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2007.04.30 在宅医療で必要な医薬品等は誰が管理するか?
来年度の実施をめざして、現在検討されている「後期高齢者医療」関連の情報についてはここでもいくつか紹介していますが、日本看護協会(http://www.nurse.or.jp/)では、このあり方について、注目すべき意見書を社会保障審議会医療部会に提出しています。
後期高齢者医療の在り方に関する意見書(日本看護協会2007年3月9日)
意見書 参考資料
意見書によれば、薬事法により在宅医療に必要な薬剤や衛生材料を管理できないことで、患者負担の増大や迅速な処置対応ができず、在宅医療の質の低下をきたしているとして、生理食塩水、キシロカインゼリー、消毒液などについては、薬事法で特例として、処置の実施者である訪問看護師や訪問看護ステーションでの常備を認めて欲しいという内容です。
これは即ち、医師の指示なしで看護師の裁量でこれらの薬剤の使用がすぐにできるようにする看護業務の拡大を要求するもので、見方を変えれば、処方と調剤を薬剤一部に限って認めて欲しいというものでもあります。
在宅患者のニーズを考えれば、当然の要求ともとれますが、薬剤師側から見れば、薬剤師業務を看護師が代わって行いたいという要求でもあるわけですから、今後火種になる可能性もあります。
日薬では、「後期高齢者医療における医薬品の適正使用と安全管理」で、基本的な考え方を示してはいますが、日薬雑誌にその内容が掲載されるだけで、会員でさえも日薬雑誌を注意深く見ていないとわからないとが現状です。一方、日医や看護協会では、自分たちの主張をHPで表明し、一般国民に説明と理解を求めています。
日薬でも現状を鑑み、「重複投与や薬物相互作用(大衆薬やサプリメントも含む)を防止するために、後期高齢者にはお薬手帳を義務づける」などの一歩踏み込んだ提案をしてもよいのではないかと思います。薬剤師は他の職種に遠慮してか、自分たちの考えを一般国民に対しあまり主張しないような気がしてなりません。
関連情報:
「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方」に関するご意見の募集について(厚労省)
後期高齢者医療制度について(日本医師会)
http://www.med.or.jp/nichikara/koukikourei.html
4月30日 22:00掲載