論文・報告あれこれ 2013年11月

他サイトではあまり紹介されていない、ちょっと気になった論文や報告などをピックアップしました。気になったものは独立記事にするかもしれません。誤りがあったらご指摘下さい。これから随時追加する予定なのでチェックしてみて下さい。 (J-STAGE に掲載のものは、発行後一定期間過ぎてから解禁となるものがあり、1年以上前に掲載された論文等を紹介する場合があります)

 ★更新することが多いので、2013年1月分よりスタイルとURLのタイプを変えました。サイドバーに各月記事へのリンク、右下に最終更新日を記してあります。 

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ、関連論文)
概要・コメント
11.18 Now or Never: Shaping pharmacy for the future
(英国王立薬剤師会)

 

余裕があれば是非詳細を紹介したい、「今でしょ。薬局の将来像を作るのは」といったタイトルの英国王立薬剤師会がまとめたレポート。患者向けリーフ、事例を紹介した動画もアップされている。薬剤師やテクニシャンの居宅訪問?というのも記憶では初めて見た。紹介ページには「医薬品は薬剤師によって供給されるべきだが、地域薬局や薬剤師の新しいサービスを可能にするには、訓練された薬局スタッフに調剤業務の機能を委任すべきである」との記載もある。
11.18 Free resources for supporting the safe use of medications in care facilities
(UK Nationalcareforum)

英国保健省のサポートでNPOがまとめた、ケアホームにおける高齢者への医薬品マネジメントについてまとめたレポートと実践のためのツール。資料多く、まだすべてを見ていないが、かなり興味深い。
11.18  Antiepileptics: changing products
(MHRA 2013.11.11)

抗てんかん薬のジェネリックへの変更についての留意点をまとめたもの。レビューの結果、フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドンについては、特定のメーカーの製品で服用を続けることを推奨し、安易にGEに変更しないことを示唆した。
11.18  SIGNAL
(WHO Pharmaceuticals Newsletter 2013 No.5)
ミルタザピンと横紋筋融解症、RoflumilastとMelaena(下血)、TapentadolとDelusion(妄想)がシグナルとして紹介。
11.18 認知症、特にBPSDへの適切な薬物使用に関するガイドライン作成
(2012 厚生労働科学研究)

あちこちで紹介されているガイドラインの作成に至るまでを紹介した厚生科学研究の報告書全文。向精神薬、特に抗精神病薬の使用に際して本人およびあるいは家族/介護者より同意を常に得ているかかりつけ医は2割に達しなかったなどの調査結果は興味深い。
11.18 後発医薬品の更なる使用促進に向けた調査研究
(2012 厚生労働科学研究)
あとよく読んでみます。
11.18 タバコ煙中のポロニウムの含有量とその測定法に関する研究
(2012 厚生労働科学研究)

あとでよく読んでみます。
11.18 未成年者の喫煙・飲酒状況に関する実態調査研究
(2012 厚生労働科学研究)

あとでよく読んでみます。
11.18 原発事故に伴う放射線に対する健康不安に対応するための保健医療福祉関係職種への支援に関する研究
(2012 厚生労働科学研究)
自治体の保健師等が放射線に対する健康不安に対応するための知識・技能を習得する際の支援のあり方をまとめたもの。これから詳しく読んでみます。
11.18 化粧品中のタンパク質等の安全性に関する緊急疫学調査
(2012 厚生労働科学研究)
加水分解コムギ末やその他の成分の経皮感作により誘発された食物アレルギーが、グルパール19S以外にも存在するとした。
11.18 先天代謝異常症等の治療のために特殊調合した調製粉乳(特殊ミルク)の効果的な使用に関する研究
(厚生労働科学研究)
特殊ミルクの適応疾患とその問題点の整理したもの。また、特殊ミルクを用いた食事療法に関する基本や効果的に食事療法をすすめるための指針についても検討。 
11.18 Prescription of antiviral drugs during the 2009 influenza pandemic: an observational study using electronic medical files of general practitioners in the Netherlands
BMC Pharmacol Toxicol Pubalished Online 21 Oct 2013)
2009年H1N1パンデミック時、オランダでは従来のインフルエンザと重症度は変わらないとした治療ガイドラインが定められたが、実際にGPがどのような処方行動が行われたかを調べた研究。オセルタミビルの69%はGLに従い処方されていたが、なんとインフルエンザと診断されても処方されたのはわずか5%、合併症リスクが低い人ではたったの2.5%だった
11.18 Long-term Drug Treatment for ObesityA Systematic and Clinical Review
JAMA Published Online 14 Nov 2013)

