4月25日、薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会が開催され、ドンペリドンについて、これまでの妊婦禁忌が解除されることになったそうです。
【厚労省 2025.04.25開催】
令和7年度第2回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57187.html
ドンペリドンの調査結果報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001481189.pdf
ドンペリドンの「使用上の注意」の改訂について
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001481188.pdf
今回の見直しは、日本産科婦人科学会、日本神経学会から、妊婦禁忌の解除を希望する要望書の提出を受け、国立成育医療研究センターのワーキンググループが、まとめた報告書を受け、これまで「禁忌」の項にある「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」を削除し、海外添付文書の記載状況を踏まえて、「妊婦」の項に「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。」の注意喚起の記載とすることになったそうです。
吐き気止めに使われる薬・ドンペリドンの”妊婦禁忌”解除へ ~薬を服用した妊婦さんが、安心して妊娠を継続できる環境の整備へ貢献~
(国立成育医療研究センター 2025.04.28)
https://www.ncchd.go.jp/press/2025/0428.html
海外の添付文書(英国、加国、豪州、仏国、独国)においても、本薬の妊婦への使用は禁忌とされておらず、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に投与すべきとされていることからも今回の決定になったようです。
また、ドンペリドンは、プロラクチンの分泌を促進促すことから、産婦人科領域では、ドンペリドンを産後母親の母乳産生に使われることが知られています。
Effect of domperidone on insufficient lactation in puerperal women: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
(Obstet Gynecol Int.V2012:2012:642893.)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3306907/
Domperidone
(Drugs and Lactation Database)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30000430/
一方で、ドンペリドンについては日本ではあまり重視されていませんが、かねてより、QT延長・不整脈の潜在的リスクが指摘されており、欧州では、「最大の投与期間は1週間を超えるべきではないとするなど、必要最小限の使用に留める」などの勧告が行われています。
ドンペリドンは厳しい使用制限へ(EMA)
(アポネットR 2014.05.02)
http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/140501.html
影響は処方箋なしでの販売を止める動きにもつながっており、医薬品の分類を処方箋医薬品に戻した国がいくつかあります。
日本ではドンペリドンは現時点では処方箋医薬品ではありませんが、こういったことがOTC化の障害につながっているように思います。
関連情報:TOPICS(リンク切れあります)
2019.05.05 海外におけるスイッチOTCの状況(2016)(Update)
2014.09.03 ドンペリドンは処方せん医薬品へ(英・オランダ)
2013.03.09 ドンペリドンの安全性についてレビューを開始(欧州医薬品庁)
2012.12.03 ドンペリドン使用時には心室性不整脈などへの留意が必要(豪州)
2012.05.22 ドンペリドンと重篤な心室性不整脈・心臓病死(英国)
2011.10.28 ドンペリドンとQT延長・不整脈
2025年04月28日 23:16 投稿