。地域政党という と、橋下徹・大阪府知事を代表とする「大阪維新の会」、河村たかし名古 屋市長が代表の「減税日本」がある。いずれも知事や市長などの首長主導 による動きである。 私が1期目の2005年に、6名の議員で両毛鴻志会(りょうもうこう しかい)という会派を結成したことがある。この会派が目指したところが まさに地域政党であった。両毛と名乗ったのは足利市だけでなく、他の両 毛五市にもその輪を広げるつもりだったからである。残念ながらその夢も 2年で潰えてしまった。この両毛鴻志会は議員による地域政党を目指した ものであり、知事や市長などの首長主導のそれとは根本的に異なるもので ある。中央の政党に縛られない地域政党の動きは、地域主権に向けた新し い政治の胎動を感じる。しかし、首長主導は独裁政治への危険もはらんで いることを注意しなければならない。大阪府も名古屋市も、そして今回の 埼玉県内4市の動きも皆、首長に賛同する議員を誕生させることを目的と している。一見、首長の強いリーダーシップのようにも見えるが、それは 独裁政治の入り口でもある。議会の過半数を親市長派議員が占めれば、首 長の議案は何でも通ってしまう。これは首長と議会がお互いを牽制し、権 力のバランスを考えた二元代表制の趣旨ともずれてしまう。 議員は本来、親市長派でも反市長派でもなく、市民の代弁者である市民 派のはずである。両毛鴻志会は千人以上の行政スタッフに支えられた市長 に対し、賛成すべきは賛成し、反対する場合もただ反対するのではなく、 対案を示すことを目指していた。市長も議会もお互い切磋琢磨してこそ、 本当に市民のためになる政治が実現すると考えている。首長独裁政治の門 戸を開く今の地域政党には、十分注意を払って欲しい。そして、マスコミ もその点をぜひ報道して欲しい。 |