米国で承認されている抗肥満薬の総説(レビュー)。長期的ベネフィットには、1年間で少なくとも5%以上の体重減少が必要だとした。(薬価収載が保留となったオブリーンはどうなんだろう)
 11.18 Hypertension in Pregnancy: The Management of Hypertensive Disorders During Pregnancy.
(National Collaborating Centre for Women’s and Children’s Health 2010.8)

NHKの報道をきっかけに見つけた、妊娠中の高血圧疾患の管理ついて英国の母子健康に関する機関がまとめたガイダンス。妊娠中の高血圧の管理としては、ラベタロールをファーストラインとしてあげている。
 11.18 Low-dose aspirin-associated upper gastric and duodenal ulcers in Japanese patients with no previous history of peptic ulcers
BMC Research Notes Published Online 12 Nov 2013)
PPI投与で、低用量アスピリンによる消化性潰瘍お発症リスクが低減されるかどうかを調べた、愛知医大で行われた後ろ向き観察研究。
 11.18 Safety and efficacy of long-term combination therapy with bezafibrate and ezetimibe in patients with dyslipidemia in the prospective, observational J-COMPATIBLE study
Cardiovascular Diabetology Published Online 6 Nov 2013)
エゼチニブとベザフィブラートとの併用療法について、日本国内157施設で行われたprospective observational study。脂質異常症の包括的管理に有用だとした。
 11.18 Domperidone effective in preventing rivastigmine-related gastrointestinal disturbances in patients with Alzheimer’s disease.
Neuropsychiatr Dis Treat. 18 Sep 2013)

東邦大大森病院の報告。ドンペリドンはアルツハイマー患者におけるリバスチグミン関連の胃腸障害の予防に有効だとした。
 11.18  Pijnstillers Zo gebruikt u ze veilig

オランダのOTC鎮痛剤の適正使用を呼びかけるキャンペーンで作成されたリーフレット。症状ごとに適した成分が紹介されている。日本でもこういうものをつくった方がいい。
 11.18 Metabolic disturbances and renal stone promotion on treatment with topiramate: a systematic review
Br J Clin Pharm Published Online 13 Nov 2013)
トピラマートと代謝性アシドーシス、低カリウム血症、腎結石症の発症との関連を調べたシスティマティック・レビュー。Hypocitraturia(低尿クエン酸)や高尿酸血症も関連性があるらしい。フルテキストで読んでみたい。
 11.18 Safety profile of drugs used in the treatment of osteoporosis: a systematical review of the literature
Reumatismo Published Online 31 Oct 2013)
骨粗鬆症治療薬の安全性についてまとめたシスティマティック・レビュー。フルテキストPDFダウンロード可。
 11.18 Burden of Depressive Disorders by Country, Sex, Age, and Year: Findings from the Global Burden of Disease Study 2010
(PLoS Medicine Published Online 5 Nov 2011)

抑うつ障害の罹患率について世界各国で比較した研究。アルジェリア、リビア、シリア、アフガニスタンなどの中東や北アフリカの一部の国が高かったが、日本は豪州、ニュージーランドと並んで低い方の部類に入った、
 11.18 Safeguarding Older Adults From Inappropriate Over-the-Counter Medications: The Role of Community Pharmacists.
Gerontologist Published Online 6 Nov 2013)
高齢者に潜在的に不適切なOTC薬(睡眠補助薬というので、ジフェンヒドラミンあたり?)の販売時の薬剤師の対応を調べた研究。フルテキストで読めないのが残念。
 11.18 Management strategies in the treatment of neonatal and pediatric gastroenteritis.
Infect Drug Resist. Published Online 29 Oct 2013)

新生児~小児における胃腸炎へのマネジメントをまとめた総説。制吐薬としてはオンダンセトロン、下痢止めとしては、racecadotril(ラセカドトリル)などが使われるという。またプロバイオティクスは、腸内微生物のバランスを改善させ、急性感染性下痢の重症度を減少させたり、期間を短くするとした。
 11.18 Use of Statins and the Risk of Death in Patients With Prostate Cancer.
J Clin Oncol. Published Online 4 Nov 2013)

