論文・報告あれこれ 2014年6月

 他サイトではあまり紹介されていない、ちょっと気になった論文や報告などをピックアップしました。気になったものは独立記事にするかもしれません。誤りがあったらご指摘下さい。これから (J-STAGE に掲載のものは、発行後一定期間過ぎてから解禁となるものがあり、1年以上前に掲載された論文等を紹介する場合があります)

 ★更新することが多いので、2013年1月分よりスタイルとURLのタイプを変えました。サイドバーに各月記事へのリンク、右下に最終更新日を記してあります。 

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ、関連論文)
概要・コメント
07.27 Gabapentine et prégabaline : effets indésirables importants
(Rev Prescrire 34(369) 515-516,2014)
ガバベンチンとプレガバリンの重篤な副作用にいて、仏の医薬品データベースの報告をレビューしたもの(仏語。アブストラクト)
07.27 Dompéridone et morts subites en France : précisions et confirmation
(Rev Prescrire 34(369) 555,2014)
突然死リスクが懸念されるドンペリドンのデータについてまとめたもの(仏語、フルテキストあり)
07.27 Risikobewertungsverfahren zur dualen Inhibition des Renin-Angiotensin-Systems
(BfArM Bulletin zur Arzneimittelsicherheit Ausgabe 2 – Juni 2014)
独版医薬品安全性情報。日本では数行で片付けられてしまったARB+ACE阻害薬などの併用問題を解説したもの。欧州は、各国当局の力を結集して評価しているので比較にはならないと思うけど、PMDA/厚労省による注意喚起(添付文書の改訂)は理由を詳しく示さないから、現場の認識は低くくなってしなうのだと思う。
07.27 Statins and the Risk of Diabetes: Evidence From a Large Population-Based Cohort Study
Diabetes Care Published Online 26 Jun 2014)

スタチン治療のアドヒアランスが高いほど、新規糖尿病の発症リスクが高まるが、心臓血管病の発症リスクを減らすベネフィットは上回るとした。
07.27 ACETAMINOPHEN: How It’s Used, Preventing Overdose and What We Can Do to Promote Safe Use
(The Acetaminophen Awareness Coalition)
アセトアミノフェンの過量使用や安全使用についてまとめたもの
07.27 Effect of carbazochrome sodium sulfonate on refractory chronic prostatitis.
Int J Urol Published Online 25 Jun 2014)
神戸医療センターの報告。カルバゾクロムは難治性慢性前立腺炎における痛みや諸症状に有用かもしれない。
07.27  Evolution of Self-Care Education
(Am J Pharm Educ. 12 Mar 2014)
「セルフケアのカリキュラムでの重要な学習ポイントは、効果的なコミュニケーションと患者アセスメントである」「薬剤師はトリアージや、最も適切な治療の選択肢を選択する患者を支援する上で重要な役割を持っている。セルフアの拡大において、今後の薬剤師が患者への効果的支援ができるための教育に薬科大学が取組むことは避けることはできない」などが目に留まった総説
07.27 The Comparative Safety of TNF Inhibitors in Rheumatoid Arthritis – A Meta-Analysis Update of 44 Randomized Controlled Trials.
Am J Med Published Online 17 Jun 2014)
アダリムマブ、certolizumab pegol、インフリキシマブの使用では重篤な感染症のリスクが高いことが示唆されたが、エタネルセプトの使用では中止率が低いことが示された。
07.27 Itraconazole: A new drug-related cause of hypertension
(Ann Cardiol Angeiol 63(3) 213-5,2014)
原著は仏語。イトラコナゾールは低レニンや抵抗性高血圧を誘発する可能性があるとした
07.27  後発医薬品の使用状況調査 報告書(案)
(中医協 平成24 年度診療報酬改定結果検証に係る特別調査(平成25 年度調査)
202ページからの患者さんの個別意見が注目
07.27 Ventes de médicaments en France : le rapport d’analyse de l’année 2013 – Communiqué
(ANSM 2014.06.24)

フランス位における2013年の医薬品の販売状況をまとめたもの。日本では企業秘密(?)もあって、品目ごとのこういうデータは公表されないので興味深い
06.15  「PMDA 医薬品副作用データベース」を利用した漢方製剤の 副作用の解析
(医薬品情報学 16(1) 16-22,2014)
処方別で最も多かったのが芍薬甘草湯、次いで防風通聖散、柴苓湯。芍薬甘草湯は本来短期使用が望ましいが、安易な長期連用が報告数を押し上げていると思う。
06.15  B型肝炎治療ガイドライン
(日本肝臓学会)

