ドイツにおける、有償のコミュニティ薬局サービスの導入状況、導入における障壁、障壁を克服するための解決策、将来展望について検討とした論文(Xに24.12.07に投稿したものを再構成しました)
【BMC Health Serv Res. 2024 Nov 25】
Implementation, barriers, solving strategies and future perspectives of reimbursed community pharmacy services – a nationwide survey for community pharmacies in Germany
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11590365/
ドイツでは、2022年6月以降、5つの償還付きcommunity pharmacy service 提供するための法的枠組みが整備されている(日本でも結構やっているな)
1.「高血圧における血圧管理」(Hypertension)
少なくとも1種類の降圧剤を2週間以上服用している患者に対して、すべての調剤スタッフが提供することができる。
報酬は11.20ユーロ+付加価値税。
2.「新しいデバイスやデバイスの変更を受ける患者に対する適切な吸入技術の保証」(吸入)
新しい機器や機器の変更を受ける6歳からの患者に対して、まだ研修中のスタッフを除くすべての調剤スタッフが提供することができる。
報酬は20ユーロ+付加価値税。
3.多剤服用患者(Polymedication)のための服薬指導
上級研修を修了した薬剤師が、少なくとも5種類の処方薬を服用しているすべての患者に提供することができる。
報酬は90ユーロ+付加価値税。
4.移植後の免疫抑制剤服用患者のフォローアップを伴う投薬レビュー
5.経口抗がん剤服用患者のフォローアップを伴う投薬レビュー
(抗がん剤や免疫抑制剤の特定の投薬に特別な注意を払う投薬レビューを含む)
高度な研修を修了した薬剤師が、移植後に免疫抑制剤を服用しているすべての患者、または経口抗がん剤を服用している患者に提供することができる。
これらのサービスには、90ユーロ+付加価値税が薬局に支払われる。2~6ヶ月後のフォローアップ診察には、17.55ユーロ+VATが薬局に支払われる。
調査結果の結果次のようなことが明らかになった
導入状況
調査に参加した81%の薬剤師が少なくとも1つの保険適用されたコミュニティ薬局サービスを提供していた
導入における障壁
高血圧治療では、33%の提供薬剤師が 「患者とのコミュニケーション」、41%の提供薬剤師が 「患者からの要望が少ない」ことに障壁があると回答
ポリファーマシー業務では、「医師とのコミュニケーション」が53%、「医師との競合が怖い」が44%であった
問題解決戦略
サービスを提供している薬局の薬剤師では、高度なトレーニングを受けること、標準化された手順を開発することを挙げた一方、サービスを提供していない薬局の薬剤師は、問題解決戦略を策定していなかった
将来展望
保険償還サービスを提供していない薬局の薬剤師の 64%は、将来的に保険償還付きのコミュニティ薬局サービスを提供できるようになると考えていた
日本でもこういった調査を通じて、現状を明らかにするとともに、課題解決のための戦略や将来展望について検討すべきではないだろうか
2025年04月24日 00:41 投稿