非転移性前立腺がんと診断された11772人のコホート研究。全死因死亡率のハザード比は0.86で、診断前から服用している場合はリスクはさらに低くなった。
 11.18 Statin treatment and risk of recurrent venous thromboembolism: a nationwide cohort study
BMJ Open Published Online 7 Nov 2013)
デンマークの前向きコホート研究。スタチンの使用はVTE(静脈血栓塞栓症)の再発リスクを低下させるとした。
 11.18 Statins and a possible risk of acute kidney injury (without rhabdomyolysis)
(NZ Medsafe 2013.11.1)
NZ Medsafe の早期安全性情報。スタチン関連の急性腎障害はCK上昇を伴わない場合もあるとして注意を呼びかけた。
 11.18 Randomized Controlled Trial of Etodolac versus Combination of Etodolac and Eperisone in Patients of Knee Osteoarthritis.
(Pain Res Treat. Published Online 30 Sep 2013)

変形性膝関節症において、エトドラクとエトドラクにエペリゾンを上乗せした場合の効果の違いを調べた、インドで行われたRCT。
 11.18 Calcium supplements and cardiovascular events
(NZ Medsafe 医薬品委員会議事録)
関連性を示すエビデンスは不十分。Prescriber Updateでのレビュー結果の掲載を勧告。
11.18 Unnecessary Regulations that Increase Prescription Drug Costs
(NCPA Published 7 Mar 2013)

米国のmail-order pharmacyなどの現状を紹介したもの。米国内でも一部の州でさまざまな規制がある様子。日本でも引き合いに出されそうだが、保険制度が異なることを踏まえて解釈する必要がある。
11.18 Povidone-iodine-induced cell death in cultured human epithelial HeLa cells and rat oral mucosal tissue.
Drug Chem Toxicol. Published Online 12 NOv 2013)
うがいで使われているポピドンヨード液の上皮細胞への毒性を調べた福島県立医大の研究。フルテキストで読んでみたい。
11.18 Pregabalin-associated rhabdomyolysis
Med J Aust 199(9) 624- 2013)
プレガバリンの関連性が疑われる横紋筋融解症の症例報告。日本でも一応、添付文書での記載はある。
11.18 Incretin-mimetics associated pancreatitis: evidence from the spontaneous adverse drug reactions reporting in Italy.
Expert Opin Drug Saf. Published Online 13 Nov 2013)
イタリアの自発的副作用報告のデータを解析したもの。インクレチン関連薬の副作用報告のデータを解析した。
11.03 Heart of the Matter Part 2 – Cholesterol Drug War
(ABC Television 2013.10.31)

