論文・報告あれこれ2024年10月

この期間にXに投稿していた、他サイトではあまり紹介されていないものを中心に、ちょっと気になった論文や報告、発表などをピックアップしました。気になったものは独立記事に するかもしれません。誤りがあったらご指摘下さい。必ずしも最近アップされたものとは限りません。(特にJ-STAGE に掲載のものは、発行後一定期間 過ぎてから解禁となるものがあり、1年以上前に掲載された論文等を紹介する場合があります)

★更新することが多いので、2013年1月分よりスタイルとURLのタイプを変えました。サイドバーに各月記事へのリンク、右下に最終更新日を記してあります。

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ、関連論文)
概要・コメント
10.30 Transformation of the tobacco product market in Japan, 2011-2023
(Tob Control. 2024 Oct 29)
日本のタバコ市場はわずか10年余りで半減
国際基準からすると安価であるにもかかわらずタバコの価格が上昇したことなど他の要因も考えられる
10.29 Use of Preferred Source of Contraception Among Users of the Pill, Patch, and Ring in the US
JAMA Netw Open. 2024 Oct 1)
米国における避妊方法(避妊薬、避妊パッチ、避妊リング)と、その入手手段の状況を調べたもの
10.29 Qualitative analysis of blood from patients engaging in deliberate self-harm: Differences between prescribed and detected drugs
Neuropsychopharmacol Rep. 2024 Oct 28)
意図的な自傷行為で救急搬送された患者の血液を分析した福岡大病院の研究
76%で非処方薬成分が検出されたものの、実際のOTC 薬の使用状況を評価できなかった
特に救急科の医師や精神科医は、患者が OTC 医薬品を繰り返し使用していないか尋ねるなど、日常の臨床において OTC医薬品の乱用に注意する必要がある
10.26 The Perspectives of Community Pharmacists Toward the Name-Based Rationing System During the COVID-19 Pandemic in Taiwan: Cross-Sectional Survey Study
JMIR Form Res. 2024 Oct 24)
コロナ禍、台湾で行われたマスクや検査薬の配給システムについて薬剤師にインビュー
10.26 Role of new vaccinators/pharmacists in life-course vaccination
Ann Med. 2024 Oct 25.)
GSK関係者によるレビュー
従来の診療所や病院以外の場所への成人ワクチン接種の拡大は、適切な管理があれば他の場所でも安全にワクチン接種を行える
10.25 Invisible Victims and the Case for OTC SSRIs
Camb Q Healthc Ethics. 2024 Oct 22)
SSRI をスイッチすることの是非を概説
米国ならではの理由もあるようですが、「生活者にとっての利点」とは何かを考えさせられます
10.25 喫煙者における文字のみおよび画像付きタバコパッケージの警告表示への認識に関する横断分析
(日本公衆衛生雑誌 71(12) p755-765,2024)
我が国の文字のみの現行パッケージは、諸外国で使用されている画像付き警告表示と比較し、喫煙の危険性を伝える効果や禁煙を促す効果、喫煙開始を抑制する効果は乏しい
10.23 Business Metrics and their Impact on Public Safety: A Report from the College of Pharmacists of BC
(College of Pharmacists of British Columbia 2024.09.19)
薬剤師がいわゆる企業業績ノルマ(または指標)を達成するためにストレスを受けることで、BC州の患者ケアが損なわれる可能性があるとした報告書
BC 薬剤師会と一部の企業はこの分析に異議を唱えている→関連記事
10.22 Clinic Characteristics and Antibiotic Prescribing for Acute Respiratory Infections in Japan
JAMA Netw Open. Oct 21 2024)
患者数の多い診療所、個人診療所、高齢の医師が所有する診療所は、非細菌性急性呼吸器感染症に対して抗生物質、特に広域スペクトル抗生物質を処方する可能性が高かった
院長の年齢については、60歳以上では45歳未満と比べて、調整後オッズ比が 2.14(95%信頼区間、1.56-2.92)だった→プレスリリース
10.22 スイッチ化推進に伴う薬剤師の責務
(薬局薬学 16(2) p93-100,2024)
宗林さおり氏による総説
緊急避妊薬を例にスイッチ化の推進に伴う課題や影響、薬剤師の責務を論説
10.22 薬局のICTや調剤補助員の利用が薬剤師業務の充足感や2025年までの増員必要性に与える効果
(薬局薬学 16(2) p149-162,2024)
薬事管理教室なので期待したが、がっかり
健康サポート機能業務に含まれるかもだが、OTC販売が対人業務に入っていない、軽んじられているのはなぜ
10.21 Dextromethorphan abuse leading to assault, suicide, or homicide
J Forensic Sci. 2012 Sep;57(5):1388-94.)
デキストロメトルファンの娯楽目的での高用量の使用は、躁病や幻覚を引き起こし、乱用者は暴力行為や自己破壊行為を起こすリスクがある
10.18 シンポジウム「変化する社会と医療保険~健保組合の新たな挑戦~」開催報告書(2024.03.04)
(健保連 2024.10.16)
今後の医療保険制度や健康保険組合のあり方などについてが議論された
10.18 医療制度改革の射程と課題―政策手法の有効性をめぐって
(医療経済研究 36(1) p3-28,2024)
選定療養費制度による自己負担の引き上げは選択的に医療需要をコントロールすることができ、付帯決議で自己負担率を3割以内としていることに抵触せずに自己負担を引き上げられる
10.18 医薬分業制度が薬剤費へ与える影響の構造的評価 構造方程式モデリングによる検討
(医療経済研究 36(1) p81-95,2024)
適切な医薬分業制度を維持することで、社会経済的要因の変動、例えば県民所得の増加や医療扶助の需要増による薬剤料の上昇を抑制することができる可能性
10.17 Seizures caused by children swallowing medications or illegal substances doubled over 15-year period
(Eusem 2024.10.15)
学会発表
500錠入りのジフェンヒドラミンのボトル販売の在り方は真剣に議論すべき
10.16 Amazonファーマシー参入のインプリケーション
(みずほ銀行 Mizuho Short Industry Focus 2024.10.15)
アマゾンが自社で薬局事業に参入する可能性は否定できないが、参入するとすれば、Amazon ファーマシーに出店する大手チェーンと差別化する付加価値が必要
10.12 The other tasks of pharmacies in Spain: cancer and diabetes screening, arrhythmia detection…
(Lavanguardia 2024.10.11)
スペインの地域薬局は調剤にとどまらない幅広いサービスを提供している
10.08 Family doctors skeptical of giving pharmacists more say in Estonia
(ERR 2024.10.07)
エストニア社会省は薬剤師の権限を大幅に拡大し、たとえば成人へのワクチン接種や慢性疾患患者への処方箋の延長などを認めたいと考えている
10.06 Motherhood penalty for female physicians in Japan: evidence from a medical school’s alumni data
BMC Health Serv Res. 2024 Oct 4)
北海道にある医学部の医師260名の卒業生データを分析
男性医師と女性医師の収入格差は 25.0%
特に、子供を持つ女性医師の収入は男性医師より 37.2% 低かった
10.03 健保連海外医療保障(No.134 2024年9月)
(健保連)
特集:在宅ケアと地域連携
フランス、オランダ、イギリス、デンマークの状況をレポート
やっぱり薬剤師の記載はほとんどない
イギリスでは社会的処方についての紹介がある

最終更新日:2025年4月27日

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