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2007.03.07 大腸がん予防にアスピリンは服用すべきではない(米国)
米国の疾患予防に関する特別委員会(USPSTF:U.S. Preventive Services Task Force)は5日、出血などのリスクが懸念されるとして、アスピリンやイブプロフェンなどのNSAIDSを大腸がん予防で服用しないよう呼びかけています。
Routine Aspirin or Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs for the Primary Prevention of Colorectal Cancer (USPSTF Recommendation Statement)
http://www.ahrq.gov/clinic/uspstf/uspsasco.htm
http://www.annals.org/cgi/content/full/146/5/361
(Annals 2007;146:361-364.)
最近発表された研究でも、高用量のアスピリン(325mgの錠剤を週に14錠以上)を定期服用している人は服用していない人に比べてリスクが53%減少するという報告があり、USPSTFの今回の勧告でも、アスピリンの大腸がんの予防効果そのものは認めてはいます。
しかし、心臓病予防で用いられる程度の量(アスピリンとして1日100mg)では、大腸がんの予防にはならないとし、予防には高用量のアスピリンの服用が必要としています。
このため、高用量のアスピリンを服用することによっておこりうる消化管出血や脳出血のリスクの方が、大腸がん予防のリスクを上回るとして、今回の勧告が行われたようです。
また、イブプロフェンなどのNSAIDSについても、心臓病や腎障害のリスクを考慮すると、同様に大腸がんの予防のためには勧められないとしています。
なお今回の勧告は、がんの既往歴のある人や、ハイリスクグループは除外するとしていますが、がんの家族歴がある人についてはこの勧告に従ったほうがよいとしています。
参考: Experts: Don't take aspirin to curb colon cancer
(MSNBC 2007.3.5 AP通信配信)
http://www.msnbc.msn.com/id/17469713/
The Use of Aspirin for Primary Prevention of Colorectal Cancer: A Systematic
Review Prepared for the U.S. Preventive Services Task Force
(Annals 2007;146:365-375.)
http://www.annals.org/cgi/content/full/146/5/365
Long-term Use of Aspirin and Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs and Risk
of Colorectal Cancer
(JAMA. 2005;294:914-923.)
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/294/8/914
読売新聞 2005年9月5日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20050905ik03.htm
3月7日 17:20掲載