スタチンの有用性に疑問を投げかけた豪州ABCで放映された番組とその内容テキスト。「あなたは寿命を延ばしそうもなく、副作用のリスクがある錠剤を服用したいか」と締めくくるなど、かなり過激な内容。反響は大きく、GPに患者からの質問も殺到しているらしい。
11.03 小児における精神疾患治療薬の使用実態の把握と安全性評価に関する薬剤疫学研究に基づく適応外使用是正のための研究
(厚生労働科学研究2012年度)
日本医療データセンターが有するレセプトデータ等から、本邦びおけるADHDおよびPDD(広汎性発達障害)小児患者に対する医薬品処方の現状を明らかにしたもの。小児ADHDの適応を有するメチルフェニデート徐放錠の処方割合は、2008年の19.5%から、2010年に31.2%と急増した他、アトモキセチンも3.8%→13.0%、リスペリドンも4.7%→10.0%と増加した。
11.03 競技スポーツ選手の軽度疾病時対応行動予測モデルから考えるスポーツファーマシストの役割
(薬学雑誌 133(11) p1249-1259,2013)
2011年の国体に参加した愛媛県の選手および四国インカレ出場予定の大学競技スポーツクラブ所属学生を対象に行われた意識調査の結果報告。競技スポーツ選手のドーピング認知度は全体的に高かったが、アンチドーピング意識の低い選手ほど、軽度疾病時に薬局で一般用医薬品を購入し、セルフメディケーションを実施することが予測された。
11.03 経口補水療法のセルフメディケーションとしての有用性に関する薬局薬剤師の意識と関連製品の取り扱い状況
(薬学雑誌 133(11) p1243-1248,2013)
保険薬局におけるORT(経口補水液)関連製品(ソリタT顆粒、OS-1、アクアライトなど)の取り扱い状況やその有用性に関する薬剤師の意識について調査を行ったもの。神戸市薬剤師会に所属する保険薬局の中から無作為に抽出した400店舗の管理薬剤師を対象に郵送で行われた。
11.03 An exploratory study of the efficacy and safety of yokukansan for neuropsychiatric symptoms in patients with Parkinson’s disease.
J Neural Transm. Published Online 30 Oct 2013)
順天堂大の研究。25例のパーキンソン病患者の症例検討。抑肝散はパーキンソン病関連の精神神経症状を改善した。
11.03 Factors influencing quality of patient interaction at community pharmacy drive-through and walk-in counselling areas.
Int J Pharm Pract. Published Online 25 Oct 2013)
フルテキストで読んでみたい。ドライブスルーとウォークインによるカウンセリングの質を比較したもの。わずかではあるが、患者ケアの質に影響を与える可能性があるとした。
11.03 The effect of lansoprazole, an OCT inhibitor, on metformin pharmacokinetics in healthy subjects.
Eur J Clin Pharmacol. Published Online 30 Oct 2013)
中国人健常者を対象に行われたクロスオーバー試験。ランソプラゾールはメトホルミンの薬物動態に影響を与える可能性が示唆された。
11.03 The effects of metformin on ovarian cancer: a systematic review.
Int J Gynecol Cancer. 2013 Nov;23(9):1544-51.)
卵巣がんに対するメトホルミンの効果を調べたシスティマティック・レビュー。潜在的な治療効果が認めれたが、エビデンスの大部分は観察研究。
11.03 Prenatal paracetamol exposure and child neurodevelopment: a sibling-controlled cohort study.
Int J Epidemiol. 24 Oct 2013)
ノルウェーのコホート研究。妊娠中のアセトアミノフェンの常用は胎児に影響するかもしれない。
11.03 Postmenopausal Estrogen Therapy and Risk of Gallstone Disease: A Population-Based Case-Control Study.
Drug Saf. 31 Oct 2013)
デンマークのPopulation-Based Case-Control Study。閉経後のエストロゲン療法は胆石症リスクを増すかもしれない。(調整オッズ比は1.74)
11.03 Effect of Mushroom Diet on Pharmacokinetics of Gabapentin in Healthy Chinese Subjects.
Br J Clin Pharmacol. Pubalisehd Online 30 Oct 2013)
中国人男性健康ボランティアを対象に行われた研究。ergothioneine を多く含むしいたけの摂取は、ガバペンチンの薬物動態に影響を与えることが示唆された。
11.03 Elderly Patients with Diabetes Experience a Lower Rate of Nocturnal Hypoglycaemia with Insulin Degludec than with Insulin Glargine: A Meta-Analysis of Phase IIIa Trials.
Drugs Aging Published Online 30 Oct 2013)
フェーズ IIIa Trial のメタアナリシス。インスリングラルギンと比べ、インスリンデグルデクの方が高齢糖尿病患者の低血糖イベントは有意に減少するとした。
11.03 Facial Changes Caused by Smoking: A Comparison between Smoking and Nonsmoking Identical Twins
Plast Reconstr Surg. 2013 Nov;132(5):1085-92.)
79組の一卵性双生児で喫煙者と非喫煙者の顔の変化を比較した研究。喫煙期間が5年を超えると顔の老化の顕著な違いが認められた。
11.03 2012 年度診療報酬改定後の医療費の分析 -長期処方による診療所の外来受診日数減少と中小病院の現状などー
(日医総研WP No.300 2013.10..23)
注目は20ページの「薬局にとっては、長期処方によって処方 1日分の単価は下がるが、長期間一括して調剤することで作業効率は向上する」の部分。RISFAXはメリットを享受しているとの見出しを打っているが、そうなのかなあ。
11.03 Responsible self-medication: perceived risks and benefits of over-the-counter analgesic use
Int J Pharm Pract 2011 Aug;19(4):236-45.)
少し前の論文だけど注目。アセトアミノフェンやNSAIDsのOTC使用に伴う潜在的なリスクについて、消費者の意識を2001年と2009年でひかくしたも

最終更新日:2013年11月18日

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