☆ コラム |
2012/2/24「光市母子殺害事件で元少年に死刑判決」 1999年に山口県光市で起きた母子殺害事件で、最高裁は犯行当時18歳 の被告の上告を棄却し、死刑が確定した。この事件は社会的にも大きな関 心を呼び、犯罪被害者の権利を向上させるきっかけになった事件でもあっ た。私も全国犯罪被害者の会のシンポジウムに参加したことがある。日本 では加害者の人権を尊重する一方で、被害者やその遺族の人権はないがし ろにされてきた。それが犯罪被害者等基本法により大きく前進した。しか し、法律家を育てる教育プログラムそのものが、加害者人権尊重に偏って いる現状は残っている。 死刑廃止を推進する議員連盟の会長である亀井静香国民新党代表は、22 日の記者会見で、「どんな犯罪者の命であっても尊い命であることには変 わりない。それを国家権力が奪うことは、私としては許し難い」と、反対 する見解を示した。では、犯罪者に奪われた命はどうなのであろうか?そ の点を問題にするのではなく、国家権力が命を奪うことを亀井氏は問題に しているのかもしれない。しかし、報復が許されない現状で、加害者の命 は尊重され、被害者の命や家族感情が無視されるのであれば、それは国家 として、あまりにも加害者に偏りすぎる態度といえる。 日本の法律では、無期懲役という名の実質有期の刑と、死刑との間に大 きな隔たりがあり、その点が以前から問題視されている。法律を変えるこ とができるのは国会議員だけである。であるならば、単に死刑廃止を前面 に出す議員連盟では、あまりにも稚拙である。せめて「刑法改正を推進す る議員連盟(死刑廃止含む)」ぐらいのことは言ってもらいたいものだ。 被害者やその家族よりも加害者の人権を擁護する現状の是正や、仮釈放 のない終身刑の導入など、抜本的に日本の刑法のあり方を議論し、法改正 できるのは国会だけである。単に死刑制度に反対するだけでなく、国会議 員なら被害者の権利向上や終身刑について、もっと積極的に法改正に動く ことを望んでいる。 |