この論文では、ニュージーランドおける community pharmacy 以外のプライマリヘルスケアの現場で働くpractice pharmacist(診療所薬剤師)の役割が紹介されています。(2024.12.22にXに投稿したものを記事化しました)
【J Prim Health Care. 2024 Dec;16(4):332-340】
Practice pharmacists in the primary healthcare team in Aotearoa New Zealand: a national survey
https://www.publish.csiro.au/hc/Fulltext/HC24049
ニュージーランドでは、2019年の半ばににPharmacy Council NZ (PCNZ) が一般診療所で臨床を行う薬剤師への期待に関するポジションステートメントを発表し、専門的な戦略レベルで役割の範囲が明確になった。
そして、2020年の医療・福祉制度見直しの際に医療セクターレベルで示され、医薬品の最適化において「臨床薬剤師」が提供する価値を明確に認識した。
Pharmacy Council NZ (PCNZ)のサイトによれば、practice pharmacistの役割としては次のようなものを挙げている
What is pharmacist practice?
(Pharmacy Council NZ)
https://pharmacycouncil.org.nz/public/what-is-pharmacist-practice/
Pharmacists in general practic(一般診療所における薬剤師)
薬剤師は、地域医療チームの一員として一般診療所(または医療センター)でも働いています。
患者が薬を安全かつ効果的に使用できるようにサポートします。
一般診療所の薬剤師の中には、糖尿病や喘息など、糖尿病や喘息などに関する専門知識や経験を持つ人もいます。処方薬剤師(Prescribing pharmacists)である場合もあります。
practice pharmacist とは
- 患者が自分の薬や健康状態について必要な知識や情報を確実に得られるようにする。
- 必要に応じて、望ましくない副作用、投与量の調整、または別の薬を試すなど、医師またはコンサルタントに薬の変更を勧める。
- 最近退院した患者に連絡し、フォローアップや薬の変更について説明する。
- 医師や看護師に薬に関するアドバイスをする。
- 診療所における医薬品関連の品質向上活動に参加する。
この調査に参加した39人の practice pharmacistの多くは、都市部に勤務し、パートタイムで、複数の仕事を持ち、複数の資金援助を受けている場合が多かった。
最も一般的なサービスは、他の医療専門家からの医薬品情報の問い合わせへの対応 (87%) 、さらに医薬品使用レビュー (44%)、薬物治療の評価 (62%)、医薬品最適化 (69%) など、1 つ以上の医薬品管理サービスも提供していた。
3分の1がPrescribing pharmacists で処方または繰り返し処方することが可能であり、残りの薬剤師も将来的に処方箋を発行することに大きな関心を示していた。
practice pharmacist のほとんどが患者からの相談に応じていたが、資金不足や相談スペースの不足により、より多くの患者に応じることはできなかった。
practice pharmacist らは、患者にとって自らの役割がもたらす最も重要なメリットとして、健康状態の改善、薬剤に関する理解の向上、そして薬剤の最適化を挙げたという。
患者にとっての主な認識されたメリットには、健康成果と医薬品の理解の向上が含まれ、医療サービスにとってのメリットには、多忙なプライマリヘルスケアスタッフの作業負荷のサポートがあった。
こういった報告を見るにつけ、薬剤師が一般診療の現場に統合されることは、これからは国際的にますます一般的になっていくように思います。
日本では医療機関と地域薬局の連携が重視されていますが、在宅療養支援診療所(在支診)で職能を発揮する薬剤師の方がいるように、日本でも徐々にその必要性が高まっているように思います。
限られた医療リソースの効率的な活用のためにも、日本でもしっかりとフィーをつけて診療所にも薬剤師を配置していくことが必要ではないでしょうか。
診療所(GP)に配置される薬剤師、英国だけだと思ったが、豪や加でも行われているのか
【Journal of Pharmacy Practice and Research 7 Nov 2023】
Pharmacists in Australian general practice: Discussion of the findings of an evaluation from 2016 to 2021https://t.co/gn5n9NBEbz— 小嶋 慎二@community pharmacist (@kojima_aponet) February 27, 2025
2025年04月22日 23:58 投稿