プソイドエフェドリン含有薬は処方箋が必要に(仏)

フランス当局のANSMは2024年12月10日、11日以降、プソイドエフェドリンを含む経口血管収縮薬は処方箋でのみ入手可能とし、その使用には体系的な事前の医師の助言が必要となると発表(Xに2024.12.10投稿したものを再構成しました)

【仏ANSM 2024.12.10】
Rhume : ordonnance obligatoire pour toute dispensation de médicament à base de pseudoéphédrine
https://ansm.sante.fr/actualites/rhume-ordonnance-obligatoire-pour-toute-dispensation-de-medicament-a-base-de-pseudoephedrine

ANSM は、風邪の症状を緩和するために使用されるプソイドエフェドリンを含む経口血管収縮薬の調剤条件を変更します。

2024年12月11日以降、薬局からこれらの医薬品を入手するには処方箋を提示する必要となります。

一般大衆への広告の禁止、経口血管収縮薬に関連する危険性に関する定期的な情報提供、患者と薬剤師向けの実用文書の提供など、私たちが実施してきたリスク軽減措置は、まれではあるものの深刻な副作用の発生リスクにさらされる人々を十分に減らしていません。

ANSMはプソイドエフェドリンについて、禁忌、使用上の注意、既知の副作用の数々、そして他方では風邪(7 ~ 10 日で自然治癒する病気)の良性の性質を考慮すると、医師の助言なしにこれらの医薬品を入手する可能性は、患者にとってあまりにも大きなリスクをもたらすとした。

また、処方する医師に対しても、各患者の利益とリスクのバランスを慎重に評価するよう呼びかけ、風邪の症状の治療にはこれらの薬剤を使用しないことを勧奨。

ANSMでは、これまでも、風邪の場合には、プソイドエフェドリンの使用は避けることを呼びかけている。

(風邪の場合には、経口血管収縮薬を避けてください)
En cas de rhume, évitez les médicaments vasoconstricteurs par voie orale !
(ANSM 2024.12.10 Update)
https://ansm.sante.fr/actualites/en-cas-de-rhume-evitez-les-medicaments-vasoconstricteurs-par-voie-orale

(2023.12.01 Update)

経口血管収縮薬(プソイドエフェドリン)に関する新たな安全性データについて、欧州医薬品庁(EMA)のファーマコビジランス・リスク評価委員会(PRAC)が我々の要請を受けて実施した評価を受け、PRACはこれらの医薬品のリーフレットおよび製品情報(SPC)に新たな禁忌と警告を追加するよう勧告しました。

PRACの勧告は不十分であり、患者に対する潜在的に深刻な副作用のリスクを軽減しない (プソイドエフェドリンは風邪の症状を緩和するだけである) ことを考慮し、委員会の結論に対する投票で私たちは反対意見を表明しました。

私たちの立場は、フランスですでにリスク軽減策が実施されているにもかかわらず、注目すべき病歴やリスク要因がないにもかかわらず、リスク(脳卒中、心筋梗塞など)が持続していること、および後頭葉可逆性脳症症候群(PRES)や可逆性脳血管収縮症候群(RCVS)などの新しいリスクが報告されていることに基づいています。

従って、私たちは、2023年10月にフランスの医療専門家、医師、薬剤師の代表ともに表明した、7~10日で自然に治癒するウイルス由来の良性鼻咽頭炎である風邪の症状を緩和するために、血管収縮薬の経口剤を使用しないという勧告を新たにします。

薬剤師団体の関係者:
フランスには予防原則がある。ANSMは、簡単に代替可能な製品による死亡事故に対処する必要がないように、この薬剤の処方箋なしでの販売中止を優先した。ベネフィットはリスクを上回るほど十分ではない。

Médicaments contre le rhume : “Le bénéfice n’est pas suffisant pour contrebalancer le risque”, selon la fédération des syndicats pharmaceutiques
(Franceinfo 2024.12.10)
https://www.francetvinfo.fr/sante/medicaments-contre-le-rhume-le-benefice-n-est-pas-suffisant-pour-contrebalancer-le-risque-selon-la-federation-des-syndicats-pharmaceutiques_6947078.html

ANSM担当者:
鼻詰まりは少量の塩水で鼻を洗うだけでなく、大量の水を飲んだり、横になっているときに頭を高くしたりして水分補給するなど、リスクのない代替手段があります。

Médicaments contre le rhume accessibles sur ordonnance : “On prend cette mesure pour protéger les patients”, justifie l’ANSM
(adiofrance 2024.12.10)
https://www.radiofrance.fr/franceinfo/podcasts/le-grand-temoin/medicaments-contre-le-rhume-accessibles-sur-ordonnance-on-prend-cette-mesure-pour-proteger-les-patients-justifie-l-ansm-8800355
11日からの処方箋なしでの販売禁止を受け、10日には薬局には駆け込みで購入者が殺到

現場の薬剤師からは、「率直に言って、馬鹿げている。私たちはすでに、危険にさらされている患者に注意を払っていた」との声も

Médicaments anti-rhume : ruée avant l’interdiction de vente libre en pharmacie
(Capital 2024.12.10)
https://www.capital.fr/conso/medicaments-anti-rhume-ruee-avant-l-interdiction-de-vente-libre-en-pharmacie-1506791

なおベルギーでも、同様の理由からプソイドエフェドリン製品の入手には、2024年11月から処方箋が必要になっている.

 


2025年04月25日 11:40 投稿

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