この1年間の様々な研究成果をもとに、2013年4月に作成した第1版の改訂。
06.15 Nephrotic-range Proteinuria and Interstitial Nephritis Associated with the Use of a Topical Loxoprofen Patch
Internal Medicine 53(11) 1131-1135,2014)
症例報告。ロキソニンパッチ剤との関連が疑われる、ネフローゼ域の蛋白尿と間質性腎炎。
06.15 薬剤師・医師を対象としたNSAIDsの妊娠末期使用に関する意識調査
(薬学雑誌 134(6) 757-768, 2014)
スイッチOTCのPMS(市販後調査)として行われている健康チェックシートの見直しをロキソニンSを用いて検討した。
06.15  Acute Pancreatitis with Liraglutide
(Public Citizen 2014.06.05)

米医薬品監視団体のPublic Citizen が米FDAの有害事象報告システムに報告されたリラグルチド(ビクトーザ)の急性膵炎の事例を解析したもの。この結果を受け、米FDAに対し、販売中止を求める請願を行った。(最近、インクレチン関連薬と膵炎との関連はないとの研究も散見されるけど)
06.15  薬剤師による抗菌薬適正使用支援システムの構築と「介入とフィードバック」の推進
(日本環境感染学会誌 24(2) 105-111,2014)
抗菌薬適正使用支援システムを構築した熊本機能病院の報告。細菌検査結果に基づいた検出菌一覧やアンチバイオグラムなどの情報を作成、抗菌薬の適正使用状況を確認し,必要に応じて,薬剤師は処方医へ薬剤変更などの処方提案を速やかに実施している。
06.15 Effects of early-life exposure to allergens and bacteria on recurrent wheeze and atopy in urban children
J Allergy Clin Immunol Published Online 6 Jun 2014)

ボルチモア、ボストン、ニューヨーク、セントルイス市の住民を対象とした、longitudinal birth cohort study。アレルギー疾患と住環境とハウスダストのサンプリングとの関連を調べた研究。生後1年以内ゴキブリやマウス、猫などのアレルゲンに暴露される環境で育った子どもは喘鳴の再発リスクを減少させたとした。きれい好きが高じるとアレルギーになりやすい?(衛生環境が悪かった昔や農村部ではアレルギーが少ない?)
06.15 Recall of Mothballs and Moth Flakes containing toxic chemicals
(ニュージーランド保健省 2014.06.04)

洋服ダンスなどに用いる全ての防虫剤の使用禁止と回収を。子どもの誤飲(ナフタレン、カンフル、ジクロロロベンゼンなど)によるによる健康被害をさけるためらしい。プレスリリースや報道などを見ると、欧州では既に禁止されているらしい。(日本はどうだっけ?)
06.15 Drug-Induced Liver Injury

Mayo Clin Proc 89(1) 95-106, 2014)
 
薬物性肝障害についての総説
06.15 Nutrients and herbal supplements for mental health
Aust Prescr 2014;37:90-3)
メンタルヘルスに有用と思われる健康補助食品やハーブを紹介したもの
06.15 α1-Adrenergic receptor antagonists and gynecomastia
(Eur J Clin Pharmacol Published Online 3 Jun 2014)
Vigibase レビューによるシグナル検出。タムスロシンの使用と女性化乳房に関連の可能性があるとした。
06.15 Nutritional Supplements and Cancer: Potential Benefits and Proven Harms
(ASCO Educational Book 2014)

米国臨床腫瘍学会(ASCO)がまとめた教育用冊子。朝日新聞アピタルが概要を紹介している。
06.15  

抗精神病薬の複数使用と転倒による入院の関連性を調べた、豪州の退役軍人を対象に行われた後ろ向きコホート研究。
06.15 一般用医薬品の胃腸薬における制酸力の比較検討
(薬学雑誌 134(6) 775-780,2014)
同じブランドでも、錠剤と細粒で制酸力が異なる場合がある。
06.15 Reduced Risk of Lung Cancer With Metformin Therapy in Diabetic Patients: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Am J Epidemiol. Published Online 10 June 2014)
メトホルミンの使用は糖尿病患者における肺がんや呼吸器系のリスクを低下との関連が示唆されたが、喫煙の影響を考慮すべきとした。
06.15 Passive smoking at home is a risk factor for community-acquired pneumonia in older adults: a population-based case–control study
BMJ Open Published Online 13 June 2014)
スペインの研究。家庭での受動喫煙は高齢者の市中肺炎の危険因子となるかもしれないとした。
06.15 Review article: the epidemiology and prevention of gastric cancer
Aliment Pharmacol Ther Published Online 10 June 2014)
日本における除菌の取り組みなどを紹介している。

最終更新日:2014年7月27日

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