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2007.03.15 厚労省、健康保険証のICカード化を検討

16日、内閣府の平成19年第5回経済財政諮問会議(http://www.keizai-shimon.go.jp/)が開催され、厚労省が2012年4月までに、健康保険証にICカード機能を搭載(健康ITカード(仮称))させ、過去の病歴や受診内容を患者や医師がパソコンで確認できるようにするシステムを導入する案が示されました。厚労省では当面は希望者のみとするももの、将来的には全ての健康保険証に導入したいとしています。

経済財政諮問会議(平成19年第5回)配布資料
  http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0316/agenda.html

 医療・介護サービスの「質向上・効率化」プログラム(仮称)のメニューについて
  (柳澤臨時議員提出説明資料)
  http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0316/item3.pdf

 医療・介護サービスの「質向上・効率化」プログラム(仮称)のメニューについて
  (柳澤臨時議員提出参考資料)
  http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0316/item7.pdf

新聞報道や諮問会議の配布資料によれば、今まで医療機関ごとに別々に管理していた、患者の受診内容や病歴などの医療情報のデータを1箇所に集め、ICカードを利用してデータベースに接続することで、医師や患者が過去の受診内容などを確認できるようにするというものだそうです。

これにより、医療機関が変わっても改めて検査を受ける必要がなくなる他、緊急連絡先や血液型、薬品の副作用歴やアレルギー情報も記録されるため、医療事故の防止効果も期待でき、また、これらの情報は医師だけではなく患者自身もパソコンで閲覧できるようにし、自分が受けた診療内容などを確認することもできるようにするという。

これ以外にも、高額療養費等の申請手続きの簡素化、申請漏れの防止や、被保険者資格の確認や保険料の未納対策、さらには、遠隔医療・専門医への照会・セカンドオピニオンの普及などにも役立つとのことです。

今回の方針は、重複投与や重複検査のチェックを行うことで、医療費の適正化や効率化の狙いがあると思われますが、治療法や薬の効果についてのエビデンス作りのためにも、なるべく早い時期に導入されることが望ましいと考えます。

まずは、今後3〜4年後を目途に、健康保険証を全て個人カード化にするとともに、平成19年度中に、「健康ITカード(仮称)」の導入に向け、個人情報の保護の問題、費用分担、費用対効果などの検討が行われるそうです。

IT大国日本であることを考えれば、ようやくという感がしますが、兵庫県加古川地域(加古川市・播磨町・稲美町)では、保険証ではありませんが、すでに全国に先駆けた同様の取り組みが1991年から行われています。

   加古川地域保健医療情報システム
       http://www.kakogawa.or.jp/

  「加古川地域保健医療情報システム」全体図
  http://www.kakogawa.or.jp/system/sys_zentaizu_kai.pdf

このシステムは、承諾を得た住民の検診データや検査データなどの患者情報、画像のデータなどをデータベースとしてサーバーで一括管理し、医療機関が必要に応じて取り出して診療に活用するというもので、利用者もカインドカードと呼ばれるICカードで、携帯用カルテとして持ち歩くことができます。

このシステムにより医療機関では、検査・健診データなどの数値情報や、患者への指導情報、画像診断情報などの共有化・連携が図られる他、地域内で発生した感染症情報を、地域ごとにアルタイムに発信することが可能になっています。

現状では地域薬局で閲覧することは無理のようですが、将来電子処方などのシステムが導入されるようになれば、当然このシステムの中に地域薬局も組み込む必要が出てくると考えますが、厚労省の今回の構想に果たして地域薬局は組み込まれていくのでしょうか?

また、ICカードの導入は薬剤師の業務をも大きく変える可能性があります。今は、相互作用や重複チェックなどをチェックし、それを薬歴に記載するという業務が当然のこととして行われていますが、今後はこういったことは医師の処方時点でチェックが行われることになります。5年後というと、新卒薬剤師が社会に出てくる時期ですが、大学で学んだことが生かせるようになっていればいいのですが・・・・

では果たして、このICカードの普及が進んでいるのでしょうか? 先進地域でも悩みは少なくないようです。それは、患者のプライバシー問題だけでなく、診療内容や経営内容が他院にわかってしまう懸念があるからです。経済効率だけではなく、「患者のためになるシステムを知恵を出し合ってつくる」と意識が現場にも浸透しないと、一般的になるのは意外と時間がかかると思われます。そういった意味でも、厚労省が今回検討している保険証のICカード化は注目したいと思います。

参考:日本経済新聞3月15日
     http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070315AT3S1402814032007.html
    読売新聞3月16日
     http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070316ik02.htm
    情報通信活用事例集:兵庫県 加古川市・稲美町・播磨町
     (総務省 東北総合通信局 ウェブサイト)
     http://www.ttb.go.jp/joho/jirei14/17kakogawa.html

 資料は古いですが
  神戸新聞2001年11月21日
     http://www.kobe-np.co.jp/news_now/info_ic/03.html
  コンピューター医療シリーズ(平岩医院)
     http://www.hiraiwa-clinic.jp/kent/kent-6-6.html    

3月15日22:00掲載 17日0:30更新 19日15:40更新 20日0:10タイトル変更

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