☆ コラム |
2011/7/14「脱原発には賛同するが、前途は多難」 昨日の記者会見で菅首相は、我が国の今後のエネルギー政策について、 段階的に原子力発電の依存度を下げ、将来的には原発をなくす社会を目指 すことを表明した。世論調査にみる支持率も2割を切り、多くの国民が早 期退陣を願っている首相の発言なので、さほど重みは感じない。しかし、 脱原発といった方向は、私自身の昔からの考えとも一致しており、国が大 きく舵を切ることについては、大いに賛同する。 ただ、前途は多難である。代替エネルギーの道筋も示されておらず、管 首相のいう脱原発は、今のところ絵に描いた餅に過ぎない。原発依存から 太陽光や風力などの自然エネルギー利用を推進することになるであろうが、 電力の総量や安定性を考えると、そう簡単に自然エネルギーで、今の電力 需要をまかなうことができるとは思えない。そこで、次に考えるべきこと は、今の生活様式を見直し、価値観そのものも見直すことであると主張し たい。 以前から日本のエコ活動には、いろいろな点で違和感を覚えている。例 えば冬のイルミネーションである。電球をLEDに代えたところでイルミネ ーションの総量が増えてしまえば、電力消費は増えてしまう。こうした矛 盾点を問題視したマスコミの報道に出くわしたことがない。3.11以降、節 電が叫ばれるようになり、我々も本質的に節電を意識するようにはなった。 ただ、経済活動とエネルギー消費のバランスをどのようにとっていくかと いった議論は、まだまだこれからである。 日本は人口減少社会に突入しただけでなく、高齢化が急速に進展してい る。少子化も歯止めがかかっていない。こうした社会で国内における拡大 生産・拡大消費はもはや望めない。エネルギー依存の問題にとどまらず、 日本は今大きな岐路に立たされている。 |